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ヘタレ魔法使い 3  ゴツイ人とスマートな人

不定期って言っておきながらまあまあの定期で更新出来ているようないないような。

まあ今はまだ溜まってる分の放出だから時間さえ空けば投稿します。

これを合わせなければあと二つですかね、溜まっているのは。

「あれっ、何E?」


「3000E。五回目だよ、嬢ちゃん」


「あー、うー……。もう一回数え方教えてくれませんか?」


「それは八回目だよ。全く、手のかかる子だね」


 私は書の街、アガリスに来ていた。ここに来る間、何にもなかったから良かった。魔物とか来たら逝っちゃってたと思う。

 門番の人曰く、ここは相当広いらしいので地図を買っておくことにした。いた、もう来ないかもしれないけどね。念のため。


 それで今に至る。


「金貨一枚10000E、銀貨一枚1000E、銅貨一枚100E、コイン一枚1E」


「えーっと、だから……。銀貨三枚!」


「正解。出来れば一発で辿りついてほしいね」


「あはは……」


 私の村に外部の人が来ることはなかったけど、私たちの村からは特産品の香草を出したりとあったから、外部からお金は入ってきていた。私が持っているお金はお手伝いをして貰ったものだ。頑張って貯めたよ。


「毎度。気を付けるんだよ!」


「ありがとうございまいた!」


 お店から出て、今買ったばかりの地図を開いてみる。なるほど、かなり広そうだ。道も路地とかがたくさんあって入り組んでいるっぽい。


「見えはするんだけどな」


 急にグレイリッジ図書館につけるかどうか不安になった。ドジっ子……、いや馬鹿っ子の私があそこまで行けるのかどうか。私は無理だと思う。


「まあ、歩けば行けるでしょ」


 グレイリッジ図書館は大きい。だから、あれを目印に歩いていけばなんとかなると思う。……多分!

 ……でもやっぱり私は駄目駄目でした。


「あれ。どこ、ここ……?」


 いつの間にか迷子状態。どんな地形になっているのか、グレイリッジ図書館は四方八方見回しても見当たらない。おかしいな、さっきよりは近付いたはずなんだけど。

 とりあえず今来た道を戻って大通りに出る。そして買った地図と愛用のペンを取り出した。そのペンを使い、現在地や進行方向等を書き込んでいく。


「あれがこのお店……。で、今がここだから次の次の道を曲がる……」


 あ、何だかこの地図任せ、楽しい。街巡りって良いなぁ。

 時々誰かにぶつかりかけてるけど、顔を上げて歩いているときもあるから大丈夫。ぎりぎり避けてる……、というか避けられてるんだけどね。

 それにしてもこういう時のための魔法、あったらいいのにな。いや、私が作ればいいんじゃないかな? 作り方知らないけどね。


「えっと? 今曲がったから、次は……、きゃっ?!」


 痛い。特に倒れた時に打った腰が。

 どうやら誰かにぶつかってしまったようだ。何やってんの私! いつかぶつかっちゃうかもなんて思ってたけどね! 思った時に止めればいいのに……。さすが馬鹿っ子。


「あ。ご、ごめんな……」


 最後まで言葉が続かなかった。これはこれで意味伝わるけどね。もっと丁寧に謝りたかった。

 何で言葉が続かなかったかというと、簡単に言えばぶつかった人が怖かったから。失礼に言えば何この人逃げ出したい。

 こ、怖い……! え、街ってこんなゴツイ人がいる場所なの。よく見れば同じような人離れた所にもいるし。こ、これが街なのか……!


「いってぇな……」


 目の前の男の人が喋り、私はもう一度男の人をもう一度見直した。

 男の人は左腕を痛めたようで、右腕でそれを庇っている。わ、私そんなに速く歩いてたっけ? それとも重い……? ってこの人背が高いな。

 あ、それよりも私、謝らなきゃだよ! えーっと、お詫びに魔法で治療……、無理だ出来ない。じゃあ治療費! どれくらいするんだろうな……?

 私はポーチを乱暴に漁り、財布を取り出した。小さい頃習った裁縫で作った巾着袋だ。その巾着袋もまた乱暴に漁って、適当に握って取り出した。

 ちょうど五枚。しかも全部金貨。すごいな私。パニックすぎて数え方は忘れたけど……、これ何Eだっけ。


「すっ……すみません! あの、これで治療してください!」


「はあっ!?」


「ええっ!? た、足りませんか!?」


 まさかの反応に焦るしかない。あれ、金貨って一番高価だった気がするんだけどな……。違った?

 別に違ってはいなかったようで、男の人はすぐに満面の笑みでお金に手を伸ばした。うわっ、笑いが顔に似合わない……。

 その時、視界にこっちに速足で来る人がいた。え、お仲間登場じゃないよね……?


「ってめえ、何しやが……!」


「この腕の何処を怪我したんだ」


 近寄ってきたのは男の人だった。そして怖い人の仲間じゃなかった。腕捻じってたし、確実に仲間じゃないでしょ。

 きっとこういう人のことを救世主っていうんだろうな。「言ってみろ。本物にしてやる」なんて怖い発言は空耳だろう。

 ああ、私にももっと力があったらいいのに。


「カッコイイな……」


 ボソリと呟いた私の声は、幸か不幸か男の人には届いていなかったようだ。ゴツイ人は人混みに消えて行った。

 男の人は逃げて行ったゴツイ人と違ってスラッとしている。後ろに背負っている槍(の魔力)が気になるけど。……良いなあ、スタイル良くて。


「そう簡単に大金を差し出すんじゃない」


「……えっ!? あ、え……? す、すみません……?」


 た、大金? 金貨五枚って大金なの? え……、あれ?

 あー! 50000だ。そうだ、私50000Eも出してたんだ……。でも結局、治療費っていくらくらいなんだろうな。

 あ、そうだ。あの男の人にお礼言わないと。


「あの、ありが、っていないし」


 し、神出鬼没みたいな感じだ……。ただ単に私が気付かなかっただけだろうけど。気配、読めないな……。


「………?」


 さっきから、ずっと視線を感じるんだよね。もう気配読めないとかじゃなくて、結構多めの視線を感じるんだ。

 さっきの騒ぎ、そんなに大きいものだったかな?

 周りからの視線に気になりながらも、私はグレイリッジ図書館に向かった。

ジャンさん目線の箱入り娘はナミネさんでした(笑)

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