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元騎士 6      定まらぬ目的地

内容の文を一部修正しました。

「今後の予定です。ジャンさんはどうするんですか?」


 その言葉に思わず考え込む。どうする、か……。

 此処から一番近い町はガイアント国の首都だ。首都、と言うからには、勿論其処にはガイアントの城が置いてある。ガイアントとシエレードには交友があった。シエレードの騎士である俺が助けを求めれば、通常であればなんらかの処置を施してくれたかもしれない。

 が、正直きな臭い。元々良い噂も悪い噂も絶えない国だけあって何処か怪しいものを感じていたが、今回の一件で疑念は一気に増した。


 魔法の軍勢は、ガイアントの使者が訪問しているときに突然襲ってきた。あれだけの強さに、大量の魔獣たちだ。使者というものは通常敵意がないということを示すために戦う力のない者が選ばれるものだから、きっとあの使者も殺されてしまっているだろうと、俺は死体を探した。

 しかし、だ。少し言い方は酷いのだが、あんまちにもぐちゃぐちゃでどれがどれだかわからなかった。

 それはつまり、あの使者が生きているか死んでいるのかがわからないということだ。


 大体、タイミングが良すぎるのだ。これで疑うなと言うほうが無理がある。思えば魔王の軍勢が見えたと報告を受けたときから使者の姿は見受けられなかった。もしや、あれはあの使者が、ガイアント国が手引きしたのではないだろうか。

 もし、もしもそうであるなら俺は……。



「……ジャンさん?」

「あ、ああ、なんだ」

「いえ、なんだか凄く怖い顔をしていたものですから……」



 「なんでもない、気にするな」と半ば独り言のように言ってからまた脳を思考の海に浸らせる。

 そう、これからのことだったな。

 実を言うと其処まで明確な目的地はない。国は既に滅んでいるのだから物を作らせようにももうどうしようもない。しかし、あの方の最後の命の遂行を諦めたわけでは、勿論ない。



「ナミネ、先程言っていた“ルール”は、精霊たちは干渉していないのか」

「え? ええ、飽くまでも人間界でのルールですから。というよりも人間たちが精霊たちの協力を得られなかっただけとも聞きますが……」



 やはり。予想が当たったことに思わず安堵で表情も緩む。

 精霊たちはあまり人間に良い感情を持っていない。誰でも知っていることだ。

 だからこそ、そのルールを決めたとき、まず精霊はその中には含まれないだろうと思った。


 人間界の道具で俺の目的を達することが出来ないなら、人間界の道具を使わなければ良いのだ。精霊の中には人間のように、いや、人間以上に高度な知識を持ち、物作りをする者もいると聞く。

 望む道具がすんなり手に入るとは思わない。それどころか精霊と言葉を交わすことすら難しいだろう。

 しかし、それでも俺は進まなければならない。まずは此処よりももっと大きい町に行って情報を集めたい。



「……いや、これからの予定はあるが、目的地は特に決まっていない。とりあえず何処か大きな町を目指そうと思う」



 そう言うとナミネは俺をじっと見つめた。

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