第二幕
手紙の内容は…?
第二幕
「秘封倶楽部のお二人へ
ご無沙汰しております。メリーさんも蓮子さんも元気にしているでしょうか。
私はこのたび、卯酉東海道線、酉京都駅前の小ホールで単独の舞台に上がることになりました。
チケットを二枚同封しておきましたのでご都合が合えばお二人でいらっしゃってください。
マーガレット人形座 座長 七瀬アリス」
アリスさんからの手紙は舞台へのお誘いのものだった。彼女は一人で何体もの人形を操り、人形劇を行っている。その手の動きからは想像出来ないほどのリアリティを持った動きに私は何度となく魅了され、物語に引き込まれていったものだ。
私は梶井基次郎の「檸檬」を読み終え、それでもまだ、蓮子が来ないことに首をかしげた。いい加減来てもいいと思うんだけど。
時計はきちんと廻っているから、この建物がマヨヒガに来たわけではなさそうだし。モバイルの電波も良好なので私がどこか別の場所に飛ばされた可能性は少ない。
まぁ、活動日じゃなかったと言う可能性が捨てきれないのが悲しいところなのだけれども。
それでもメールの返信もなければ、電話も出ないと言うのはそうそうない事なんだけど。なにか緊急事態に陥っているのだろうか。
私はなんとなく窓の外を見てみた。すると部室棟の周りでうろうろしている蓮子が見えた。…この建物の不思議について、もう失念したのだろうか。そう思って声をかけようと思ったら蓮子は建物に入ってきた。いよいよ何をしていたかわからない。
そして彼女の第一声は、
「モバイル落としちゃった」
だった。
一応本編の導入は終わりました。
アリスさんの登場ですね。
まぁ、気長に読んでやってください…。