【登場人物紹介】
『わたしを忘れないで』の登場人物紹介です。
物語の内容を含みます。未読の方はご了承ください。
続くお話と『ファントム・ミラー』に関係する内容も載せております。
【登場人物】
■アデライン・ノルデン(ゲルスター)
暦894年生まれ。ゆるい癖毛の栗皮色の髪に榛色の瞳、光彩が榛色から外側に行くにつれ緑色になるグラデーション。身長は164cmほど。髪型はいつも三つ編みを前に垂らしている。
恋人エミールと別れフィンの妻、ノルデン王妃になる。王妃と内務長を兼任し、ノルデンを大いに発展させた。
感情が昂ると涙が出るタイプなので、喜怒哀楽全てに泣く。性格は呑気。
容姿にコンプレックがあり、第五子妊娠中に、子供が自分に似てしまったらどうしようと泣き崩れてフィンを慌てさせた。実際生まれた娘はアデラインによく似ていたので、フィンは溺愛してしまう。
出自はゲルスター伯の二女、兄が一人と弟が二人いる。子供は5人、孫も多い。彼女の名前を引き継いだ孫もいる。
四男アルヴェルトは自分の第一子の娘には絶対母親の名前をつけると決めていたが、生まれたばかりの顔を見て『違うな』と思いクリスティーナと名付けた。長じた娘に、アデラインが良かったと散々文句を言われたらしい。クリスティーナはアデラインと性格が全くかけ離れているので、自分の直感は正しかったと父は一人頷いた。
■フィン・ノルデン
暦894年生まれ。直毛の漆黒の短髪に真紅の瞳。身長は189cmで筋肉質。
無口で無表情だが、せっかちなところもある。独占欲強め。
国王でありながらノルデン将軍も務める。神器である槍の使い手で、この時代で最も強い男。
彼の時代でノルデンは大きく発展するが、北の魔物の生息域に魔石の鉱脈を発見したのがその大きな要因。その鉱脈の開発のため、楚壁の向こう側に砦の建設などを行なった。
同じ北峰五国の西側とは距離を置いたが、国王不在の隣国カーナリーエは積極的に支援している。
フィンとアデラインは再従兄弟の関係(前ノルデン国王とゲルスター伯が従兄弟、両母親も遠いが親族の関係)。国内の結婚が多いので、国内貴族皆親戚。
■エミール・ゴルド・シュタルツ(サヴァーランド)
暦894年生まれ。癖の強いふわふわ猫毛の金髪に緑の瞳。身長は176cm。
帝国の大貴族、サヴァーランド公爵家の四男で母親の生家シュタルツ伯爵家を継いだ。その後、統治者不在となった旧ユッタ侯爵領を継ぎ、シュタルツ侯となったので、二国の統治をしながら皇帝の側近を務めた。
フィンやカミルは、エミールのことを腹黒い策士だと評しているが、アデラインはそれを信じていない。
彼がそうなったのは、自分と恋人の立場を守れなかったのが要因なので、彼女にだけは生涯隠し通していたのだろうと思われる。
皇女アデラインとの離婚後は特に決まった相手はいなかったが、皇帝のパートナーを長く務めた。お互い面倒な噂の隠れ蓑にしただけだったのかもしれない。娘曰く恋人はいたらしいが、公にしたことは一度もない。
生家サヴァーランド家は家族が多く、帝国内でも大きな影響力を持つので、エミールがもし別の決意をしていたら、それをアデラインが望んだならば、二人の人生も大きく変わっただろうと思われる。
植物が好きで、野の草や花を研究している人に投資している。結果、何の特産もなかった西の僻地、旧シュタルツ伯爵領では薬学が発展した。ファントム・ミラーの時代の頃には、シュタルツ領は薬草の生産地として有名になっている。
【ノルデン王国】
■クレア・モルトカ
暦896年生まれ。明るい黄味かかった金髪に瑠璃色の瞳。小柄で身長は150cmほど。母親似の美人。
母はユッタ侯爵家の傍流貴族で、ジョセフィーヌ皇妃の取り巻きの一人だった。子育てに興味がなく、クレアを産んでから暫くして皇都に行ったので、クレアの育ての親もアデラインの生母ウタ。
クレアにとって、乱暴な兄と自分に興味のない両親しかいなかった世界に突然現れ、これ以上ないほどの愛情を注いでくれたアデラインの存在は大きい。
それは兄も同じだったようだが、愛情を伝える手段が【相手の嫌がる事】しか知らない兄を、不器用で馬鹿だなと冷めた目で見ていた。
■エドアルド・モルトカ
暦893年生まれ。金髪にインディゴブルーの瞳、175cmほどの細身体型。
学園卒業後は軍部に就職したが、反乱ののちに処刑されている。
■シビラ・ウルド(ノルデン)
暦893年生まれ。漆黒の波打つ髪と深紅の瞳を持つ。162cmほど。彼女も皇帝命令で南のウルド王家に嫁がされたが、二つ年上の夫と仲睦まじくしている。
ウルドは北峰と同じく中央と民族が違うので、彼女の夫も褐色の肌に金の髪、淡い瞳の色を持つ。シビラの色白な肌や漆黒の髪は、子供のだれにも遺伝しなかった。ただ時々、ウルド王家には深紅の瞳を持つものが生まれる。
■ライナー・ヴィレ
暦892年生まれ。濃い茶色の髪に錆色の瞳。身長は179cmの普通体型。
ノルデンの男にしてはとても穏やかで、彼の子孫もその気質を受け継いでいる。クレオより年下ではあるが、ノルデンの子供たちの中では一番年長者扱い。アデラインは実兄より彼を兄と慕っている。
生涯ノルデンに仕え、フィンとアデラインの良き相談役を務めた。彼の代でヴィレ家はノルデンの王家に次ぐ家になった。
アデラインが入学した時にはすでに恋人がおり、卒業後結婚して三人の息子と一人の娘の父になる。
【異想譚Ⅰ】の後にフィンから決闘を申し込まれて、ひたすら困惑した。そしてその二人をクレオは腹を抱え大笑いしながら見ていた。
■クレオ・ゲルスター
暦980生まれ。茶褐色の髪に駱駝色の瞳、身長174cmほどで痩せ型。三白眼。
アデラインと弟二人がいるが結構な自由人で、子供の頃は屋敷の使用人たちに混ざって働いていた。調子のいい性格なので、いつも妹に叱られている。
十歳ほど年上の妻を娶り、子供はディーンだけ。だが生涯賑やかに暮らした。
ディーンはアデラインの娘エミリアと結婚する。この頃のノルデン貴族は絆が強く、従兄弟同士の結婚が多かった。貴族の従兄弟同士の結婚が禁止されるのはその十年後ごろ。
孫が生まれた後のクレオは、フィンの孫クリスティーナの後をちょこちょこ着いて歩く自分の孫アレクシスを見て、『あれ、なんか見たことがある光景だぞ』と思った。ちなみにアレクシスの容貌はフィンそっくり。
【フィンとアデラインの子供達】
■カミル・シュタルツ(ノルデン)
長男、暦916年生まれ。漆黒の髪に赤い瞳、帝国軍部で将軍職を務めた。
【暁の将軍】と同い年で、切磋琢磨し合える友人になった。息子が三人おり、全員帝国軍で働いている。
ファントム・ミラーでイーアの妹ヒルデがときめいていたのが次男のヨアヒム、あの時代の将軍を務めていたのが長男のヴォルフ。
妻は同い年のディアナ、エミールと皇女アデラインの娘だが、皇位継承権は持っていない。明るい金髪に若緑色の瞳で、エミールによく似た容姿を持つ。気が強いところは母親似。
■リーナ・ベルツェル(ノルデン)
二女、暦918生まれ。漆黒の癖のないストレートの髪に、薔薇色の瞳を持つ。クールな見た目なので、鉄の女や氷の淑女などと渾名されたが、母親によく似た涙体質。
法務部に就職し、法の守護者ベルツェル家の当主と結婚した。子は三人いたが、一人は夭折している。
■エミリア・ゲルスター(ノルデン)
三女、暦921生まれ。漆黒の髪の癖毛に、明るい砂色の瞳を持つ。この瞳の色は祖母ウタの色。明るく活発な性格で、フィン譲りの体格を持つ。可愛いものが大好きで、ノルデン神器の槍をレースでデコっている。軍で働き、妊娠後期も槍を振り回していたので、夫のディーンは流石に止めた。
■アルヴェルト・ノルデン
四男、暦922生まれ。父親によく似た漆黒の髪に真紅の瞳。ノルデン国王になる。
帝国城下町で平民の娘と恋に落ち結婚した。長女クリスティーナを得たが、妻はその数年後に病死してしまう。それから数年後にシュテレの貴族から妻を迎え、息子ウドが生まれた。
娘に王位を譲った後はのんびり妻と過ごすつもりだったが、人使いの荒い娘にこき使われている。
■フィーネ・ノルデン
五女、暦926年生まれ。アデラインによく似た茶褐色の髪に榛色の瞳。顔もよく似ている。かなり気が強くわがままだが、よく笑うので末っ子ということもあり、家族はもちろんノルデン国民に愛された。北の雪華姫とか褒め称えられたらしいが、本人は一切気に留めていない。
このお話の後のお話の主人公です。
母親と全く性格の違う娘の恋物語。
【帝国】
■ヒルデグラント・ジル・ゴルドメア
暦892年生まれ。全く癖のない銀髪の持ち主で、青みかかった紫水晶の瞳を持つ。中性的な細身で、身長は174cmほど。一重のすっきりした目元に、大きい瞳を持つので不思議な印象の女性。
ゴルドメア帝国第一皇女。一時期姿をくらませていたが、帰還したのちは銀の時代一番長く皇位に着いた皇帝となった(約43年ほど)。賢王と名高く、彼女の元で帝国は大きく発展したという。ただし温厚な性格で、厳しい罰を下したり、誰かを切り捨てることは生涯苦手だった。
独身のまま娘をひとり産んでいる。
若い頃からだいぶ自由人で、下着姿で廊下を歩き回っていた。生涯独身だが、公のパートナーはスヴェン卿、シュタルツ侯、老いてからは暁の将軍オスカー・アインザームを従えていた。ただし娘の皇女の父親が誰であるかは、最後まで公表しなかった。
■アデライン・シュタルツ(ジル・ゴルドメア)
暦896年生まれ。銀髪に紫水晶の瞳の美人。小柄で女性らしい体型の持ち主。
学生時代に一目惚れしたエミールの妻になったが、早々に性格の不一致で不仲になる。かつての夫の恋人、アデラインには度重なる嫌がらせをしていたのだが、エミールとフィンによって悉くうまくいかない。最期は恋人と暮らしていたバイゲル侯爵領で若くして亡くなった。
■スヴェン卿 (ジークヴァルト・ベルンシュタイン)
60代半ばの前ベルンシュタイン大公。息子に大公位を譲ったあと皇帝の側近を務める。
女性関係の醜聞が多く、この時点でも若い恋人が複数いる。
息子のジークフリードは大変お洒落な青年で、好色家の父を毛嫌いしている。だが婚外子の弟を自分の息子として育てており、彼自身はパートナーはいない。
【ファントム・ミラー】では暦は登場しなかったのですが、
主人公イーアは暦971年生まれ、チルは暦969年生まれです。
フィンとアデラインの曾孫にあたるアルヴェルトは暦983年生まれ。暦は正式には黄金歴なのですが、面倒なので皆さん暦としか呼びません。
お読みいただきありがとうございます。
毎回この登場人物を書くのが楽しくて仕方ありません。
ちなみにファントム・ミラーに出てきた、ノルデン国王クリスティーネ、剣聖アレクシスがフィンの孫、
エアハルトがヒルデグラントの曾孫、ツェツィーリアがスヴェン卿の曾孫ということになります。いつかどこかでリーナの曾孫も出ると思います…たぶん。家系図を書くのがすごい楽しいです。
続くお話(これを書いている時点でタイトルが決まっていないのですが…)はアデラインとフィンの娘フィーネが主人公です。
そしてそのあとのお話も書いているのですが、こちらはバッドエンド確定のお話です。『わたしを忘れないで』とこの二作で、北の三姫っぽいシリーズにできたらいいなぁと思っています。楽しんで書いていきますので、よければお付き合いください。
次回から【異想譚】です。最初はカミルの結婚式直後のフィンとアデラインのお話です。
次回もよろしくお願いいたします。