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転生奇跡に祝福あれ  作者: ルミネリアス
第三章 王女の為に。
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第五十一話 王女、脱ヒモ。

 またまたこんにちは。テラスです。

 私がソフィを上空に連れ去ったあの日から、既に二週間ほどが経過しました。

 外も前と比べて更に寒くなったので、そろそろ雪が降るかもしれませんね。

 こう寒くなると、そろそろお父様は動けなくなっているでしょう。

 龍という種族の生態がトカゲとかと良く似ているせい……なのかは、知らないけれど。

 ……まあその…、お母様!頑張って!






 さて。

 あれからも私は、目を覚ましたら散歩して、帰ってきたら、後は眠くなるまでただひたすらに魔法の研究をする、そんな日々を送ってい……ません。

 何故なら、


「燃 え 尽 き た」


からです。




 長年完成を夢見てきた転移魔法の、その基礎が完成し、更に何度かの実証実験によってその安全性も確認できました。

 なのでここからは転移出来る距離をより遠くにしていく段階なのですが、正直満足してしまったのと、あとは…飽きてしまったので、もうやる気が出なくなってしまったのです。

 ……というより、何だか最近はずっと体がしんどさを強く感じていて、研究ノートを開く事さえ面倒に感じてしまっています。


 その結果、

「あ〜、ダルい。眠たい。あ〜〜。」

と、このようなベッドに横たわるゾンビが出来上がったというわけです。






 だが、この無気力ゾンビとなった一番の原因は別にある。



 ……前回エクラ、出て来てないよね?




 ……私はベッドの上で、天井を向きながら叫んだ。

「私はこの一ヶ月、最愛のエクラに全く持って会えていない!!!!」




 私の元気の源で心の支えで精神安定剤で生きる意味であるエクラ。

 そんな彼女は今どこで何をしているのかと言うと、街長の館に泊まり込みで、ずっと私の代わりに執務をこなしているのである。




『ここで、才能と努力について話そう。

 ここでは、私の生まれ持った情報処理能力の才能値を百とする。

 この時、エクラの情報処理能力の才能値は、多く見積もっても二十程にしかならない。

 エクラの生まれ持った能力値は、どう足掻いても一般レベル。

 だがエクラはその差を努力で埋めようと、数年間努力を重ね、努力値を八十ぐらい獲得した。

 それにより、元値の二十と足して百となり、これで私と数値は統一された………かに思われた。

 エクラが努力して八十を得ていた数年間、では私はただひたすらに眠っていたかと言われれば勿論そうでは無い。

 様々な執務を既にいくつか任されていた私は、その過程で努力値だけで無く、新たに発覚した才能値を蓄積し、それを無理に数値で表すと、私は五百程に達した。


 つまり、私とエクラの間には5倍の差があるのだ。』

 ……これは、かなり残酷な話である。

 だが、これこそ世界の真理であり、覆りようの無い絶対的な運命なのである。





 ではここで、私が五百でこなしていた仕事を百でこなそうとした時、エクラはどうしなくてはならないだろうか。

 答えは単純で、私の五倍の時間を掛けてこなすしか無いのだ。

 この事は、きっとエクラも分かっていたはず。

 でも…、それでも、エクラは私の仕事を変わる選択をしてくれた。

 ……本当に、エクラは優しいな。





 がしかし、何時までもこうしてエクラの優しさに甘える訳にはいかない。

 聞いた話だと、近々シュトラール城から使者と城に残っていた私の親衛隊が私を訪ねてくるらしいので、こんなだらけた姿を見せる訳にはいかないよね!



 私は両頬を軽く手でペシッと叩き気合を入れ直すと、

「よしっ!!」

と言って、ベッドから立ち上がったのであった。






 気合を入れ直した私は考える。

「んーーー、な〜にをしたら喜ぶかなぁ。」

 エクラは今、私の為に必死に働いてくれている。

 そんなエクラの元に、「遊びに来たよ〜」と行くのは、流石に非常識極まりないだろう。

 頑張る彼女のヒモになってしまった今の私が出来る事……。



 そうして悩んでいる内に、一つ、ある考えが浮かんだ。



 それは私達がまだ幼く、エクラが、まだ世間を何も知らなかった頃のお話。



〜ニヤニヤしながら回想中〜


「エクラ〜、これ!」


「あっ、はい!…えっと、こちらは……?」


「これはね、クッキーって言うお菓子、じゃ、分からないよね……。えーっと、、、毎日のお食事の間に食べてもいい、甘くて美味しいなの。」


「クッキー、お菓子…。何だか、とても綺麗ですね!!このお家の壁にある絵のようです!」


「おっ、嬉しい事言ってくれるね〜。それじゃあエクラ?お口を開けて?」


「えっ、あっ、はむっ。」


「どう?美味しい?」


「…………すっごく!美味しい!!です!!!」


〜満面の笑みで回想終わり〜




 改めて思い出しても幸せだなぁ…。

 その後も、私が食べていいよって言う度に一枚食べては、あと一枚だけでも良いから食べたいなって顔をしつつ我慢しようとするエクラが可愛くて、結局全部食べさせてあげたんだよね〜。

 あの頃の私達にはまだまだ距離があったから、あんなに心を開いてくれた時は歓喜に満ち満ちた。



 さて、どうしてこの幸せの一ページを取り上げたのかと言いますと…、あの時は言わなかったけれど、あのクッキー実は、私が試作したものだったりするのだ。

 その時、既にいくつか前世の料理を試作していたので、目的はなく、ただ単に作ってみたかっただけだ。

 クッキー作りの練習中、私の周りに付いて色々と手伝ってくれた使用人達に、作っては食べさせを繰り返した。

 そうして出来上がったイイ感じのやつを何枚か集め、エクラに持っていったというわけだ。





 さて、この回想を挟んだ時点で分かるとは思うのだが、今回も、私は何かしらのお菓子を作って持っていってみようと思う。

 またクッキーを作っても良いが、どうせならエクラが見た事がない物を持っていって、「テラス様凄いです!!」を、お返しとして貰いたいものだ。



 そうなると、何を作るのかが重要になるが……。



 うーん、と私が頭を悩ませていると、

「姫様?いらっしゃいますでしょうか。」

と、扉の向こうから声がする。

 私の

「いま〜す。」

というフザけた返事を聞いて部屋に入って来たのは、ソフィだ。



 ソフィ人質事件からしばらく経ち、すっかり元気になった彼女は、

「こちら、姫様宛のお手紙を纏めた物で御座います。姫様も、そろそろ軽いお仕事ぐらいなら出来る頃合いでしょう。」

といい、可愛い木で編まれたカゴを机に置く。

 その可愛い見た目とは裏腹に鈍い音を立てたそのカゴの中を覗くと、そこには思っていた数倍、百通以上のカラフルな手紙達の姿が。

 またその全てが封を切られていたが、それは数度、内容物が危険ではないか、そして、手紙の内容が危険ではないかの検査がされてあるからである。


 この手紙達は、まあ恐らく各国のお偉いさん方からの「見舞い申し上げる」なのだろうな。

 ……にしても多い。メンド…。

 いや、何が面倒かって、これ全部返事返さなくちゃいけないんだよ……。

 もういいや…。後でやろ……。






 私はソフィが運んで来た手紙を見て見ぬふりし、思考を元に戻す。

 エクラに持っていくお菓子……、うーん。


 私が「うーん」と声に出して唸っていると、

「また、何か企んでいるのですか?」

と、ソフィはため息をつく。


「なっ…!私そんなに悪い事してないよ!?」

と、咄嗟に返す。

 ……咄嗟に返したは良いものの、よくよく考えると結構悪い事してるかも…。


「ほんの冗談です。」

と、ソフィはそんな返事を軽く流す。

 そして、

「それで、一体どうされたのですか?」

と、私に問いかけてくる。


 ……これを、言ってほしかったのでしょう?と言わんばかりに。





 見透かされているのはさておき、私はソフィの方を向くと、

「えーっと、エクラの事なんだけどね?」

と照れつつ話を始めようとする。

 が、ソフィ、

「はぁぁぁぁぁ……。……それで?どうしたのですか?」

と、トンデモ無く大きな溜息をついたのだ。

 更に小声で、「また惚気ですか…」と呟いているのも聞こえてくる始末。

 酷いし普通に不敬罪で処罰対象だが、まあソフィにそうあれと言ったのは私なので、もう聞こえなかった事にしよう。

 うん。それがいい。




「…それでね、エクラって、今も多分物凄く頑張ってくれているだろうから、私、何か差し入れのお菓子を作って、それを持ってエクラの元に労いに行きたいの。で、今私、何を持っていくのかをそれはそれはもう凄まじく思い悩んでいるわけ。」

 私の言葉に、

「なるほど……、姫様の作るお菓子は全て美味しいですし、どのような物でもよろしいのではないでしょうか。」

と、褒めてくれたと思ったら急に冷たい返事を返すソフィ。


 私は「え〜」と不満げな返事を返した後、

「確かに、エクラなら何あげても喜んではくれるとは思う。でもどうせなら、まず見た目でアッと驚かし、そして味で驚かせる!……みたいなのが、いいよねぇ〜?」

と、だらんとしながらソフィに絡んだ。

 ソフィは、少し面倒くさそうな表情を浮かべたが、

「…分かりました。私も何か考えてみます。ですがまずは、この屋敷内のキッチンを押さえてきます。掃除や安全確保などで少し時間がかかると思いますので、その間に暇様……ではなく姫様は、何を作るのかを考えていてくださいね。それでは。」

と、言って出てい……こうとするソフィの腕を私は「逃さんっっ!!」と勢い良く掴んだ。

 そして、

「暇様って言ったよね!?ねえ!?」

と詰めたが、

「気のせいですよ。では、また後で。」

と言って私から離れると、私はソフィを逃してしまったのであった。


 酷い……。

 まぁ確かに?私がかなりの面倒事を思い付きで言ったのが絶対に悪いけど?

 特に何もせずゴロゴロしてる私の命令に従わなくちゃいけないのが嫌なのも分かるけど?

 ……でも暇様は酷いじゃん!!!!!!




 ……あっ、別に怒ってませんよ?

 むしろこういう事をしてくれる存在が、この屋敷内にはソフィただ一人だから凄く楽しい。

(でも悲しい。)








 その後も、『木のカゴ内の積もった手紙を一枚無作為に手に取って、それがどの国からの手紙なのかを見ずに当てる』という謎の遊びをしながら、私は何を作るのかを考える。


「……そういえば、前世のスイーツ達には、贈り物とした時に特別な意味を持つやつがあったような。……あー、何だったかなーー。」



 私は独り言を呟きながら、手紙を漁りつつ、前世の記憶を辿った。




 残った三割の、その記憶(思い出)を。

 これまでは、自身へのノルマとして6000次以上を義務付けていました。

 ですがその結果、投稿がカタツムリになってしまった為、今回から4000字に減らし、その代わり更新を早く多くする事にします。

 ……駄目ですか?

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