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転生奇跡に祝福あれ  作者: ルミネリアス
第二章 崩壊へ
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第二十三話 王女の魔術符

 皆さん、改めましてこんばんは。

 テラスです。

 こちらは最近、少し寒くなってきており、街ゆく民たちの服装も厚手な物に少しずつ変わってきております。

 日本は今、どの様な季節なのでしょう。

 こちらと同じく秋と冬の境い目のような気候ですか?

 それか、案外真夏であったりするのでしょうか。

 どの季節かは分かりませんが、皆様お体に気を付けながら、適度な息抜きも欠かさずに毎日を生きていきましょう。







 なーんて、転生前の日本の事を考え、不特定多数の日本人に余計なお世話を働きながら遠い目をしているのは、現在お母様からの説教…じゃなくて、ありがた〜いお言葉を頂いている最中だから。

「ちょっと、テラス!ちゃんと聞いているのでしょうね?」

「は、はい!ちゃんと聞いております!」

 私は背筋をピンっと伸ばす。

 現在私、城のエントランスに正座している状態でございます。

 うう…、足、痺れてきた…。


「…エクラちゃんから聞いたわよ。貴方、いつも勝手に城から飛び出しているって!貴方にはどうやら、王族としての意識についての再教育が必要なようね!」

「ご、ごめんなさーーい!!」

 その後も、私に対するありがたいお話はしばらく続いたのであった。





「はぁ…、もう良いわ。で?何があったのか説明しなさい。勿論、あの巨大な鉄の塊についてもしっかりと説明して貰うわよ。」

 その言葉で、お母様の説…ありがたいお言葉タイムが終了した。

 良かった…。そろそろ足の感覚が無くなって、足が付いているかも分からなくなってきていたところだったから。



 立ち上がろうとして、足の痺れで立てなかった私は、翼で少し浮く事によって動けない状態を回避し、そのままお母様の後を付いていき、執務室へと着いた。

 中に入ると早速、私は事の顛末をお母様に話した。

 私の創作魔法もお母様にはバレているので、隠す事なく全てを話した。

 ついでに、防音の魔法を執務室にかけてみると、お母様はその効果に喜んだ。





 一通り話し終えると、お母様は深いため息と複雑な表情を浮かべた。

「そう、だったのね。貴方、この国を救ってくれていたのね。…まずは、ありがとう。貴方は本当に私の自慢の娘です。」

 そう言って、私の頭を撫でてくれるお母様は、とても優しい笑顔を浮かべ…!?

「痛、痛い、痛いですお母様!?」

 私を撫でていた手は、突然私の頭を鷲掴みにする。

 表情は一転し、鬼の形相になっていた。

「とはいえ、自らの価値を正しく理解していない事が再確認できたわ。やはり、再教育が必要なようね!!!」

「頭、頭がぁぁぁ!!!」



 その後、お母様から解放され頭が凹んでいないか確認している私と、そんな私を無視して思索に耽っているお母様。

 その表情は、真剣そのものであった。


 …なんて、それどころじゃない!痛すぎ何あれ!?

 凹んだ!絶対頭凹んだよ!

 前世なら犯罪だよ!…いや、今世でも犯罪だよ!

 

 多分ね!





 そんな事を考えながら頭を擦っていた私であったが、

「ねえ、テラス。本当に、その人族達に精神魔法はかかっていなかったのよね?」

というお母様からの問い掛けで、真剣な表情と思考に切り替える。

「はい。…しかし、彼らが起こした行動を見ても計画性は感じられず、そして理性も。…まるで、死霊系忌物のゾンビのようでした。」

 今回のテロ事件、それを上空から確認した私の主観だが。


 しかし私の威圧を受け、一心不乱に私に向かって来た時点で、計画性なんて皆無。

 そして、私の放った魔法で仲間が消し炭になっても、結局私に向かって来ていたので理性も無い、と思う。

 誰かが彼らを操っていた痕跡も感じられなかった。そして、何故私をあんなに狙ったのか。

 目的は?王城への襲撃?王族の打倒?

 謎が多すぎる。


 それに、最大の謎はこれではない。



 シュトラール王国の首都であるこの街には、世界中から様々な種族が集まってくる。

 そして、元々この地に住んでいた者達と手を取りあい暮らしている。

 そして、人族だってそんな中で他の種族と仲良く暮らしていた。

 他種族と結婚している人族も多くいる。


 そんなこの首都の、なぜ人族『だけ』がこのような行動を起こしたのか。



 愛する家族を持つ人族も多く居たであろう。

 そんな彼らはなぜ突然理性を失い、愛する家族を攻撃し、国を攻撃し、そして私に(一部は炭になったが)捕まったのか。

 なぜ?





 その後、私とお母様は議論を続けた。議論は何時間も続き、外が少し明るくなってきた頃、執務室に一人の近衛兵が大慌てで駆け込んで来た。

「突然申し訳ありません。ですが、緊急でお伝えせねばならぬ情報が入ってまいりました故!」

「構いません。話しなさい。」

 お母様からの許可を受け、すぐ様持ち込んだ情報を話す忍者な近衛兵さん。

 その口から放たれた言葉は、私が予感し、そして先程までお母様と話していた最悪の事態を上回っていた。



 その情報を消化できないのか、お母様は、

「我が国全土で暴動の発生!?」

と、受けた情報をそのまま叫ぶ。

 近くの街でも同じような事が起きていたら厄介ですね、とお母様と話していたのだが、まさかの我が国全土。

 そのまま、あのひとを叩き起こしてきなさい!と叫んで命令するお母様を横目に、私は今後について考える。



 これはかなり厄介だ。何故なら我が国は世界の平和の象徴であり、人族と魔族の和平の象徴。

 だから、安易に人族を殺したりは(私はつい殺っちゃったけど)出来ないのだ。

 なので、暴動を殺さず簡単に止める術を持たない街は、最悪陥落する可能性だってある。

 まあ既に、小規模な町や村は滅んでいるでしょうけど。




 そして悪い出来事というのは連鎖するもので、また別の近衛兵が大慌てで恐ろしい情報を頭を抱えている私達に伝える。

 それは、忌物が何故か活性化し、森や海などから街に向かって押し寄せているという情報。



 忌物、前世のゲームとかでは魔物と呼ばれているそれは、普段は森や海などの人が立ち入らない場所に生息し、街に近づくなんてことは殆ど無い、というか有り得ない。

 はず、だったんだけどなぁ…。





 しかしやはりおかしい。

 そう感じた私は、

「…このタイミングでの忌物の襲来は、まるで人族の暴動が発生する事を知っていたかのようではないですか。」

と、お母様に話す。

 お母様も頷き、

「気味が悪いわね…。」

と、辛そうな表情を浮かべたが、突然、何かを決心したかのように私の顔を見る。

「テラス。あの巨大な鉄の檻を作り出した魔法を今すぐこの紙に書きなさい。」

 そう言って、魔法の紙を作る魔法を使って、何枚もの魔法の紙を作り出すお母様。

 魔法の紙に魔法を書く、なんて、

「あの魔法が発動する魔術符を作る、という事ですよね。」

 あ、声に出てた。


「そう。今からできるだけ沢山作るのよ。テラスなら、出来るでしょう?それに、もし頑張ってくれたら、再教育は無しにしてあげるわ。」

「…はい。頑張ります。」

 簡単に言ってくれる。

 あの魔法、まだ名前すら決めていないし、発動を見て駄目だと思った点も沢山あるのに。

 でも、拒否権なんて無かったよ…。



 私はお母様から紙を受け取り、隣の部屋を使えという指示を受ける。

 私は諦めの表情で了承し、隣の部屋に移るために廊下へ出る。

 すると丁度、執務室に向かって走ってくるエスタルとお父様の姿が。

 レミアは既に色々な指示を出しながら行動をしているので、ここには居ない。


「テラス、何だその紙の束は。それと、一体何が起こっている。」

 お父様は私にそう話しかけてくるが、

「私はこれから忙しいので、お母様から説明を受けてください」

と言って、直ぐに隣の部屋に入った。

 …決して、魔術符作りが早くしたい時に話し掛けて来るな、なんて思ってませんよ。

 ええ。決して。





 魔術符とは、文字通り魔法が封じ込められた符であり、これを使えば例え人族であっても魔法が使える。

 というのも、魔法を封じ込む段階で既に魔力は対価として支払っているので、魔術符の発動に魔力は必要ないのだ。


 さて、これを聞いたそこのあなた!

 これ、超危なくね?って思ったでしょ。

 それね、大正解。



 例えば、赤ちゃんがその辺に落ちていた魔術符を、たまたま手に持ってそのまま振って…なんて事だってあるかもしれない。


 いや、無いわ。


 …とにかく、そこで昔の魔法使い達は、魔術符は封じられた魔法の名を言わないと発動しないという条件を付けなければならないというルールを作った。


 さて、再びそこのあなた!

 え、意味無くねって思ったでしょ。

 うん、大正解。



 まあ、その後も試行錯誤が繰り返された結果、魔術符の作成は特別な許可を得た者のみが許されるようになったという歴史がある。



 そんな魔術符だが、今まで大事件が起きなかったのには訳がある。

 それは、『魔術符作るのめっちゃ難しくて大変問題』があるからだ。

 じゃあ、早速作りながらその苦労を解説しようか。





 私は執務室の隣の部屋の椅子に座り、そして目の前の机に紙の束を置く。

 この部屋は、いうなればサブ執務室、といったところか。

 それはさておき、早速魔術符を作ろう!




1.まず、魔法の紙を用意しましょう。


 ここで、大体の魔法使い達は詰む。お母様は普通に作り出したが、あれはお母様が天才故に出来たこと。

 普通の魔法使いは魔法の紙を買わなければならないのだが、これがかなり高いのだ。




2.次に魔術符に封じたい魔法の魔法陣を書き込みましょう。


 私は異空間収納から研究日記を取り出し、修正点を消しながら、魔法の上に魔法陣を書いていく。何枚も何枚も。

 面倒くさい。でも間違えないように集中。

 そして、数時間が経過した頃、そこには七枚の魔法陣が書き込まれた紙が。




3.では、魔法陣に魔力を注ぎましょう。


 これ。これが普通の魔法使いの第二の壁。

 例えば、ファイアボールの魔法を魔術符に封じたいとして、普通にファイアボールを使った時に消費される魔力が十だとする。

 じゃあ、ファイアボールを魔術符に封じる時必要になる魔力はどれくらいでしょう。


 正解は………百。



 そう、十倍必要です。

 これ、より強大な魔法になればなるほど影響が大きくなっていくの。

 魔力の保有量は十人十色。普通の魔法使いには無理ゲーです。

 それに、こんな効率の悪いもの要らねえよ!っという魔法使いのなんと多い事か。

 …いや、知らないけど。


 というわけで現在、出来た七枚の魔術符見習いに、魔力を込めてます。

 もうすっごい魔力、吸われてます。

 ですがそこは私。難なく魔力込め完了。




4.魔術符に発動の条件を付けましょう。


 うーん。

 無難に、魔法の名前で発動でいいかな。

 名前…どうしようかな…。


 面倒くさいから、クリエイト・ヒュージプリズンでいいや。




5.あなたの名前を記入しましょう。


 はいはい、テラスっと。




6.これで完成です。




 はあ…疲れたぁぁ…。

 いくら無限に近い魔力保有量があっても、流石にこんなに魔力を使ったら疲れる…。

 

 てか今更だけれど、お母様なんでこれ作らせたんだろう。

 …まあ、いいか。さっさと納品して、エクラに癒やして貰おう。

 あれ?なんかその事を考えたら元気出て来た!

 そうして、ルンルンの変なテンションになった私は、七枚の魔術符を持って隣の執務室へと入室する。




 そんな私だったが、執務室の雰囲気があまりにも重かった為、変なテンションを吹き飛ばす。

「失礼します。お母様、完成いたしました。取り敢えず七枚作りましたが、量産も可能です。」

 部屋に入った私は、姫様モードになってお母様に話しかける。

 お母様の対面にはお父様。

 二人とも、かなり険しい表情をしている事から、事態が良い方向に進んでいない事が感じ取れる。

「あら、もう出来たのね。渡しなさい。」

 お母様は私から魔術符を受け取り、そして確認を始めた。



 お母様が七枚の魔術符の確認を行っている最中、私は現状についてお父様に聞く。

「……我が国の領土で生活する全ての人族が、この街で暴れ出した人族と同じように暴動を起こし、さらに人族とは思えない程力を有している為、既にいくつかの街は陥落し、地獄絵図と化してしまったようだ…。」

「そんな…!」

 今初めて知ったみたいな発言をしたが、さっき予想した通り滅んでしまったか。


 本来の人族と魔族の対立なら、魔法が使え、身体能力も高い魔族が圧倒的に有利だ。

 その差を、昔の人族は精霊術で埋めたが、それでもやはり強いのは魔族だ。

 そして何より、我が国は魔族七割人族二割ななため、数的有利も取れているのだ。

 しかし現状は、何かの力によってか人族は強化され、圧倒的数的有利も覆したのだ。



 そして大切な事だから何度も言うが、我が国は世界の平和の為の国である為、国の力を持っての殺しなど許されない。

 だから、どうするべきか対応に困り果てているのだ。

 お父様は眉間にシワを寄せ、呟く。

「我のブレスで薙ぎ払う訳にもいかないからな…。やりづらくて敵わん…!」





 それから少しして、私が作った魔術符の確認を終えたお母様が立ち上がる。

「あなた。テラスのこの魔法を使って、出来るだけ多くの人族を捕えるわよ。あなたは龍化して、出来るだけ多くの人族の注目を集め、私が指定する場所まで誘導してちょうだい。テラスはこの首都を守りなさい。今の貴方の実力なら、必ず成し遂げる事が出来るわ。」


 この詰みみたいな状況を、お母様は打破しようとしていたのだ。

 その覚悟が、私には眩し過ぎてお母様が光り輝いているように見えた。…いや、本当に光っていた。

 窓から朝日が差し込んできたのだ。


 いつの間にか朝を迎えたようだったが、そんな事は気にせず、私は真剣なお母様の表情に応えるように頷いた。


「良い表情をするようになったわね、テラス。」

 そう言って、優しい笑顔を私に向けながら頭を撫でるお母様。今度は鷲掴みはなかった。

 そんな私達を嬉しそうに眺めるお父様。

 私にゆっくりと歩み寄ると、お母様と交代するように私の頭に手を乗せ、

「そうだな、ロア。我らの娘は立派に成長していたのだな。…はは。少し、寂しいぞ。」

と、優しく撫でてくれた。




 え……なにこの雰囲気…。お父様とお母様、ちゃんと帰ってくるよね…?

 大丈夫だよね…?

「お母様…?お父様…?」

 私は、つい不安そうに二人を眺めてしまった。

 そんな私に返ってきたのは、二人の寂しい笑顔と頭撫でであった。








「失礼します!大変です!」

 そんな雰囲気をぶち壊して、その近衛兵は執務室に駆け込んで来た。

 その近衛兵に、お父様とお母様は少し顔を歪めたが、直ぐにキリッとした表情に戻る。

「何があったのだ。」

 お父様が発言を許可すると、近衛兵はとんでもない事を口にした。


「それが…姫様によって捕らえられた人族が、日の出と共に突然皆自害致しました…。」


「は?」

(゜Д゜)ハァ?

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