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転生奇跡に祝福あれ  作者: ルミネリアス
第一章 奇跡な幼少期
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第二十話 王女と涙

 チュンチュンと鳥の鳴き声が、窓から差し込む朝日と共に部屋に入ってくる。

 チュンチュンと言う鳴き声といえば雀だが、もしかしたら、この世界にも雀のような鳥がいるのだろうか。


「ふわぁぁ…。」

 そんな、どうでも良い様な事を考えながらあくびをし、まだ少しボンヤリしながら、今日もいつもと何も変わらない1日の始まりを迎える。



 …はずだった。



 自分の、寝ている身体を起こそうとベッドに手を付き、そしてムニッとした感触を得る。

 その感触の正体である、隣で寝息を立てている少女に気付き、私の意識は覚醒する。



 ゆうべは おたのしみでしたね



 そんな言葉が脳裏をよぎった。

 しかし断言しよう。

 私は何もしていない!!


「んむぅ…?あ、てらすさま。おはようございます〜。」

 少し寝ぼけているエクラが、起床と共にそんな事を言ってきたので、私の意識は飛びそうになる。可愛い。





 私は昨晩、エクラに添い寝をお願いされた。

 私の心臓は、ドキドキで壊れたかと思うぐらい音を鳴らしていたのだが、その後、エクラが添い寝をしたいその理由を聞いて落ち着く。


「私、最近ずっと怖い夢を見るんです。テラス様が誰かに連れて行かれて、もうずっと会えなくなる夢や、テラス様が誰かに殺されてしまう夢など、どれもテラス様が居なくなってしまう夢なのです。…それで最近、あまり良く眠れなくて。」


 なるほど…。だから私と一緒に眠る事で、安心して良く眠れるのではないかと言う事か。


 私はすぐさまソフィを呼び、この部屋で寝泊まりする事を伝える。

 その発言に、ソフィは驚いていたが、エクラも驚いていた。


 そんなエクラに言葉を送る。

「ねえ、エクラ。私は、貴方がとっても大切なの。そんな貴方の苦しみが添い寝で取り除く事が出来るのなら、いつでもする。もっと私を頼って。」


 そんな言葉にエクラは、

「じ、じゃあ、ずっと私と一緒に居てくださいますか…?」

と、少し恐怖を含んだ瞳のエクラは問い掛けてきた。

 私はそんな様子のエクラに、

「ええ。」

と、妖艶で、それでいて意味深な笑みを返した。



 …うわー!何やってんの私!

 超恥ずかしー!!

 と、昨日の出来事の振り返り悶絶していると、ふとエクラの事が気になり、意識が一気に現実に戻ってきた。


「おはよう、エクラ。今日は良く眠れた?」

 エクラは、段々と意識が覚醒してきたのか、フニャッとした顔が、いつもの可愛い顔になっていく。

 そして、少しだけ赤面しながら、

「は、はい。良い夢が…見られ…ました…。」

と、返した。



 撤回。少しだけじゃなくなった。

 私の顔を見て、めっちゃ赤面したエクラ。

 え?夢の中で私、何かやっちゃったの!?




 しばらくして、落ち着いたエクラ。

 しかしエクラを見ると、笑顔であったので、どんな夢であったのかは知らないが、少なくとも悪い夢とはオサラバ出来たようで良かった。 




 私はエクラから『ずっと一緒』という言葉を受けた時から考えていた事を、エクラに話す。

「ねえ、エクラ。私達、部屋を引っ越して一緒に同じ部屋に住まない?」


「え、えええええ!?!?」

 もう何度目かの、エクラの絶叫が部屋に響いたのであった。




 私は、簡素な説明をし、詳しい話は仕事が終わってからするけれど、それまでに考えておいてと話してから、ソフィを呼び出した。

 その後部屋に入って来たソフィに身支度を整えてもらい、王の仕事へと向かった。




 私は、王座の間に向かいながら、ソフィに一つのあるお願いをした。

 それは、とある特徴を持ったドレスを何品か購入してくることであった。




 王座の間へと到着し、ソフィと別れた私は、宰相の二人に挨拶をする。

「本当に角を手に入れたのですね。おめでとうございます。」

と、エスタル。

「おめでとうございます。これは、陛下もさぞお喜びになる事でしょうね。」

と、レミア。


 そんな、挨拶を交わし、仕事を始める。




 しかし今日も暇で、結局使者は一人も来なかったのだが、とある情報を持った兵士が謁見を望んできた。

 そしてその情報とは、あさっての正午頃に、お父様とお母様がシュトラール城へと到着するという情報であった。



 そんなこんなで無事に今日の仕事は終わり、目を通してほしいと言われたいくつかの書類に目を通した後、私はエクラの元へ向かった。

 にしても、こんなに楽で大丈夫なのだろうか。

 なんだか心配になるが、これも、宰相の二人の努力の賜物なのだろう。

 ありがたや〜。





 エクラの部屋に戻ってきた私を待っていたのは、大量の服を用意したソフィだ。

 私がお願いしたから、ソフィはこのように大量の服を用意してくれたのだが、普通の服ではないので、集めるのに苦労したはずなのだが、この仕事の速さは流石としか言いようがない。


 私が用意を頼んだのは、有翼者用のドレス。

 背中に翼を通すための機能がついている。

 このような特徴を持つドレスを用意させたのには、二つの理由がある。

 一つは、新たに手に入れた龍の翼を具現化させたまま、帰ってきたお父様とお母様の元へと出て行き、驚かせたいから。

 そしてもう一つは…。




 私はソフィによって、上半身が下着だけの状態になる。

 エクラは、目を手で覆い、私の裸を見ないようにしているが、手の指の隙間からたまに覗いていた。別に、エクラにならいくらでも見てもらって構わないのだけれど。


 そして、私は龍の翼を具現化させる。

「「おお…!」」

 ソフィとエクラの感嘆の声が重なる。

 私はそれを無視し、早速試着を始める。

 このあとに、エクラと部屋を見て回る約束があるのだ。早く終わらせたい。

 それに…。



 落ち着いた色のドレスから、少し派手めな物まで、沢山用意されていた。


 私は新しい服を着るたびにエクラに、

「ねえ、これはどう?」

と、問い、

「とても似合ってて可愛いです!」

という返事を貰う。

 あれ、なんか凄く楽しくなってきた!

 と、調子に乗った私は、ファッションショーの始まりを宣言し、その後もどんどん試着しては、エクラに可愛いを貰った。



 結局、そんなに派手過ぎず、しかし王族としての品格は落とさない、そんな服を何着か選んで、私の服は決まった。

 黒紫というのか、そんな色のドレスだ。


 …さて。


「…よし、エクラ。次は、あなたの番よ。」

「…え?」

 そう、二つ目の理由は、エクラの背中の小さな白い翼用の、服が欲しかったのだ。


「エクラ。貴方にとって、その翼は良いものではないと思う。でも私、エクラのその白くて小さな翼が、とても可愛らしくて好きなの。だから、服で押し潰して隠すなんて、悲しい事はして欲しくない。」

 私は、エクラの瞳を見つめ、気持ちを伝える。

 しかしエクラは、何も言わない。

 だから、私は言葉を続ける。


「…でもこれは、私のワガママ。エクラが嫌だと言うのなら、私はエクラの気持ちを尊重する。だから…」

「…着ます。」

 エクラは、私の言葉を遮りそう宣言する。

「確かに、私はこの背中の翼のせいで酷い目にあってきました。…でも、テラス様がこの翼を好きと言ってくださるのなら、私、この翼を持ってて良かったと思えるような気がするんです!」

 そう言って笑うエクラのその笑みに、一片の曇りもなかった。

 



 ああ。エクラはなんて良い子なのだろう。

 そして、私はなんて最低なのだろうか。

 嬉しそうに服を選ぶその姿に、私の心は痛められていく。


 エクラが断るはずが無い。


 私にはそんな確信があった。

 いや違う。エクラに断れるはずが無い、そちらの方が正しいだろう。

 私は、エクラの私に対する信心、そして良心を分かっていて、あの様な発言をした。


 途中、試着したエクラが、私がしたように評価を訪ねてくる。

 私は、可愛いねと返す。


 だが、その時の私はちゃんと笑えていただろうか。







 私はエクラ。

 両親の顔さえ知らず、全てに絶望しながら生活していた私に、突然現れ、無償で全てを与えてくださっているテラス様。


 昨日は、添い寝までしてくださった。しかし私は不敬にも、テラス様と結婚式を挙げる夢などを見てしまい、朝は恥ずかしさと申し訳無さについテラス様から顔を逸らしてしまいました。

 そんな私に、今度はなんと、一緒の部屋で暮らそうと言ってくださったテラス様。

 その笑顔は輝かしく、私に向けられるのは勿体なく感じてしまいます。


 …でもどうして、テラス様はここまで私にしてくださるのでしょうか…。





 テラス様が仕事の為に部屋を出て行きその数時間後、テラス様のメイドのソフィ様を筆頭に多くの使用人さんたちが、私の居る部屋に大量の服を置いていきます。


 私が困惑していたら、運び終えたのか、使用人さん達は出ていき、私とソフィ様の二人だけになりました。

 そしてソフィ様は、運び込まれた大量の服を整理していきます。

 ものすごい手際の良さに私は思わず、見とれてしまいました。


 その後少しして、笑顔のテラス様が帰ってきました。そして、ふぁっしょんしょー?とやらが始まり、テラス様は私の目の前でどんどんと着替えていきます。

 どれもとても良くお似合いで、私は沢山テラス様に可愛いと言いました。



 でもその後は予想外で、まさかの私の番でした。

 テラス様は私にとても申し訳無さそうにしながら、私の翼を好きと言ってくださいました。

 正直、私はこの翼が嫌いです。

 ですが、テラス様が好きだとおっしゃってくださるのなら、私も好きになれそうだと、私なりに頑張って伝えました。


 しかし、返ってきたのは、とても辛そうなテラス様の笑みでした。



 私は心臓が跳ねるのを感じました。何か悪い事を言ってしまったのでしょうか…。

 しかしすぐに私のふぁっしょんしょーが始まります。

 私は、テラス様が私にしてくださったように、テラス様に何度も評価を訪ねました。

 こうする事が正解だと信じて。


 テラス様は可愛いと笑ってくれました。しかし何故でしょうか…、その笑みに、何か暗いものを感じてしまいました…。



 私には、テラス様しかありません。

 テラス様に求められて初めて、私には価値が生まれるのです。

 この気持ちは…何なのでしょうか…。







 その後、エクラのファッションショーは終わり、控えめなエクラは、ほんの数着の、地味な服を選んだ。

 私は、さっきまでの悪い考えを捨て去り、頭を切り替える。

「エクラには、このドレスが似合うと思うな。」

 そう言って、私は一枚のドレスを持ってくる。

 それは、純白のドレスであった。



 少しして、私が渡したドレスに着替えたエクラを見て、目を丸くした。

 純白のドレスに、背中の小さな白い翼はあまりにも似合い過ぎた。

「どう…ですか…?」

 不安そうに上目遣いで聞いてくるエクラのその破壊力に、倒れそうになる。

「すっっごく似合ってる!ね!ソフィ!」

「はい。とてもお似合いです。」

 その言葉を聞いて、少し安堵を混ぜた笑みを返したエクラを見て、私は気付く。

(ごめんエクラ…やっぱり、さっきは上手く笑えてなかったんだね…。)




 私は猛反省し、脳内で自分の頬を叩くと、椅子から立ち上がった。

「よし!服も決まったことだし、早速部屋を探しに行こ!」

 そう言ってエクラの手を掴み、エクラの戸惑いの声を無視し、部屋の外に飛び出した。

 その様子を見ていたソフィは、やれやれといった仕草を浮かべながらも、その顔は笑みに包まれていたのであった。







 無策で部屋を飛び出したように見える私だが、実は既に候補の部屋はいくつか絞ってある。

 というのも、王座の間に居た時、暇だったので近衛兵(勿論忍者部隊)に命じ、城内の地図を持って来させ、宰相の二人に事情を説明し相談していたのだ。


 というわけで早速、一つ目の候補の空き部屋へと向かっているのだが、使用人達が皆、ものすごい形相で私達を見てくる。

 背中に龍の翼を生やした黒い王女と、背中に小さな白い翼を生やした白い少女が、とても仲良さそうに手を繋いで歩いている、傍から見ればそんなカオスな状況なのだから、無理もない。





 私が新しい部屋に求めた条件は、

 裏庭が近い事

 あまり豪華な装飾がされていない事

と、つまり今の私の部屋と同じような場所というわけだ。

 エクラに、廊下を歩きながらその事を伝えた私は、

「候補の部屋は今の所三つあるんだけど、最終的な部屋の決定はエクラにしてもらいたいの。」

「私、ですか?」

 エクラには私の条件を飲んでもらう事になるのだ。

 ならばせめてそれぐらいの決定権は与えるべきだと思ったうえでの発言であった。




 少し経ち、私達は一つ目の候補の空き部屋へと着いた。

 中は、少し狭く感じる広さであった。

 窓から見える景色は、使用人達の利用する井戸と、それを囲っている生け垣ぐらい。

 ここは一階であるから仕方が無い。

 それに私は今回、隣の部屋も利用する計画を立てている為隣の部屋も見たが、同じ広さの部屋であったので、

「うーん。無しかな、ここは。」

と、私は言った。




 私達は、次の候補の空き部屋へと着いた。

 中は、先程よりは広い。私の今の部屋と同じ…なんてそれもそのはず。

 ここは三階の、私の今の部屋なのだから。

 なので、外の景色も悪くない。

「テラス様!ここ、いい匂いがしますね!」

「エクラ〜!ありがとう〜!!」

 ああ可愛い。

 さて、隣の部屋チェックの時間なのだが…悪くない。隣の部屋は、今は使われていない倉庫用の部屋なので埃っぽく、そして少し狭い。

 だが、この狭さこそ、私の計画の為に必要なのだ。




 さて、ついに最後の候補の空き部屋へとやって来たのだが…。

 まず部屋は、十分過ぎる広さがあった。

 そしてここは四階。窓からの景色も最高だ。

 続いて、隣の部屋チェックだが、ここも悪くない。いや、むしろ良い。

 さっきとは違い、ここは今なお使われている資料の保管庫なだけあって、綺麗に掃除されてあった。

 ただ、少し広すぎる気もする。





 三つの部屋を巡った私の中で、一つ目の部屋は、既に候補から消えていた。

 後は二つなのだが…。


 やはり最後は、エクラに任せようと思いながら、私は隣の部屋から、三つの候補の部屋に戻った。

 するとそこには、外の景色を眺めるエクラの姿があった。

「凄く綺麗な景色ですね…!」

と、彼女は私がこの部屋の隣の部屋を見に行った事にも気付かずにいた。


(どうやら、ここで決まったようだね。)

と、私は笑顔でそんなエクラを眺めるのであった。



 その後我に返ったエクラに、どの部屋にするか質問したが、やはりこの部屋だと決めた。

 私は、その決定を快諾し、エクラと手を繋いで執務室へと向かっていくのであった。





「本当に、私が入ってもよろしいのですか…?」

「いいよ。だって、今の私は王様代理なんだから!」

 と言いながら、執務室の扉をノックする。

 どうぞ、という声を聞き、エクラが握っている手の力を強めるのを感じた。緊張しているのだろう。



 入室すると、そこには仕事をしている宰相二人の姿があった。

「なんと…!話には聴いていましたが、本当に龍の翼を手に入れていたのですか…!」

と、レミア。

「ええ。見事な翼でございますね、姫様。」

と、エスタル。

 そんな二人に、私は部屋が決まった事、そしてどこに決めたのかを伝えた。


「了解致しました。では早速、計画の通りに事を進めようかと思うのですが、宜しいのですか?」

「ええ、エスタル。お願い。」

「はい。では、失礼します。」

 そう言って、部屋を出ていったエスタル。

 実は、王座の間があまりにも暇だったので、部屋についての相談をしたとき、引っ越しの計画まで立てておいたのだ。

 実は引っ越しはすぐ済むのだが、隣の部屋を改造する為、数日はかかるので、まだしばらくは今の部屋のままなのである。





 執務室から出ていくエスタルを見送ったあと、レミアが興味深そうにエクラを眺める。 

「貴方がエクラさんね、初めまして。私はレミアというの。よろしくね!」

 あ、話しかけた!

 私は、椅子に座り、のんびり紅茶を飲みながらそんな事を考え、二人を観察する。

「は、初めまして、です。エクラ、です。よろしくお願いします、です!」

 変な語尾になってるエクラ可愛い。


 その後、二人は仲良く話す、というか、レミアが話しかけ、それにエクラが一生懸命答え、それを私がニヤニヤしながら眺める、という時間が夕食まで続いたのであった。







 そして一日が経った。

 今日は遂に、お父様とお母様が帰ってくる日だ。

 私は、あの日からずっと一緒に寝ているエクラを起こし、ソフィを呼び、身支度を済ますという新たな朝のルーティンを済ませる。

 私は寝ている間は消していた龍の角と翼を具現化させ、エクラに行ってきますの挨拶をすると、最後の仕事に向かう。



 最初は翼に驚いていた仲の良い使用人達も、見慣れたのか普通に挨拶をしてくる。

 私は笑顔で返しながら、王座の間に向かった。



 王座の間に入ると、いつもの二人。

 いつもの挨拶を受け、いつもの挨拶を返し、そして仕事を始める。

 しかしこのやり取りも最後だと思うと、少し寂しく感じる私であった。


 今日は珍しく、二国から使者が訪れた。

 二国の使者のその両方が、私を見てかなり驚いていたが、無事に話は終わり、その後しばらく暇な時間が続いた後、遂に終業の時間がやって来た。


「「本日もお疲れ様でした、姫様。」」

 ああ、なんだろう、寂しい…!

「ええ。貴方達も、私を沢山助けてくれてありがとう。おかげで、今日までなんとかやってこれました。」

 複雑な感情を抱える私に声をかけるのは、この数日でとても仲が良くなったレミアだ。

「そんな。姫様は、立派に王を務められていましたよ。」

 その言葉に続けるのは、クールだが、意外と楽しいところもあるエスタルだ。

「その通りです。姫様は既に、ご立派な王でございましたよ。きっと、私達の助けなど無くても、姫様であれば大丈夫出会ったと思います。」

 その言葉に、私は感情が溢れそうになるが、堪える。

 まだ仕事は終わっていない。

 お父様が帰ってくるまで、私はこの国の王なのだから、泣いてなどいられない。



 すると、城下から物凄く騒がしい音が聞こえてきた。そしてそれは近付いてくる。

 聞こえてきたのは、祝福の言葉であり、歓喜の言葉であった。


 お父様とお母様の帰還の合図である。


 私は今すぐに駆け付けたい気持ちを抑え、その時を待つ。



 そして、その時は訪れた。

 近衛兵が手に持つ槍を掲げ、そして叫ぶ。

「国王陛下のご帰還です!!」

 その瞬間、王座の間の扉は開く。

 そして、威風堂々とお父様とお母様が歩いて入室し、王座に座る私に近付く。

「ただいま!我がテラスよ!」

「ただいま、テラス。」

 そんな何気ない言葉が、私の感情のダムを決壊させた。



 私は、涙を流しながら、お父様とお母様に抱きついて、

「おかえりなさい!お父様!お母様!」

と、笑顔を浮かべたのであった。

 第一章、完!

 そして第二章ですが、先に言っておきます。

 ほんわかかわいい日常!…みたいな展開は、期待しないほうがいいですよ。

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