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転生奇跡に祝福あれ  作者: ルミネリアス
第一章 奇跡な幼少期
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第十四話 王女と幼女

 舞踏会の後、私はヘクセレイ様と再会の約束をし、別れた。

 …私の胸にこみ上げるこの寂しさ。

 どうやら私は、すっかりヘクセレイ様に懐いてしまったようだ。




 名残惜しさを感じつつ、お母様とお父様と合流した私は、大人しく待機室へと戻った。




 待機室内の椅子に座った私は、少しの間を開けた後、突然立ち上がって心の中で叫ぶ。



(何とか無事に乗り切ったあああああああ!!!!)



 そして、また椅子に座って溶ける。はぁぁ…。

「姫様。お疲れ様でした。」

 そう言いながら、私の肩を揉んでくれるソフィ。さらに溶けちゃうぅぅ…。



 そんな様子の私に話しかけてきたのは、お母様だ。

 お父様は、大使館への撤収の為に色々動いている。


「それにしても、ヴェデーレの王とたいそう仲良くしていたわねえ。一体、どのような話をしていたのかしら?」

 ん?なぜそんな事を気にするのだろう。

 やっぱり、お母様はヘクセレイ様と何か繋がりがあって、それを娘に話したのかどうか確認したいのだろうか。


「魔法についてご教授して頂いておりました。それだけでなく、私に近づこうとする輩がヘクセレイ様を見て離れていったため、おかげ様で、とても楽しい舞踏会になりましたの!」

 そう言って、子供の純粋無垢な笑顔をお母様に向ける。


「そう。それは、ヴェデーレ王に感謝しなければなりませんね。本当は私たちが、貴方の舞踏会を楽しいものにしてあげなければならなかったのですから。…ごめんなさいね。」

と、少し寂しそうな顔をするお母様。


 私は、そんなお母様の手を握り、そして目を見て、微笑んだ。


「良いのです。お母様が、大変多忙な身であることは承知しておりますから。」

 私の言葉への返答は、少し辛そうな笑顔だった。






 その後はしばらく、撤収準備に尽力していた。

 …ソフィが。



 私も手伝うと言ったら、「駄目です。」と、ハッキリと断られてしまったのだ。


 というわけで私は、帰還準備が終わるまで暇。

 なので、今私は世界会議会場の中庭を散策している。

 とても綺麗に整備された生垣も見事だったが、バラみたいな形の、何故か発光している花がとても幻想的な雰囲気を醸し出していた。



 私は、そんな中庭に一つの小さなベンチを発見する。

 あまり綺麗では無かったが、ベンチがあったこの場所は周りが植物に囲まれているため、特に景観に影響は出ていなかった。


 というか、ここなんか秘密基地みたいでワクワクしてくる。


 お姫様モードに疲れた私は、完全に気を抜いて、ベンチの端にちょこんと座る。

 …あ、ちゃんと不可視と無音の魔法は発動させてますよ。


 そして、独り言モードへと移行する。


「疲れた…。これ、四年ごとでも嫌すぎる…。次もヘクセレイ様に守ってもらえるとは限らないし…。エクラに会いたいし…。」


 そんな事を言いながら、私は、異空間収納から例の日記を取り出す。

 さっき急遽作った花火の魔法、星花火について、実際に発動させて感じた事や、改善点などをまとめていく。

 ブツブツ独り言を呟きながら。



「想定より数秒発動に遅延があった…。発動させる距離を失念していた…。音をもう少し抑えて…。振動も軽減させるべき…。」




「姫様ー!何処ですかー!」


 ソフィのそんな声で我に返った私は、異空間収納に日記を放り込み、ベンチから立つ。


 そして、声のする方へと歩みをっ…!?



「幽霊さん〜?お勉強は終わったの〜?」




 びっっっっくりした。集中し過ぎて、周りに全く意識を向けていなかった。

 誰この金髪幼女!?

 てか私、不可視と無音の魔法、かけてたよね!?なんでこの幼女、私が見えているの!?


「え、ええと、私はね、幽霊さんではないよ?私は、テラスっていうの。宜しくね。」

 そう言って、同様を必死に隠して微笑みかけながら話す。

 …しかし、幼女は、首を傾げるばかりだ。


 …?

 …あ、もしかして。


「ベンチを立って、私に近づいてくれない?」

 そう言っても、首を傾げるだけ。

 やっぱり、声は聞こえていないみたい。


 一応、こっちも試す。


 私は幼女に、私に近付くように手招きをする。

 すると、幼女は嬉しそうに私に近寄ってきた。やっぱり見えてるかぁ…。


 私は、幼女の耳元に近づいて、無音の魔法を解く。

 髪に隠れて見えなかったが、その小さな耳は尖っていた。

「今日の事は、秘密だよ?」

「うん!わかった!」

 その返事を聞くと、私は飛行の魔法でその場から逃げた。

 後ろからバイバーイという元気な声が聞こえてきたが、私が振り向くことは無かった。




 そうして幼女から逃げた私は、ソフィの位置を上空から確認し、近くの茂みに降り立った。

 その後飛行と不可視の魔法を解き、ソフィと合流した私は、さっきの子について考えつつ自室へと戻る。


 それにしても、まさか私の魔法を見破られるとは思わなかった。

 可能性は三つ。

 一つは、私の魔法に何か問題があった可能性。

 二つは、私の不可視の魔法に何か対策がある可能性。

 三つは、あの幼女が何か、特別な能力持っていた可能性。


 耳の形、そしてその高貴な身なり…。


 一体、あの子は何者…?




 部屋に戻ると、ソフィがこのあとの予定について変更があった事を話す。

 まず、今日はもう遅い時間なので、ここに泊まり、明日の朝八時に出立する事、そして、シュトラール城、つまり我が家に帰るのを一日遅らせるとの事。


 この変更のお陰で、明日一日はこの街を探索出来る!

 あ、せっかくだし、エクラも連れて行こう!


 なんだか、急に明日が楽しみで仕方なくなりソワソワし始めた私の様子に、ため息を付くソフィ。

 しかし、まだまだこれからも忙しいのであろうソフィは、私に小言を言う事もなくお休みの挨拶を伝えると、忙しなく部屋を出ていったのであった。




 ソフィを見送った私は、異空間収納から例の日記を……そろそろ例の日記と呼ぶの、面倒になってきたな。

 これからは研究日記と呼ぼう。


 さて、研究日記を取り出した私は、不可視の魔法のページを開く。

 そこに刻まれるは私の努力だが、今からはその努力を見直す作業をしなければならない。

 はあ…、憂鬱。

「さてっと。何処かに何か間違いが…。」




 結論から言うと、間違いは無かった。

 魔法の構成、現れる事が予想された効果、効果が現れる時間…など、どんなに見直しても、狂いは無く、やはり何らかの手段で無効化されたとしか考えられなかった。


 確かに、魔法を無効化する手段は存在する。

 が、それなら何故無音の魔法は無効化されなかったのかがわからない。

 不可視だけを無効にする能力?それこそあり得ない。

 この世界に、不可視の魔法に似た効果の魔法は存在しない……訳では無いけれど、あれは個人だけを消すことのできるような、そんな高度な魔法では無いからなあ…。

 でも、そんな魔法があったら暗殺し放題の大問題になり、何らかの対策魔法が作られるはず。

 そしてそんな大事な対策魔法が存在するならば、世界に広まらないはず無いと思う。

 …多分。



 仮に、不可視の魔法を無効化する力や魔法の名を『看破』とするとして、その看破対策の魔法を作る必要が出てしまった。

 先程の花火の魔法のトレースとは違って、私は看破を把握出来ていない。

 算数しか知らない子供に、今すぐ数Ⅲを絶対に理解しなければ死ぬぞ、と言っているようなものだ。


 まあ、今回の出来事は、お前には警戒心というものが足りないぞ、という天啓だったと言う事にしておこうか。




 あの後、私の創作魔法の見直し作業は夜通し続き、朝六時を告げる鐘の音で一旦辞めにする。


 もう無理。対策の対策とか無理。

 なんで無効化されたのか全然わからんし、なんで自分の魔法の対策の対策とか超面倒くさい事考えなきゃいけないのか。


 結局、一つも対策の対策魔法なんてものは完成しなかった。先は長そうだ。




 徹夜してもこの体は元気そうだが、私の精神いろいろ重なって、かなり疲弊していた。

 だから、ちょっとでいいから寝ようと、席を立ち…


 コンコンっというノック音と、

「失礼します。姫様、おはようございます。」

という言葉と共に入室してきたのは、勿論ソフィだ。彼女も寝ていないのか、目の下にはくまが出来ていた。

「おはよう、ソフィ。せっかく来てくれたのに悪いんだけど、1時間だけ寝かせてくれない?お願い、ソフィ〜。」

と、あくびをしながら言う私。

 ソフィは、

「…しょうがないですね。一時間だけですよ。」

と、少し呆れながらも了承の意を示し、部屋を出た。

 流石はできるメイドだとソフィに感激しながら、速攻でベッドにダイブしたのだった。








~??の間~


 暗い空間に、何十個ものモニターが並んでいた。

 映し出されているのは前世の記憶。しかし、数個のモニターは画面が割れていた。


 ここはそう、夢だ。


 私は、そんな空間の真ん中にポツンと存在している椅子に座って、前世を眺めている。


 この空間には、とっくに慣れていた。もっと幼い頃からたまに見ていた夢なのだ。

 ただ、最近はこの夢は見ていなかった為、少し驚いた。

 しかしそれ以上に、驚いたことがあった。 

 前、ここに来たときとは明らかに違う点があったからだ。


 割れたモニターが増えていた点。

 そしてその新しく割れたモニターに何が映っていたのかが思い出せない点であった。



 私は椅子から立ち、割れたモニターの元へ進む。

 そして、割れたモニターに一番近い、割れていないモニターの画面を見る。

 そこには、高校生の自分の生活が映っていた。

 …まあ基本、ゲームしかしていなかったが。

 でも、そんな自分に笑いがこみ上げてくる。


「この頃は、始めて遊んだスマホアプリに熱中してた頃だったかな?…あれ、このあとどうなったんだったっけ。」

 この、記憶の間と私が勝手に名付けた空間は、モニターに、私の前世の全てを映し続ける。

 そして、割れているのは、恐らく失われた記憶なんだろうと思ってる。




 しかし、何故新しく割れたモニターが増えたのだろう…。

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