歌姫
それから俺は偶に歌を聞きに行くようになった。
当時の俺は基本的に娯楽にお金を使わなかったり偶に魔物を狩ってお金を稼いだりしていたのもあってそれなりに貯金があったんだけど偶にとは言っても結構な頻度で聞きに行ったせいでほとんど貯金がゼロになってしまった。
俺はその日、いつものように農作物を売りに行くついでに
焔々団の歌を聞きに行きたかったが何せ貯金がゼロなもんだからその日は諦めて家に帰るつもりだった。
俺が家へ帰るために都市を出て荷馬車を引いた馬に乗っていると女性たちの集団を見かけた。
その集団には何人か見覚えのある顔があった。
俺は馬をその集団へと走らせた。
そして俺は一人の女性に近づくとその人に質問をした。
「もしかしてあなた方は焔々団ですか?」
「あ、はい!そうです」
「皆さんは確かもう少しあの都市にいるのでは?」
「そうだったんですが急遽予定が変わりまして今日の公演を最後に別のところへ行くことになったんですよ」
「そうなんですか……」
まだまだ公演があると思って行かなかったけど手持ちの金を使ってでも行くべきだったかな。
「あれ?」
「もしかしてよく聞きに来てくれる人!?」
そう言って出てきたのは公演の最後に出てくる歌姫だった。
「あなたよく来てくれたわよね」
「ああ、よく聞きに行かせてもらった」
俺がそういうと何人かの女性が俺を睨んだ。
「みんな素晴らしい歌声だったから」
そういうと少しだけだが睨みが和らいだ気がした。
「そうでしょ!そうでしょ!」
「みんないい声なんだから!」
「中には恥ずかしくて公演に出ない子もいるけどね」
それを聞いたのか先ほどまで俺を睨んでいた女性は顔を赤らめ前を向いた。
「うっ」
そんな会話をしていると歌姫と呼ばれる女性は苦しみ始めた。
「不味い!」
「姫様!」
女性達は苦しみ始めた女性を心配しながら囲んだ。
「姫様!」
「姫様起きてください!」
「不味い、不味いわ!」
「今すぐ腕のいい魔術師のところに行かないと」
「確かさっきまで居た都市にも魔術師居たわよね?」
「はい」
「一応調べたら何人かいるようですが、あれを作れるのかもしくはあの魔法が使えるのか、そこまではわかりませんでした」
「それに噂では全員かなり高額を請求してくるようです」
「仕方ないわね」
「とりあえず戻りましょう」
「ねぇあなた」
「その馬を貸してくれない?」
「後で返すから」
「お礼もするし」




