楓
楓と三春が5歳になって。
楓が俺達の仕事に口出しをしてきた。
最初は子供の戯言だとやんわりと聞いていたが全て理に通っていた。
それから偶に楓の助言を聞いて仕事の改善などをしていたがある時、楓がとんでもない額の資金を要求してきた。
だがそんな額を齢5歳の子供に預けるのはリスクが高いと考え一度は却下した。
だが楓の資金の使い方のプレゼンを聞き悪くないと考えた。
だから楓にこう言った。
これに失敗した場合今後一切のお小遣いのなしに加え誕生日、クリスマスのプレゼントは無しというものを。
確かに楓は5歳離れした知識を持っているが子供らしい態度を見てきた俺からするとこの条件を出せば諦めてくれると思った。
でも楓ば諦めずその条件を飲んだ。
そして楓はその金の使い方を支持し結果的に莫大な資金が入るようになった。
その莫大な資金のおかげで幹部達を説得でき完全に汚い仕事から足を洗うことができた。
ただその代わり楓が物凄い力を手に入れることができた。
楓にはみんな頭が上がらない。
その楓が今回のことで初めてみんなに怒りを見せた。
楓は一度も俺らに此処までドスの効いた声を聞かせたことはなかった。
それにあの海斗君。
一体どういうことなんだ?
私は楓が大好き。
私の記憶がはっきりとしている時から楓とはずっと一緒にいた。
公園で遊ぶ時も買い物をしにいく時も遊園地に行く時もずっとずっと一緒にいた。
楓しかいなかった。
例えば公園で楓と遊んでいる時、話しかけてきてくれた男の子がいた。
そして仲良くなり次の日にまた此処で会おうと約束した。
でも次の日、楓と共に行ってみるとその男の子は来なかった。
結局楓と2人で遊んだ。
そんなのが何回かあったけどある日完全に私達に話しかけてくれる男の子はいなくなった。
女の子も話しかけてくれそうになったことは何回もあるけど近くにいる私達の付き添いに気づくと逃げと言ってしまってその内女の子も話しかけてくれる子はいなくなった。
結局私達は中学まで2人きりだった。
高校は遠い場所にした。
そして1人の男子に話しかけられた。
人間違いのようだったけど名前を言い合ってもしかしたら仲良くなれるかもしれないと淡い期待を抱いてしまった。
そのせいでその男子はあの人達に酷い目に遭わされた。
私はその男子のいる部屋に行けない。
申し訳なさすぎて会いに行けない。
もし楓が見つけなければもっと酷い目にあっていただろう。
此処に運ばれてきたあの人を見て悲しくなった私があんな淡い期待を抱いたから私があの学校に行ったから。
楓は頭がいい。
私の何倍も頭がいい。
私が遊んでいる時、楓はお父さんと難しい話をしていたし何故か楓にはみんなは私よりも硬いっていうか何というか私に気付かれないようにしてるけど何処かお父さんと同じような対応をしてた。