面倒
それからも拷問のような行為を受け続け時間の感覚がわからなくなって来た頃、重そうな鉄の扉がゆっくりと開かれた。
鉄の扉が開きそこから差した光はとても眩しく結構な時間をこの暗い空間に居たんだなと海斗は思った。
開いた扉から1人の人影がこの暗い空間に入って来た。
男達の幾人かがその人影に近寄り話をしていたが何か言い争いをしているようでその人影の主は話を切りこちらの方に近づいて来た。
「海斗!!!!!!」
「こ、こんなのって」
「み、三春さん?」
俺はそこで何かが切れたかのように意識を失った。
それからは偶に一瞬だけ意識を取り戻してはすぐに意識を失うを繰り返し最初の辺りは体中の激痛を感じ途中からは暑くて暑くて仕方がなかった。
「ハアハアハアハア」
海斗は荒い息をしながらゆっくりと目を覚ました。
目を覚ますと見知らぬ部屋でベットの上で眠っていた。
辺りを見渡すと暗く今は夜のようだった。
そしてベットの近くで寝ている三春さんがいた。
見てみると三春さんの近くには水の入ったタライと濡れたタオルがあった。
どうやら起きている間体を拭いてくれたようだ。
だがかなり時間が経っているのか海斗は汗で服は濡れおでこは冷えピタが汗で取れそうになっていて滝のように顔から汗が流れていた。
どうやらベットのシートも汗で濡れているようで色々と気持ち悪い。
体が動かない。
魔法で回復してもいいけどいきなり治ってたらいろいろ面倒くさいことになるだろうし回復して逃げたら逃げたらで後々学校で会った時に色々面倒くさいことになるだろう。
う〜ん。
まあとりあえず痛覚無効の魔法が解けてるみたいだから再び掛けてっと。
バレない程度に回復魔法も掛けてっと。
それにしても体中痛いな。
少しタオルを貸してもらってっと。
海斗は体を起こしタライに入ったタオルを手に取り体中の汗を拭き取った。
そしてもう一度横になった。
寝れなさそうだな。
仕方ないスリープを掛けてった。
海斗は自身にスリープの魔法を掛けゆっくりと深い眠りについた。
次に目を覚ますと部屋は明るくなっており少し体を起こしたい気分だったのもあって体を起こすと三春さんが部屋に入って来た。
「え〜〜と」
「おはようございます!」
三春さんは俺を見るや否や瞳から涙を溢しながら俺に駆け寄って来て抱きついて来た。
イタァァァァァァイ。
痛い痛い痛い痛いよ三春さん。
「本当にごめんなさいごめんなさい海斗!」
「海斗?」
「あの三春さんどうしたんですか?」