面倒
海斗は意識がはっきりしてくると男達は3人だけではなく二、三十人いることに気づいた。
それも全員武器を持って。
「あれ?」
「俺はバスに乗ってたはずだけど」
「ああ、あのバスはお前を連れてくるために用意したバスだ」
「へぇー」
「それで?なんで俺を此処に連れて来たの?」
「そりゃー」
「お前が舐めたことしよったからやろ」
「え?」
「お嬢を口説こうとしたやろ!」
「お嬢?」
「三春お嬢のことや」
ああ三春さんの、まあ違うだろうけど。
「三春さんのご家族?」
「まあそうやな」
「やからお前のしたことが腹が立って仕方ないんや!」
「いやいやいや」
「ちょっと待ってください!」
「俺は三春さんを口説こうとしたのではなく知り合いにとても似ている方だったので確認のために声を掛けさせてもらっただけで」
「あのな兄ちゃん」
「それのどこが口説くのと違うんや?」
「ああん?」
や、やべぇぇ話通じねぇぇぇ。
皆さんすげぇぇ頭に血が上ってらっしゃる。
「ほなそろそろ始めよか」
ガラガラガラガラ
1人の男が地面に金属バットを引きずらせながら近づいて来た。
「おら!!!!」
男は金属バットを構えその掛け声と共に金属バットを海斗の腹部に叩きつけた。
海斗は口から情けない声を出し腹部の痛みで頭を下げた。
痛えぇぇぇぇぇぇ!!!!!
あれれれ?
おっかしいぞぉぉぉぉぉ??
ただの金属バットが俺にこんなに痛みを感じさせるか???
いやそうか、そうだった。
あっちの世界だと勇者なこともあって魔力量が物凄い量である一定のレベルの魔法使いになれば魔力回復量を増やす術を知ってる。
だから常に身体強化を使っていてもその消費した分の魔法はすぐに回復してた。
でもこっちだとどんなにあっちで早く回復する術を使ったとしても身体強化に使った1分間の魔力消費分を回復するのに10分は掛かる。
だからこっちで魔法が使えると知ってからも使ってないんだった。
「よし!次は俺だ!」
そう言った男はメリケンサックを付けた右拳で左頬を殴りつけて来た。
強い衝撃が左頬に来て痛みを感じていると口の唾液がいつもより多いことに気づいた。
そして辺りに唾を飛ばすと血が混じってた。
「うわー口の中切ったんだけど」
「ふん!」
「まだ余裕みたいだな」
「次は俺だ」
「新しいの手に入れたんだ」
そう言った痩せた男が持っていたのは真新しいペンチ。
うわー嫌だな〜。
「いっきま〜す!」
男はペンチを海斗の爪に噛ませそういうと引っ張って爪を剥いだ。
男が両手の爪を剥いでいる間、男達の中には歓声を上げるものもいた。
男は両手の爪を剥ぐと靴と靴下を脱がせ足の爪も剥いでいった。
危ねぇぇぇぇぇ。
痛覚無効の魔法なんて久しぶりすぎて思い出すの遅くなったけど、どうにか剥ぐ前に魔法かけられた。