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YDK3667猫復讐物語  作者: JunG
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濫觴

血塗られたフローリングにナイフを持って立ち尽くしていた俺は、たちまち冷静になっていった。


目の前に広がる凄惨を極めたリビングをまだ受け入れられずにいた。


いつもは何も感じないはずの夕焼け、車の音、庭の木の葉が揺れる音、ひぐらしの鳴き声、蚊の羽音さえも何もかもが俺を嗤っているようで、ただ哀しかった。


気がつけば意識がなくなっていたようだった。


意識が覚めても、目の前の惨たらしい風景は変わっていなかった。そりゃそうか。


意識が完全に覚醒した時、急に吐き気がした。渇いた血の匂い、死体の腐敗臭、吐き気がしないわけがない。


トイレに吐き出している時にふと思った。

父さんが帰ってきているはずだと。

父さんに話を聞こうと思った。


勢い良く階段を上がり二階にある父さんの書斎に向かった。だが、扉を開けても誰もいない。


「そういえば、出張か。」


父さんは、明々後日まで、オックスフォード大学で、論文を出していくるとか言ってたな。メンタリストに利用されてそうだ。


そんな事を思えるほど今の状況は楽観視できるものではない。とりあえず家族の死体をどうするか考えた。


人が来たら面倒だからとりあえず埋めようと思った。

今日学校が休みでよかった。


「暑いなぁ」

もう8月、真夏だ。コロナウイルスのせいで夏休みはなしだ。


とりあえず、庭に大きな穴を掘った。

そこに母、妹、アマテラス、ツクヨミを埋めた。


とりあえずは安心だ。


フローリングの血も拭いておこう。

——————————————

その時だった。玄関に向かう最中に急な頭痛に襲われた。そのまま俺の意識はなくなった。


目が覚めた。


「なんで俺玄関なんかで寝てるんだ?」


キヲクを遡る。ダメだ。皆の死体を見て絶望していたとこまでしか分からなかった。


「ん?皆の死体?」


待て、その死体はどこだ?リビングに向かう。

無い。無くなってる。死体も、血も、匂いも全部。


「なんだ、夢だったのかよ」


俺は心の底から安堵した。


安心したら腹が減ったな。母さんに金せびってコンビニでなんか買ってくるか。


「母さーーーん!」


声が響く。だが、返事はない。家の中を探す。そうするとだがいない。


「どっか出かけてんのかなあ。しゃあない自腹で買うか」


玄関の扉を開ける。

日差しに刺殺されるような暑さだ。

だらだらと汗を垂らしながらもコンビニについた。


だが、人がいない。誰一人。


立ち止まる。コンビニの涼しさで冷静になった俺はあることに気づく。車が走っていないと。


おもむろに道路に飛び出す。車らしき影は何一つない。それどころか、人影ひとつもない。あるのは俺の影だけ。


「どうなってんだ?コロナウイルスはとっくに絶えたっていうのに。」


不思議に思いながらコンビニの品をパクり、帰る。

帰路を歩きながら周りを見渡すも、誰もいない。

なぜなのだろうか。


気づけば家にいた。俺は買ってきたガリガリ君夏の夕暮れ味〜海風を添えて〜をむさぼろうと思った。


一口目を口にしようと思った時、異臭がした。あまりにも臭かったので換気をしようとした。リビングの窓を開ようとする。その時、ふと視界に映った庭に目をやると、不自然な穴を掘って埋めたかのような盛り上がった土があった。


ただ、興味本位で、何が埋まっているのか。

得体も知れない何かを求めて俺は掘り返す。

そして出てきた“モノ”を俺は、理解できなかった


それは昨日の夢の出てきた家族の死体だった。


その屍は、俺を夢から覚ます。

亡骸を見て俺は思い出す。

あの時の俺の心を。


「そうだ。俺は、俺から家族を奪った奴に復讐をするんだ。」


俺の心中の何かが、動き出す。

どんな手を使ってでも、この身が果てようとも

俺は復讐すると誓ったんだ。


「まずは、殺した奴を特定しないとな」


部屋に向かう。

これでも俺は過去に2chで特定班の一角として名を馳せていた「teamJunG」に所属していた。


pcの電源をつける。

俺の復讐劇は動き出す。そして必ず終わらせる。

なんとしてでも。


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