第九十九話 クーロン軍、無双
10式戦車 1000台
16式機動戦闘車両 1000台
MLRS 1000台
Ⅿ2重機関銃を搭載した軽装甲戦闘車両 4万台
M2重機関銃と武装兵20人を乗せた7tトラック 4万台
秘密兵器を搭載した7tトラック 100台
兵士 100万人
福田はこの大軍を、10の軍に分けた。
10式戦車 100台
16式機動戦闘車両 100台
MLRS 100台
Ⅿ2重機関銃を搭載した軽装甲戦闘車両 4千台
M2重機関銃と武装兵20人を乗せた7tトラック 4千台
秘密兵器を搭載した7tトラック 10台
兵士 10万名
で構成される、第1軍から第10軍に、だ。
「この10の軍によってチャレンジ・シティーを包囲した上で、10方向から同時に攻撃する。それが自分の計画であります」
福田の言葉に、トウコツが興奮した声を上げる。
「凄まじい兵器を装備した100万の兵士で、いきなり街を包囲して攻撃か。これなら抵抗する暇もなくチャレンジ・シティーを滅ぼせるだろうな。カズトとリムリアと共に」
「いえ、いきなり都市を包囲などしないであります。チャレンジ・シティーを取り囲むように平野が広がっていますよね? 転移するのは、その平野であります」
「なぜだ?」
首を傾げるトウコツに、福田は尋ねる。
「確認でありますが、クーロン帝国はドラクルの一族が治める大陸を手に入れるつもりですありますよね?」
「もちろんそうだ」
「ドラクル最大戦力であるチャレンジ・シティーは1番の難敵でありますよね?」
「もちろんだ」
何を今さら、という顔のトウコツに、福田はニヤリと笑う。
「ならチャレンジ・シティーの持つ戦力、つまりチャレンジ・シティーが育てている冒険者も、できるだけ殺した方が良いでありますよね? チャレンジ・シティーを取り囲む平野に転移して、ユックリと進軍したなら、その冒険者達はきっと街から出て来て戦うでありましょう。街に立て籠もられるより、その方が簡単に冒険者を殺せるのであります」
「なるほど」
トウコツはチャレンジ・シティーに地形を思い出す。
周囲10キロは平原。
その平原をユックリと進軍すれば、街を守る為に兵士が出て来る筈。
ちなみに平原の大半は農地となっている。
近くを流れる大河がもたらす豊富な水のおかげだが、重要な事は。
「平地なら身を隠す場所がない。というコトは、フクダが生み出した兵器によって簡単に撃ち倒せる、という事か」
ニヤリと笑うトウコツに、福田は頷く。
「まずは7tトラックに搭乗した兵士による、89式小銃での攻撃。それで弱い冒険者は倒せる筈であります。ですが冒険者の強さを考えると、89式小銃の5・56ミリ弾に耐える者もいる筈であります。その時は、12・7mm重機関銃の出番であります」
「12・7mm重機関銃か」
その兵器の名を耳にして、トウコツはブルリと体を震わせる。
重機関銃が使用する12・7mm弾。
それが頭に命中したら頭が消失し。
胴体に命中した者は、体は2つに引き千切れていた。
バトルアックスやウォーハンマーでも、あれ程の威力はない。
そんな破壊力を毎分600発も撃ち出す兵器。
それが12・7mm重機関銃だった。
「あの凄まじい破壊力の弾を連続で吐き出す兵器の事だな。あの兵器で撃たれて無事に済むモノなど存在しないだろうな」
ジトリと汗を滲ませるトウコツに、福田が続ける。
「そして万が一、12・7mm重機関銃でも仕留める事ができなかった場合、10式戦車と16式高機動車による砲撃。あるいは兵士に持たせた91式携帯地対空誘導弾で攻撃するであります」
軽装甲機動車と7tトラック。
これらには91式携帯地対空誘導弾、30を搭載させている。
アパッチを撃ち落す為の武器だが、重機関銃に耐えた冒険者にも有効だろう。
「ではトウコツ殿。今の進攻計画に従って、兵士の訓練を始めるであります」
「おう。4日後が楽しみだ」
こうして兵器の訓練が始まった。
10式戦車と16式高機動車の搭乗者は砲撃の訓練だ。
89式小銃と12・7mm重機関銃、91式携帯地対空誘導弾。
この3つは、全兵士が使えるように訓練する。
特に91式携帯地対空誘導弾の訓練は重要だ。
なにしろアパッチは、1機で戦車20両以上を破壊する事も可能。
そのアパッチを確実に撃ち落さなければならない。
だが、アパッチ以上に厄介なのがF15。
衝撃波だけで軍に大被害が生じる恐れがある。
できれば撃墜したいが、どれほどの強度があるのか不明。
そこで考え付いたのが、MLRSのロケット砲だ。
ロケット砲を発射したら、きっとF15で撃ち落す筈。
そしてF15が撃ち落す度に、また1発だけロケット砲を発射させる。
これによりF15が戦闘に参加する事は防げるだろう。
その程度でいいのだから、MLRSの訓練は、それほど大変ではない。
それでもF15を抑え切れなかった場合は秘密兵器で無効にする。
そして特に重要なのが切り札。
異常な防御力を持つ装甲車に対抗する為に用意したものだ。
この切り札の訓練は、特に念入りに行う。
こうして3日が経過した。
もちろん、こんな短期間で武器を完璧に扱う事などできる筈が無い。
しかし、ある程度で十分だ。
最初からピンポイントで命中させる事など期待していない。
大量に発射したら、その内の何発かは当たる筈。
それで十分なのだから。
という事で福田は、4日目の早朝。
「トウコツ殿。チャレンジ・シティーへの転移をお願いするであります」
「よし。では、転移を開始せよ!」
10万人の命を犠牲にして、10の軍は転移したのだった。
クーロン軍は、チャレンジ・シティーから10キロの地点に出現した。
今の時刻は、夜が明ける1時間前。
奇襲に1番適していると言われる時間帯だ。
そして。
――全軍、クーロン軍の旗を掲げ、突撃せよ!
全車両の無線機から福田の声が響き。
10式戦車 1000台
16式機動戦闘車両 1000台
MLRS 1000台
Ⅿ2重機関銃を搭載した軽装甲戦闘車両 4万台
M2重機関銃と武装兵20人を乗せた7tトラック 4万台
秘密兵器を搭載した7tトラック 100台
は100万の兵士を乗せ、チャレンジ・シティーへと進軍を開始した。
『ユックリと進軍したなら、その冒険者達はきっと街から出て来て戦うでありましょう』
という福田の計画通り、クーロン軍はユックリと進軍する。
その速度は人間が歩く速度。
つまり、実に遅い。
チャレンジ・シティーに到達するまで3時間近くかかるだろう。
とはいえ、これほどの大軍が一斉に進軍を開始したのだ。
当然ながら、凄まじい地響きが発生する。
それはハッキリと地面が揺れていると感じ取れる程。
チャレンジ・シティーの見張りの兵が、気付かない筈がない。
結果、福田の企み通り。
「クーロン軍の襲撃だ!」
チャレンジ・シティーを取り囲む城壁に駐屯する見張りの兵に発見された。
その声を耳にするなり警備隊長が指示を飛ばす。
「警備兵、戦闘準備!」
さすがドラクル最強都市。
その1声で、迎え撃つ準備が完了する。
しかし城壁に常駐している警備兵の数は1万。
対してクーロン軍の数は100万。
警備兵だけでなんとかなる数ではない。
「ギルド本部に伝令! クーロン軍が、地を埋め尽くす大波となって押し寄せて来た! とな」
伝令が届くと同時に、ギルドは応援の兵や冒険者を招集する手はずになっている。
ドラクル最強都市の異名はダテではない。
非常事態に備えて、いつでもある程度の戦力を確保している。
だから僅か3分で、約5万の兵士と冒険者が城壁へと駆け付けた。
もちろん全員がスター持ち。
殆どが、リトルブルー以上だ。
なかにはファイブパープルまでいる。
だから数こそ5万だが、その戦闘能力は1400万人に匹敵するレベル。
本来ならクーロン軍100万程度に負ける筈がない戦力だ。
その自信により、指揮官は出撃する事を即断する。
「全員、討って出るぞ! 兵士は隊列を組んで前進! 冒険者は遊撃軍として、各個撃破に励んでくれ!」
訓練を受けた警備兵は隊列を組んで、軍隊として無敵の戦闘力を発揮する。
しかし陣形を組んで動くので、スピードに欠ける場合も想定される。
そこで高レベルの冒険者に、自由に戦ってもらう。
まず冒険者が敵陣を掻き回し、敵の連携を崩す。
そしてガタガタになった敵陣を、警備兵が討ち果たす。
今まで不敗を誇る、チャレンジ・シティーの戦法だ。
しつこいようだが、チャレンジ・シティーはドラクル最強都市。
この戦法で倒せなかった敵は、今まで存在しない。
だから、この判断は当然だといえよう。
しかし今回は、これまでの常識が通用しなかった。
タタン! タン! タタタタタタタアタ! タタタン!
クーロン兵による89式小銃の射撃により。
「ぐわ!」
「うぎゃ!」
「ナンだ!?」
「ひぃ!」
冒険者はバタバタと倒れていった。
しかし即死する者は少ない。
なにしろリトルブルーでも、その強さは100人相当。
5・56ミリ小銃弾ごときでは即死などしない。
しかし5・56ミリ小銃弾防弾チョッキを簡単に撃ち抜くほど貫通力が高い。
その貫通力により、冒険者達は体を撃ち抜かれて動きが鈍ってしまう。
そこにまた。
タン! タタタン! タタン! タタタタタタタタ!
89式小銃による一斉射撃が襲いかかる。
7tトラック4万に搭乗した兵の数は、合計80万。
その80万の兵士全員が89式小銃を装備している。
80万丁もの89式小銃の威力の前に、多くの冒険者の動きは止まった。
しかし冒険者にはメイルファイターも多い。
そして高レベルのファイターメイルは、防御力も高い。
5・56ミリ小銃弾を跳ね返す程度には。
だから。
「敵の攻撃で負傷したヤツは前線を離脱しろ! 敵の攻撃にも無傷だった者を中心に突撃を再開だ!」
5・56ミリ小銃弾を跳ね返せるレベルのメイルファイターが前線に立つ。
このレベルのファイターメイルを装備しているのは、殆どがイエロークラス。
最低でも1000人相当の戦闘力を持つメイルファイター達だ。
しかし、そのイエロークラスも。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
『ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああ!!』
12・7mm重機関銃によって、ズタズタにされてしまった。
確かにイエロークラスは、1000人の兵士に相当する。
しかしそれは、総合的な戦闘力が1000人にするという事。
防御力が人間の1000倍というワケではない。
そして12・7mm重機関銃の威力は89式小銃の10倍以上。
その殺傷力の前に、イエロークラスすら撃ち倒されてしまったのだった。
しかしこのクーロン軍の圧倒的な火力にも耐える者がいた。
スリーブパープル 100人
フォーブパープル 40人
ファイブパープル 30人
シックスパープル 20人
セブンパープル 10人
つまり3万人から7万人に相当する戦闘力を持つ者200名の隊だ。
その名もチャレンジギルド直属のパープル中隊。
200人で構成されているから、分類上は中隊という事になる。
だが、その戦力は大国の1軍すら凌駕する。
そのパープル中隊の隊長が、部下に向かって叫ぶ。
「冒険者による遊撃では被害が増えるだけだ! かといってブルーレベル程度の軍を投入してもクーロン軍に蹂躪されるだけだろう。だからここは、我らパープル中隊の出番だ! チャレンジ・シティー軍最強部隊の力をクーロンの侵略者どもに思い知らせてやれ!」
『は!!!』
こうしてチャレンジ・シティー軍は精鋭部隊を戦場に投入したのだった。
2021 オオネ サクヤⒸ




