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   第六十一話  レベル100!


 




 アーマードラゴンを倒した後。

 さっさと次の街を目指したいリムリアだったが。


「頼む! ボナパルト山脈から素材を運び終えるまで護衛をしてくれ! もしもカイザーワイバーンやオーガキングが襲ってきたら冒険者達は全滅しちまう!」


 というマクロンの頼みで、冒険者の護衛を引き受ける事になってしまった。

 そして1週間後。

 全ての素材を運び終えたところで。


「なあリム。もう一回、ボルドーに戻ってもいいか?」


 和斗はリムリアに尋ねた。

 リムリアが旅を急ぎたいと思っている事は十分に理解している。

 その上での頼みだ。


「レベルアップの為に、ランス地下大迷宮に潜るんだね?」


 真顔になるリムリアに、和斗は頷く。


「ああ。アーマードラゴンが最後に言ってたろ? 四神さえ食ってれば、俺に負けなかったって。だから万が一に備えて、マローダー改をレベルアップさせておきたいんだ」

「ボクもその方がイイと思う。アーマードラゴンが四神を食べてたらカズトより強かったとは、ボクは思わない。けど取り越し苦労でもイイと思う。強くてソンするコトないしね」

「決まった。じゃあボルドーに戻ってランス地下大迷宮の2階を目指すぞ。今回の目的はマローダー改のレベルアップだから、やっぱり魔石の回収はギルドに頼もうと思うけど、それでいいかな?」

「うん。っていうか魔石の取り出し方なんてボク知らないもん。どうせ手数料は5パーセントなんだし、プロに任せるのが1番だと思うな」

「よし。じゃあ、それでいこう」


 という事で。

 和斗とリムリアは、再びボルドー冒険者ギルドを尋ねたのだった。



「こんにちは!」


 ボルドー冒険者ギルドの扉を元気よく潜ったリムリアに。


「リムリアさんにカズトさんじゃありませんか」


 受付嬢(影の支配者)のエリが声をかけてきた。


「長老達から許しを得る旅を続けているとばかり思っていましたが、どうしたのですか?」

「ええと、ちょっとマローダー改のレベルアップをしようかと思って。それでランス地下大迷宮に潜ろうと思うんだけど、また魔石の回収をお願いできないかな、と思って」


 リムリアが、そう答えると同時に。


「了解です。ではワタシが回収班と共に同行しましょう」


 カウンターの奥からジェノスが飛び出して来た。


「いやあ、聞きましたよ。ノルマンドを侵略してきたクーロンを壊滅させ、伝説のアーマードラゴンを倒した事。一体どのくらい強くなっているのか、この目で見たいと思っていたトコロです。さっそく出発しましょう」


 リムリアは、ニコニコしているジェノスに呆れた目を向けてから。


「この人、相変わらずだね」


 エリに耳打ちした。


「はい。仮にも副ギルド長なのですから、もっとシッカリして欲しいところです」


 明らかに聞こえるように言ったセリフだが、ジェノスは笑みを崩さない。


「好奇心を失ったら、つまらないじゃありませんか。という事でエリさん。カズトさんと一緒に出掛けてきますので、後はヨロシクお願いします」

「はいはい。最初から役に立つとは思っていませんので」


 と、エリの辛辣な言葉にもメゲず。


「ではカズトさん、またマローダー改に乗せてくださいね」


 ジェノスはニッコリと微笑んだのだった。




 前回の試験とは違い、今回の目的はマローダー改のレベルアップ。

 経験値の低い地下1階に用はない。

 

 だからステルス能力を全開にして、地下2階のゴーレムフロアに直行する。

 そして地下2階の入り口に辿り着いたところで停車。

 ここから1歩でも踏み出せば、目の前のゴーレムが襲いかかってくる筈だ。

 だが、まだ和斗は戦略を決めていなかった。


 というコトで。

 和斗は取り敢えず、リムリアに尋ねてみる。


「リム。ゴーレムは何体いるか分かるか?」

「え~~とね、じゃあサーチしてみるね……」


 その結果。


 サンドゴーレム      40000体

 ロックゴーレム      40000体

 アイアンゴーレム     20000体

 ミスリルゴーレム      5000体

 アダマンタイトゴーレム   2000体

 オリハルコンゴーレム     200体

 ヒヒイロカネゴーレム      20体

 

 これが地下2階の状況だった。


「そうか、ありがとなリム。しかし、どうやって倒すかな?」


 和斗は考え込む。

 全滅させる事は、難しい事ではない。

 しかし、どの装備武器で倒すのが効率的だろうか?


 装鎧で蹴散らすのも1つの方法ではある。

 しかしそれでは、物凄く時間がかかってしまう。

 なら武器はどうか?


 チェーンガンは強力だが、爆風で視界が効かなくなってしまう。

 それはヘルファイアやハイドラ、つまりミサイルやロケット弾でも同じだ。

 戦車砲は装鎧と同じで、全滅させるまでに時間がかかり過ぎる。

 今のバルカン砲やⅯ2重機関銃では、ヒヒイロカネゴーレムを倒せないだろう。


 では、どうするか?

 バルカン砲か、M2重機関銃を200万倍に強化するか?

 

 と、そこで和斗は。

 購入可能搭載武器の中にレーザー砲があった事を思い出す。


「レーザー砲の購入ポイントは80万ポイントか。始めて見た時は、購入なんて絶対ムリだと思ってたけど……今なら楽勝だな。よし、レーザー砲を購入して強化したら、一瞬で全滅させる事が出来るな」


 強力なレーザーは、巨大な刃物みたいなものだ。

 薙ぎ払えば、それだけで全てのゴーレムを真っ二つに出来るだろう。

 もちろん実用されているレーザー砲に、それ程の威力はない。

 しかしマローダー改の搭載武器は、スキルポイントによって強化が可能。

 最高レベルまで強化すれば、ヒヒイロカネゴーレムすら切断できる筈だ。


「よし! サポートシステム、レーザー砲を購入して、最高レベルまで強化してくれないか?」


――了解しました。

  レーザー砲の取扱いを説明しますか?


「ん?」


 どういうコトだろう?

 今まで購入した武器の説明など、1度もなかったというのに。


「え~~~と、何で今回に限って説明が?」


 和斗が、念の為に聞いてみると。


――レーザー砲を最高レベルまで強化すると、焦点温度が1兆℃になります。

  そして1兆℃という温度について説明しますと、この星系全体、つまり太陽と全ての惑星が一瞬で蒸 

  発してしまう温度です。


 想像もしなかった答えが帰ってきた。


「えええ! そ、そんなコトになるのか!?」


 危ないトコだった。

 サポートシステムの説明がなかったら、このままぶっ放すトコだった。

 つまり、もう少しで和斗は、この世界を滅ぼすところだったワケだ。


 ちなみにリムリアは、口をパクパクさせながら絶句している。

 ジェノスに至っては、白目をむいていた。

 2人共、よほど驚いたのだろう。

 ……驚くどころの話ではなさそうだが。


 混乱の余り、どうでもいい事を考える和斗に、サポートシステムが続ける。


――取り扱いの説明をしましょうか?


「お、お願い致します」


 慌てて頭を下げる和斗に、サポートシステムが続ける。


――では、説明を始めます。

  レーザー砲を無制限に使用した場合、この世界が消滅します。

  ですから基本的にレーザー砲は、神霊力によって、周囲に与える影響を最小限に抑えられます。

  具体的には、命中した部分にのみ、1兆℃の破壊力を発揮します。

  ですから1兆℃という高温に耐えられない物質を切断するだけです。

  もしも1兆℃の持つ、破壊的エネルギーを発揮したい場合は、神霊力を意図的に解除してレーザー砲

  を発射してください。


 よかった。

 ついうっかりで、世界を滅ぼす事が起きないような仕様らしい。


――付け加えます。

  神霊力によって射程距離も制限されています。

  普通に発射した場合、レーザー砲の射程距離は500メートルです。

  射程距離を伸ばしたい場合は、神霊力で射程距離を設定してください。

  うっかり惑星や太陽を切断しない為の安全装置です。


「太陽を切断しないように!? そんなに遠くまで届くのか。設定を失敗したら大変な事になるな。しかし困ったな、せっかく購入して強化したのに、下手に使えなくなったぞ」


――それなら、発射するエリアを神霊力で包囲してから発射すれば、標的以外を破壊する事はありませ

  ん。命令して頂ければ、サポートシステムが標的を神霊力で包囲します。


「そんなコトもできるのか……じゃあサポートシステム。このフロアのゴーレムだ

けを倒したい。神霊力でフロアまで切断しないようにできるか?」


――了解しました。神霊力でフロア全体をカバーしました。これでレーザー砲を発射してもフロアに被害 

  が出る事はありません。


「サポートシステム、ありがとな! じゃあ、さっそく」


 どうやら使用方法は、他の搭載武器と同じらしい。

 レーザー砲もゴーグルとコントローラーで操作する仕様になっていた。

 ゴーグルごしの映像に、十マークが浮かんでいる。

 これがレーザー砲の着弾点らしく、十字キーで自由に動かせた。

 後は発射ボタンさえ押せば、狙い撃ちも薙ぎ払いも可能だ。


「よーし、レーザー砲、発射だ!」


 発射ボタンに手を賭けた和斗に、リムリアが引きつった顔を向ける。


「カズト、ホントに大丈夫なの?」

「まあ、今までサポートシステムが間違った事は1度もないんだから大丈夫だと思

うぞ。なあ、サポートシステム」


――はい。ご安心ください。


 サポートシステムの答えに、リムリアの表情が緩んだ。


「そうだね。今まで間違った事、1度もなかったもんね。じゃあカズト、レーザー

砲を撃ってみて」

「おう。じゃあ新兵器、レーザー砲発射だ!」


 和斗はレーザー砲の発射ボタンを押し、十字キーを横に動かす。

 と同時にレーザーが、タイムラグなしに全てのゴーレムを薙ぎ払った。


 その、たった一撃で。

 地下2階のゴーレム達は、真っ二つになって地面に転がったのだった。


 その直後、いつも通りサポートシステムが告げる。


――サンドゴーレム      40000体   

  ロックゴーレム      40000体   

  アイアンゴーレム     20000体

  ミスリルゴーレム      5000体      

  アダマンタイトゴーレム   2000体     

  オリハルコンゴーレム     200体     

  ヒヒイロカネゴーレム      20体     

  を倒しました                        


  経験値          34億6200万

  スキルポイント      34億6200万

  オプションポイント    34億6200万

  を獲得しました。


――累計経験値が5720687700になりました。

 

 パラパパッパッパパ――! 

 パラパパッパッパパ――! 

 パラパパッパッパパ――! 

 パラパパッパッパパ――! 


――累計経験値が52億を超えました。

  装甲車レベルが100になりました。

 

  最高速度が39000キロになりました。

  最高速度到達までの加速時間が1秒になりました。

  質量が73万トンになりました。

  装甲レベルが鋼鉄37万キロメートル級になりました。

  ⅯPが44000になりました。

  装鎧のⅯP消費効率がアップしました。

  1ⅯPで30秒間、装鎧状態を維持できます。

  サポートシステムが操作できるバトルドローン数が150になりました。

  ドローンが、水中・宇宙活動可能となりました。

  神霊力が恒星10個級になりました。


 こうしてマローダー改は、4つもレベルアップしたのだった。

 しかし今回は、これで終わりではなかった。

 サポートシステムが、とんでもない事を言いだす。


――レベル100になった事により、5分間だけ至高神と通話が可能です。


「「はぁ!!?」」


 あまりにも想定外の事態に、和斗とリムリアは声を揃えたのだった。







2021 オオネ サクヤⒸ

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