表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/211

   第五十三話  ドローン操作






 神力で護られていようが、弱点はある筈。

 そう考えた和斗は、タイガの耳の穴に100倍化バルカン砲を撃ち込んだが。

 

 バチィ!

 

 バルカン砲の弾丸は、耳の穴に届く寸前で砕け散った。

 タイガは、そこで初めてF15に気付いたのだろう。

 F15へと視線を向ける。


「ほう。こんなテがあったか。飛び回るだけでなく、これほど強力なストーンバレットを放ってくるとは、驚いたぞ。しかも耳の穴を狙ってくるとは、よく考えたものだな。しかしこの体は神力で覆われている。付け入る隙も弱点もないぞ。残念だったな」


 そこでタイガはドラゴ=玄武に視線を送った。


「ドラゴ。本体の鉄の箱を叩き潰す前に。あの飛び回る三角を叩き潰せ。神獣一の防御力を誇るお前の甲羅なら楽勝だろ?」


 そのタイガの言葉に、ドラゴは満面の笑みを浮かべる。


「勿論だ。この体に激突して砕けない物質など、この世には存在せぬ!」


 そう口にすると、ドラゴは。


「そら!」


 鈍重そうな姿からは想像もできない動きでF15の前に飛び出した。

 その、余りにも想定がの動きに。


「うわ!」


 和斗の操作は遅れ。


 ドパ!


 F15はそのまま、玄武の喉羅に突っ込んだのだった。


「しまった!」


 和斗は思わず目をつむる。


 マッハ25で戦車砲すら跳ね返す玄武に激突したのだ。

 F15は粉々になった事だろう。

 例えドローンとはいえ、初めてマローダー改の一部を失ってしまった。

 その喪失感は、想像以上に大きなものだった。

 足元が崩れ落ちたみたいとは、こんな気分の事を言うのだろう。

 と、打ちひしがれる和斗だったが、そこで。


「カズト、見て!」


 リムリアが興奮した声を上げた。


「?」


 その声に、和斗は恐る恐る目を開けると。


「え?」


 そこには、甲羅に大穴が開いた玄武の姿があった。


「ええ!?」


 自分の目が信じられない和斗の耳に、サポートシステムの声が飛び込んでくる。


――さきほど言いそびれてしまいましたが、マローダー改もF15も神霊力を纏っています。そして神霊力とは、霊力や神力よりも上位の力なのです。神力で強化された神獣ごときが、防御できるものではありません。

  だからバルカン砲など使用せず、F15をぶつける方が確実だと助言しようとしたのですが。


 またしても和斗は、大事なコトを聞きそびれたようだ。

 リッチとの戦いで情報が大事だ、と思い知ったのに。


「はは……」


 もう笑うしかない。

 神霊力は、神力の下位の力だと勝手に思っていた。

 しかし実は、神力より神霊力の方が上位の力。

 あの絶望感は何だったんだ。

 

 そして和斗は、ある事に気が付く。

 F15をレベルアップさせた時、疑問に思った事だ。

 速度や強度がアップするのは分かる。

 しかし重量までアップするのはナゼだろう?

 軽ければ、速度も航続距離もずっとアップできるだろうに。


 しかし今、和斗は理解した。

 重量までアップするのは、この為だったのだ!

 F15を砲弾と考えたら、重いほど威力がアップするのだから。

 

 そしてこれは。

 戦車砲など比較にならないほど強力な武器を、手に入れた事を意味する。


 勝った。

 そう和斗が確信する中。


「ロン! 回復!」


 タイガが叫び。


「グォウ!」


 その声に応えてロン=青竜が咆哮を上げると。


「ロン、助かったぜ」


 タイガ=玄武の傷が、一瞬で消え去った。

 致命傷としか思えなかった傷を、一声で完治させる。

 神を名乗るに相応しい力だ。


「ち! マジかよ!」


 その理不尽なほどの回復能力を目にして、和斗は顔を曇らせる。


「即死させないとダメって事か? いや、即死でも生き返られる事が出来ないとは限らないか。なら回復担当の龍を狙うぞ!」


 和斗は直ぐに考えをまとめると、F15を青竜へと飛ばす。

 他の神獣を倒しても、青竜なら瞬時に回復させるだろう。

 なら青竜を倒せばいい。


 という和斗の考えを、見抜いたのだろう。

 タイガ、ドラゴ=玄武、レッド=朱雀はロン=青竜のガードを固める。


「悔しいが、ヤツ等は神獣を傷つける力を持っている事を認めざるを得ない。ならば我々の生命線は、致命傷を負っても瞬時に回復させる能力を持つロンだ。ロンを護る事に専念しろ!」


 タイガの命令で、タイガ達は青竜を取り囲む。

 完全に護りしか考えてない構えだ。


「どうするカズト。あそこまでやられたら、青竜を倒すのは難しいよ?」


 顔をしかめるリムリアに、和斗は気楽な声で答える。


「とにかくやれるだけやってみるさ」


 そして和斗はF15のコントローラーを握ると。


「まずは、全力で突撃だ!」


 マッハ25で青竜へと突っ込んだ。

 が、その攻撃は玄武の喉羅によって、邪魔される。


「くそ、考えたな」


 F15を弾かれて、和斗は唇を噛む。

 直撃なら玄武の甲羅だろうと、簡単に貫ける。

 しかし玄武は甲羅の丸みを上手く利用して、F15を受け流したのだった。


 もちろん、玄武の喉羅も無事には済まない。

 が、大きく割れた喉羅は、青竜の一吼えで元通りに戻る。


「ならコッチからだ!」


 和斗はタイガと朱雀の間をすり抜けようとするが。


 バチィ!


 タイガが叩き付けてきた腕によって、軌道を変えられてしまった。

 もちろんタイガの腕は大ダメージを受けている。

 が、やはり青竜の一吼えで完治する。


「ち!」


 和斗は舌打ちすると。

 宙返り。

 急降下。

 ローリング。

 など、様々なフェイントを駆使して青竜を狙う。

 しかし。


「させん!」

「無駄だ!」

「通すかよ!」


 タイガ、ドラゴ=玄武、レッド=朱雀が体を張って邪魔する。






 F15でも神獣にダメージを与える事は可能だった。

 ならマローダー改をぶつけても、神獣はダメージを与えられるだろう。

 しかし青竜と朱雀は、空を飛んでいる。

 体当たりしても、命中するのはタイガと玄武の脚くらい。

 それでは倒す事など出来る訳がない。


 装鎧なら倒せるかも。

 和斗は一瞬、そう考えた。


 しかし。

 その為には、リムリアをマローダー改から降ろさなければならない。

 だがリムリアに、そんな危険を冒させるなど問題外だ。

 それに、もしダメージを与えたとしても青竜が回復するだろう。


「くそ、どうしたらイイんだ!」


 叫ぶ和斗に、サポートシステムが答える。


――F15を4機購入する事を勧めます。


「4機? そんなに購入して、どうするんだ?」


――マスターが操るのです。


「1度に5機もか!?」


 驚く和斗に、サポートシステムが淡々と続ける。


――コントローラーで操縦するのではなく、マスターの感覚で操るのです。

  現在、サポートシステムは50のドローンを操る事ができます。

  マスターはマローダー改の20%の能力を得てますから、理屈上は10機のバトルドローンを操る事が出来る筈。

  5機のF15なら楽勝です。


 軽く言い放つサポートシステムだったが、そんなに上手くいくだろうか?

 と思う和斗だったが、他に良い方法など思いつかない。

 打つ手がない以上、サポートシステムの助言を受け入れるべきだろう。

 とはいえ、とりあえず本当に感覚でF15を操れるか試してみると。


「へえ。けっこう簡単にできるんだな」


 和斗は簡単にF15を操作できた事に、驚きの声を漏らす。

 目に見えない糸で操るヨーヨーみたいな感覚だろうか。

 頭で考えた通りに、F15は飛行していた。


「これなら5機でも、何とかなりそうだな」


 和斗は小さく呟くと、サポートシステムに声をかける。


「わかった。F15を4機購入してレベル8までアップしてくれ」


――分かりました。

  オプションポイント400万を消費してF15を4機、購入しました。

  スキルポイント35万6千を消費してレベル8に強化しました。

  そのまま実戦投入しますか?


「頼む」


――了解です。


 サポートシステムがそう答えると同時に、F15が上空1キロ地点に出現した。


「よし、さっそく」


 和斗は5機のF15を操ってみる。


 思ったより簡単だ。

 左右のパンチ、左右の蹴り、頭突きの替わりにF15が飛んでいく。

 というのが、1番近い表現だろうか。

 とにかく。


「これなら青竜を仕留められそうだな」


 和斗はニヤリと笑うと、戦闘態勢を取った。




 空手の試合なら、何度もやった。

 左ジャブで敵のガードを崩して、全力の右パンチを叩き込む。

 それで態勢が崩れたら、直ぐに蹴りで追撃。

 更に大技に繋ぎ、敵にダメージを与える。


 F15での戦いも同じだった。

 4機でフェイント。

 それに気を取られた隙に、青竜にF15を突っ込ませた。

 さすがマッハ25。

 その速度で撃ち込まれた500tの機体は。


 ドシュ!


 見事に青竜の首を吹き飛ばしたのだった。

 しかし首だけになっても、まだ死んでいない。

 直ぐに青竜は、自分を回復しようとする。

 しかし、それを見逃す和斗ではない。


「させるかよ!」


 F15を1機、青竜の口の中へと撃ち込み。


「念の為だ!」


 更に青竜の頭を、別のF15で撃ち抜いた。

 マッハ25のF15による3連攻撃。

 この破壊力の前に、青竜の頭は砕け散った。

 ここまでやれば、もう回復できないだろう。


「よし、次だ!」


 これで回復される心配はなくなった。

 後は1匹ずつ、確実に仕留めていけばいい。


「くそおぉぉ! よくもロンを!」


 レッド=朱雀が真焔撃槍を放とうとするが、それよりも速く。


 ドン! ドン!


 その体を2機のF15が貫いた。

 片方の翼が引き千切れるほどの、その威力に。


「はぐぅ……」


 レッド=朱雀は、ビクンと体を痙攣させると。


 ズッシィン。


 地面を揺らして墜落したのだった。


「レッド!」


 そんなレッド=朱雀の最後を目にしてドラゴ=玄武が叫ぶが。


 ギュォォォォン!


 ドラゴ=玄武の体を、3機のF15が襲った。


 その攻撃は。


 バキン!


 簡単にドラゴ=玄武の甲羅を撃ち砕き。


 ドン! 


 2機目のF15が、もう1つ大穴を開け。


 ビチャ!


 3機目のF15が、玄武の頭を撃ち砕いた。


 青竜が居ない今、ここまでやっておけば絶対に助からないだろう。

 そして。


「おのれぇ! かくなる上は、せめて一太刀!」


 タイガがマローダー改へと突進してくるが。


 シュパ!


 和斗はタイガの首を、2機のF15の翼によって切断した。

 首を失いながらもタイガの体は走り続けるが、直ぐに勢いを失い。


 ドッシィン!


 マローダー改まで5メートルという所で地面に崩れ落ちたのだった。







2021 オオネ サクヤⒸ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ