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   第百九十八話  やっぱり大した力じゃなかったな

すみません、投稿順番をミスりました。








「さてと。せっかくアタシが苦労して大きくしたラシャダッキ一家を台無しにしてくれたんだ。楽に死ねると思わない事だね!!!」


 ラシャダッキの放つ、圧倒的な殺気に。


「く!」

「これは!?」


 奈津と花奈が顔色を変えている。

 確かに奈津と花奈は、実質100年に渡って万斬猛進流を修行した。


 しかしラシャダッキは。

 700年以上の時をかけて、邪神の力を体に取り込んできたという。

 100年 対 700年。

 こう考えると、奈津と花奈の方が分が悪いのではないだろうか。


 そう判断した和斗は、奈津と花奈を庇うように前に進み出る。


「楽に死ねると思うな? そりゃあそうだろうな。楽に死んだりしない。死ぬのはキサマの方だ。ま、貴様をどうやって殺すか、まだ考えてないけど」


 自分へのヘイトを稼ぐ和斗に、ラシャダッキが獰猛な笑みを浮かべる。


「へえ、大きな口を叩くじゃないか? さっきアタシが飛び退いたから、変な自信を待たせてしまったかねぇ。アレは用心しただけ。アタシが本気で邪神の力を解き放てば、アンタなんか秒殺さ」


 そう口にする間にも、ラシャダッキの体は黒く染まっていく。


「何が起こっているのか分かるかい? 邪神の力をミスリル並みの強度を持つ鎧に変えて身に纏ったのさ。この無敵の鎧を纏ったアタシにとって、アンタの剣技なんぞ、ママゴトみたいなモンさ!」

「えらい自信だな。誇大妄想の気があると言われたコトないか?」


 冷ややかに言い返す和斗に、ラシャダッキがニチャリと嗤う。


「は! えらい自信なのはお前の方だろ? アタシには分かるよ。確かに鍛え上げた肉体をしてるけど、その程度の力じゃ邪神の力を纏ったアタシに傷を付ける事も出来ずに死ぬだろうね」

「本気でそう思うのなら、お前の実力もタカが知れてるな」


 フンと鼻で笑う和斗に、ラシャダッキの殺気が更に膨らむ。


「はん。これを見ても、同じ事が言えるかい?」


 そう口にしたラシャダッキの体が一気に小さくなり人間の姿になる。


「どうだい? 邪神の力を圧縮して、オリハルコン並みの強度を持つ鎧へと変えたんだ。人間の姿になるのは好きじゃないけど……人間の姿じゃないと、圧縮した邪神の鎧を装備出来ないから仕方ないね。それに人間の姿になったのは、強度を上げた邪神の鎧を纏う為だけじゃないよ。グングニル!」


 その叫びと同時に、ラシャダッキの手に漆黒の槍が現れた。


「邪神界を漂ってたのを偶然発見して手に入れた、異世界の最高神の武器=グングニルさ」


 グングニル?

 あれが北欧神話の最高神オーディンが持つ槍、グングニルか?

 投げたら必ず敵に当たり、自動で戻ってくるというグングニルか?


 でもグングニルは、巨大な狼フェンリルに飲み込まれた筈。

 持ち主であるオーディンと共に。

 それが邪神界を漂ってた?

 フェンリルが邪神ロキの息子だった事と、何か関係があるのだろうか?


 などと考えを巡らす和斗に、ラシャダッキは。


「この槍も人間の体じゃないと使い辛くてねぇ。でもこれがアタシの最強の姿。今まで無敗を誇る、最強の防具と武器。その恐ろしさを、嫌というほど味わってから死にな!」


 そう吠えると、グングニルを投げつけてきた。

 そのフォームは、まさに素人。

 そんな投げ方で、和斗に届く筈がなかったのだが。


 ドン!


 グングニルはラシャダッキの手を離れると一気に加速。

 音速を超えたときに発生する衝撃波を纏って、和斗に襲い掛かってきた。


(さすがオーディンの槍、グングニルってトコか。凄いスピードだな)


 和斗は感心しながらも。


(でも、無敵って程でもないな)


 カィン。


 アッサリとグングニルを、刀で弾き返した。


「な!?」


 和斗に余裕であしらわれるとは思ってもいなかったのだろう。

 ラシャダッキは滑稽なほど、目を見開くが。


「ああ、手抜きが過ぎたねぇ。今度こそ本気でいくよ!」


 再びグングニルを投げつけてきた。


「懲りないなぁ」


 和斗は気の抜けた声を上げると、再び刀を構えるが。


 ギュギュギュギュギュン!


 グングニルが分裂。 

 槍の雨となって和斗に降り注ぐ。


「どうだい! 本気で投げたグングニルは30に分かれて敵を貫くのさ!」


 30に分裂?

 それってグングニルじゃなくて、ゲイボルグなのでは?


 ちなみにゲイボルグとはアイルランドの伝説の英雄が使う槍だ。

 しかしそんなことツッコんでる場合じゃない。

 まあ、命中しても和斗の防御力なら平気だろうが。


(ここは全部、撃ち落とすか)


 和斗は30の槍、全てを切り落とす事にする。


「百矢払い」


 キン! ×30


 百矢払いは、元々100の矢を斬る技。

 たったの30槍くらい楽勝だった。

 そんな、余裕でグングニルを斬り落とした和斗にラシャダッキが絶叫する。


「はぁ!? グングニルを斬ったぁ!?」


 そしてラシャダッキは、和斗を涙目で睨みつける。


「な、なんなんだい、その刀は!? 異世界の最強神が使ってた槍であるグングニルを、何で斬れるんだい!? おかしいじゃないか! ちくしょう! せっかく手に入れた神の槍を壊しやがってぇぇぇぇぇ……絶対に許さないからね!」


 そしてラシャダッキは、悔しそうに歯ぎしりをすると。


「グングニルに貫かれてた方が楽に死ねた、と後悔しな!」


 天に向かって吠えた。

 その直後。


 ドパッ!


 邪神の鎧が破裂した。

 いや、破裂したように見えるほどの速さで、無数の刃が飛び出した。


「30の槍を斬ったくらいで付け上がるんじゃないよ! 邪神の鎧は100の刃を操るんだ! 全方位から襲い掛かる100の刃に斬られ、貫かれて死にな!」


 勝ち誇るラシャダッキに和斗は冷めた声を上げる。


「ふぅん、今度は100の刃か。凄い凄い」

「なんだい、その可哀そうなモノを見る目は! 自分の方が遥かに強いとでも言いたいのかい!? 腹立つねぇぇぇ!」


 ラシャダッキが歯ぎしりするが……まあ、その通り。

 元々百矢払いは100の矢を斬る技。

 100の刃なら余裕で斬り落とせるだろう。

 と、和斗が考えた通り。


「食らいな!」


 ラシャダッキが放ってきた100の刃は。


「百矢払い」


 キン! ×100


 拍子抜けするほど簡単に切断出来た。

 しかし。


「は! 100の刃と聞いても顔色一つ変えなかったから、ひょっとしたらとは思ってたけど……まさか本当に100の刃を斬り落とせるとはね! でも、これならどうだい!?」


 ラシャダッキが叫ぶと同時に。


 ドパッ!


 邪神の鎧から、新たに100の刃が飛び出した。


「あははははぁ! 気が遠くなる程の年月をかけて邪神のオーラを蓄積してきたんだ! 刃くらい幾らでも生み出せるよ!」


 ラシャダッキは高笑いすると同時に、100の刃が襲い掛かってきた。


「さあ、幾らでも斬るがいい! 幾らでも刃を生み出すから! そして体力が尽きたところで、ユックリと切り刻んであげようかねぇ」


 勝利を確信したのだろう。

 ラシャダッキが余裕を取り戻している。


「100の刃を一瞬で斬り落とすなんて、とんでもない技だけど……それほどの技なんだ、何度も繰り出せるモンじゃないよねぇ? あと何回、繰り出せるんだろうねぇ? 10回かい? 20回かい? 50回は……無理だよねぇ?」


 そしてラシャダッキは口の端を持ち上げた。


「さあ、驚かせてくれたけど、お前は終わりだよ。無限に湧き出る100の刃の前に敗北するんだ」

「勝った気になるのは、ちょっと早すぎるぞ」


 和斗はラシャダッキのそう告げると。


 キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキン!


 百矢払いを繰り出しながら、ラシャダッキに向かって歩き出した。

 百矢払いを行いながら突撃する技=突進斬ではない。

 普通の速度で歩きながら、ラシャダッキへと進んでいく。

 この和斗の行動に、ラシャダッキが顔色を変える。


「な、なんだい? なんでそんなに物凄い技を連発できるんだい!? 普通の人間に出来ていい技じゃ無いよ!」


 叫ぶラシャダッキに、和斗は涼しい顔で答える。


「なんでって、大した技じゃないからだ。この程度の技でよければ、明日の朝まで繰り出し続けられるぞ」


 この和斗の言葉に、ラシャダッキは初めて恐怖を覚える。


(大した技じゃない? そんな筈、ある分け無いじゃないか! 今コイツが繰り出してる技は、神の領域の斬撃だよ! で、でもコイツは顔色一つ変えずに斬撃を繰り出し続けている。まさかこの斬撃はコイツにとって、本当に大したコトじゃないとでもいうのかい!?)


 というラシャダッキの恐怖を敏感に感じ取った和斗は。


「大した技じゃない証拠に、剣速を倍に上げてやろう」


 そう口にすると、言葉通り倍の速度で刀を振るいだす。

 その一気に倍の密度で放たれる斬撃にラシャダッキは。


「く!」


 刃を限界の速度で生み出し、和斗に反撃を試みる。


「アタシは700年かけて邪神の力を使いこなせるようになったんだ! アンタなんかに負けるワケが無いんだよ!」


 ラシャダッキは自分に言い聞かせるように叫ぶが。


「へえ、そうか。じゃあ更に剣速を2倍にしてやろう」


 和斗が元の4倍の速度で切り出す百矢払いに。


「うう……」


 ラシャダッキは顔を歪めた。


(なんだい、この化け物は! 邪神の鎧から刃を生やした瞬間、涼しい顔で切断してるなんて! ……このままじゃ、負けちまう)


 そこまで考えて、ラシャダッキは自分の頬をパァンと叩いた。


(しっかりしな、アタシが普通の人間に負けるワケないだろ! 邪神の力は最強なんだよ!)


 そしてラシャダッキは最後の勝負に出た。


「これがアタシが蓄えた、邪神の力の全てだよ! これを食らって消滅しな!」


 と吠えたラシャダッキの体から、邪神の力が巨大な柱となって立ち上った。

 その雲を貫き、成層圏に達する邪神の力が、徐々に収束していき。

 最後には1振りの剣へと姿を変えた。

 そしてラシャダッキは、その剣を手に取ると。


「どうだい? 邪神の力を極限まで圧縮した、破壊の剣さ。あらゆる物を亡ぼす究極の力で消滅しな!!!」


 目を血走らせて斬りかかってきた。

 和斗は、その破壊の剣に冷めた目を向けると。


「究極の力? こんなモンがか?」


 やや白けた声を上げ。


 ひゅ。


 刀を一閃させた。

 その瞬間、ラシャダッキの動きが止まり。


 キン。


 小さな音と共に、真ん中で切断された破壊の剣の刀身が地面に落ちた。

 そして。


「そ、そんな……破壊の剣を斬るなんて……」


 そう口にしたラシャダッキの首に、赤い線が走り。


 ブバッ!


 赤い線から血が迸った。

 そして。


「もう少しでフォックス連合を手に入れられたのに……」


 そう呟いたところで、ラシャダッキの首も落下した。

 そして。


「ふん。やっぱり大した力じゃなかったな」


 和斗がそう口にしたトコロで。


――9尾の狐を倒しました。


 サポートシステムの声が、久しぶりに響いた。


  新規経験値        5万

  新規スキルポイント    5万

  新規オプションポイント  5万

  を手に入れました。


――パラパパッパッパパーー!

  累計新規経験値が5万9400になりました。

  装甲車レベルが18になりました。

  最高速度が光速の4万倍になりました。

  質量が地球300個相当になりました。

  装甲レベルが鋼鉄3000光年相当になりました。

  ⅯPが53億になりました。

  新規レベルが10を超えたので装鎧のⅯP消費が0になりました。

  以後、無限に装鎧状態を維持できます。

  サポートシステムが操作できるバトルドローン数が10万になりました。

  ドローンのレベルアップが第30段階まで可能となりました。

  神霊力が銀河200個級になりました。

  耐熱温度     1・5 杼℃

  耐雷性能     150 杼ボルト

  になりました。

  武器強化が100億倍まで可能になりました。

  電磁波砲の発射速度がマローダー改の速度の5倍に設定されました。

  現在は20万倍速電磁波砲です。

  焦点温度が20該℃までアップが可能になりました。









 10の24乗の字は『禾+予』(読み方は『じょ』です)なのですが、私のパソコンの漢字変換にはこの字が無かった為、見た目が近い『杼』(木+予)を使用しています。すみません。






2023 オオネ サクヤⒸ

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