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   第百五十二話 これ以上の強さが必要なの!?





――パラパパッパッパパーー!


 今まで、何度も耳にしたファンファーレが鳴り響き、そして。


  累計経験値が750兆になりました。

  装甲車レベルが136になりました。

  最高速度が秒速350万キロになりました。

  質量が100兆トンになりました。

  装甲レベルが鋼鉄40兆キロメートル級になりました。

  ⅯPが4000万になりました。

  装鎧のⅯP消費効率がアップしました。

  1ⅯPで20分間、装鎧状態を維持できます。

  サポートシステムが操作できるバトルドローン数が5000になりました。

  ドローンのレベルアップが第24段階まで可能となりました。

  神霊力が恒星1500億個級になりました。

  耐熱温度     17該 ℃

  耐雷性能   1700該 ボルト

  になりました。

  武器強化が1億倍まで可能になりました。

  レーザー砲焦点温度が7京℃までアップが可能になりました。


 と、いつものようにサポートシステムが告げた。


 そしてマローダー改はレベルアップに伴い、和斗のステータスも。


 最高時速           105万 キロ

 重量(質量)          30兆 トン

 防御力(鋼鉄相当)       12兆 キロメートル

 神霊力          恒星450億 相当

 

 にアップ。


 そしてリムリアのステータスも。


 最高時速            35万 キロ

 重量(質量)          10兆 トン

 防御力(鋼鉄相当)        4兆 キロメートル

 神霊力          恒星150億 相当


 にアップした。


 思い出すと、前回の地拵えで得た経験値は200億以上もあった。

 そして今の地拵えの威力は、少なくとも前回の数十倍。


 だから、今回。

 たった1撃で、ここまでレベルアップしたのも当然と言える。

 ただ、正直に言うと。

 どれほどの強さになったのか、想像もつかない。

 そのとんでもないステータスに。


「相変わらず実感がわかない程のステータスだね。自惚れるワケじゃないけど、これ以上ステータスが上がる意味、あるのかな?」


 リムリアが、呆れたような声を上げた。

 口には出さないものの、その意見も当然だと和斗も思う。


 例えばマローダー改の防御力。

 サポートシステムによると、鋼鉄40兆キロメートル相当、とのコト。

 ちなみに地球の直径は12742キロメートル。

 マローダー改の防御力が、どれほど桁外れなのか分かる。

 速度にいたっては、光速の10倍以上。

 地球の科学では、有り得ない速度だ。


「レベルアップは嬉しいから気にも留めなかったケド、もう理解できないレベルのステータスになってる。正直なトコ、もうこれ以上レベルアップしなくてイイんじゃない?」


 リムリアが素直な意見を口にした。

 それは和斗も同感だったが。


「いいえ、それは必要な強さです」


 和斗の考えが分かったのだろうか。

 ラファエルが、今までで1番真剣な顔で、そう答えた。


「レベルアップによって獲得するマローダー改のステータスは、至高神様が決めた値です。つまりこのステータスが必要だと至高神様は判断された、という事なのです。そして更なるレベルアップに対応したステータスが用意されている以上、今以上のレベルアップも必要という事です」

「これ以上の強さが必要なの!?」


 思わず叫んでから、リムリアは考え込む。


「う~~ん……それってつまり、それ程のステータスじゃないと、チート転生者に勝てない、って至高神は考えているってコト?」

「お願いですから様くらいつけてください」


 困った顔をしながらも、ラファエルが続ける。


「チート転生者に勝てない、という事はないと思います。なにしろレベルアップは急がなくてイイ、というのが至高神様のお言葉でした。もし今のステータスではチート転生者を倒せないのならば、レベルアップするように至高神様は指示されるでしょうから」

「ふぅん。なんか良く分からない」


 ボヤくリムリアに、ラファエルが微笑む。


「至高神様の考えを全て理解するなど、誰にもできません。我々にできる事は、その場その時に出来る最善を尽くす事です」

「なんか無条件で至高神のコト信じすぎって気がするけど」


 このリムリアの言葉に、ラファエルの笑みが天使の笑みに変わった。


「至高神様が世界を創造された目的は、この世界に生きるモノが幸せに楽しく暮らす様子を見る事です。皆の幸せな顔を見ると、自分まで幸福な気分になれる。それが至高神様のお言葉です」

「え!? そうなの? でも実際のトコ、不幸な人も一杯いるじゃん」

「それは身勝手な事をしたからです。ミンナが幸せに暮らす事に背く事を行った結果、不幸になるのです。極端な例ですけど、殺人鬼が楽しみで人を殺すのは至高神様の言う楽しく暮らすとは違いますよね。そして、そんな犯罪者には天罰が下るのも当然でしょう」


 このラファエルの答えに、リムリアは更に質問する。


「でも正直に生きてるのに不幸な人もいるみたいだけど?」

「それは前生の影響ですね。この世界では死んだ者は生まれ変わって別の人生を歩みます。なので生まれ変わる前に悪いコトをした者には、生まれ変わっても何らかのペナルティーがあるのは当然でしょう。もちろん善行を積んだら、前世で悪事を働いた者でも、ささやかですが幸せな人生を送れるように配慮されてますが」

「へえ、初めて知った」


 目を丸くするリムリアに、ラファエルが慈悲の笑みを浮かべる。


「良い事をすれば、その分だけ幸せな人生を送れる。もし不幸なまま人生を終える事になったとしても、その善行は次の人生で報われるようになっています。その事実を知れば、人々はもっと優しく生きていける筈なんですけどね」

「つまり至高神の考えを理解してないから不幸な者がいる、ってコト?」

「そうです。まあ、その事を教える為、様々な人間に真理を告げて宗教を広めてきました。でも教えを都合のいいように捻じ曲げて私利私欲を満たす為に利用する者も多く、中々平和な世界にならないんです。そんな事をしたら、何度生まれ変わっても苦しみに満ちた人生を送る事になる事も知らずに」


 などとリムリアとラファエルが難しい話をしている横では。


「サポートシステム。武器をドローンの強化を頼む」


 和斗がチート転生者との戦いに備えていた。


「まず、今の3連武装の1番強力な武器を、1億倍に強化、レーザー砲も最大まで強化してくれ」


――了解です。


 これによりマローダー改の武装は。


  3連装戦車砲           100倍強化

                   10万倍強化

                    1億倍強化


  3連装チェーンガン        100倍強化

                   10万倍強化

                    1億倍強化


  3連装バルカン砲対空システム    10倍強化

                   10万倍強化

                    1億倍強化


  3連装M2重機関銃          ノーマル

                     5倍強化

                    20倍強化


  レーザー砲 最大焦点温度 7京℃(威力は可変式)


 となった。


 が、まだ終わりではない。

 武装強化を確認してから、和斗は続けてサポートシステムに頼む。


「あとドローンの強化も頼む」


――どのレベルまで強化しますか? 


 サポートシステムが強化表を表示する。


             F15 強化表


 重量(t) 最高速度(秒速) 強度    航続距離 必要ポイント

『22』400万     3万  1000億km   32時間  320万

『23』800万    10万  3000億km   36時間  400万

『24』1500万   30万     1兆km   40時間  500万




       アパッチタイプ  強化表


 重量(t)     強度       必要ポイント

『22』2800     350km     150万

『23』3800     550km     190万

『24』5000     800km     240万


 最大速度(水平   垂直降下  横・後進    垂直)     航続距離

    (      時速       )  (時速)

『22』 5万2千∥5万8千∥4200    2200km   24時間

『23』 6万5千∥7万  ∥5000    3000km   27時間

『24』 7万9千∥8万5千∥6200    4000km   30時間


 この強化表を目にするなり、和斗は。


「あれ? F15の速度が時速から秒速に変わったな」


 そう口にした。

 このカズトの呟きに。


――はい。

  F15の速度表示を、マローダー改の速度表示と統一しました。


「そりゃあ分かり易くなったイイな」


――ありがとうございます。

  で、どの段階まで強化しますか?


「そりゃあ最大まで」


――了解です。


 こうしてF15とアパッチを最大に強化したところで。


「どうやらカズトさんが、マローダー改の武装とドローンの強化を終えたみたいですし、時獄へと転移しましょうか」


 ラファエルが声を上げた。

 そして全員を見回すと。


「皆さん、準備したい事があるなら言ってください」


 そう念を押した。

 この場にいるのは和斗、リムリア、ヒヨを肩車したキャス。

 そしてトツカ達、インフェルノ連合の幹部7人。

 これにケーコとラファエルを加えた13人だ。

 が、口を開く者は1人もいなかった。


「では、行きますよ?」


 ラファエルの声に、全員が頷いた直後。

 和斗達は時獄の手前に転移していた。






 時獄。

 それは直径8メートルほどの大きさだった。

 遠くからは、淡い光を放つ星みたい見えたが、近くで見てみると。

 淡い光を放っているのは、幾重にも重なった魔法陣である事が分かる。

 100を超える、複雑に絡み合った魔法陣だ。

 その中心に。


「ホントにケーコだ……」


 リムリアが掠れた声で囁いたように、ケーコがいた。

 チート転生者が首に噛み付いた姿で。

 

 一方、転生者だが、意外にも普通の人間の姿をしていた。

 年齢は50歳くらいか。

 色白だがデップリと太っている所為か、白ブタの獣人みたいだ。

 とても最も偉大な天使が、その身を犠牲にして封印した強敵には見えない。


 が、とんでもなく邪悪な気配が漂っていた。

 時間が停止している筈なのに、それでも封印できないのだろうか。

 そんな時獄に、ラファエルが悲壮な顔を向ける。


「あの時のままですね。自分の無力さに打ちひしがれた、あの時の……」


 唇を噛むラファエルだったが、そこにケーコの声が響く。


「でも、こうして元の姿に戻れる日が来ました。それにケーコの姿で、とはいえ活動してこれたワケですから、ラファエルが気にする必要はありませんよ。いえ、ラファエル。私はアナタに感謝していますよ 今まで苦労を掛けましたね、本当にありがとう」

「そんな……」


 言葉に詰まるラファエルだったが、そこで。


「え~~と、実に言い出しにくいんだけど、まだチート転生者を倒せたワケじゃない。喜ぶのは、ちょっと早いんじゃないかな?」


 和斗は遠慮がちに声を上げた。


「今までの話からして、俺の戦闘力でチート転生者を倒せるんだとは思うけど、勝負に絶対はない。それにチート転生者が、まだ何か隠している能力があるかもしれない。だから……」

「そうですね、シミジミとしてる場合じゃありませんでしたね」


 和斗の言葉の途中で、ケーコが表情を引き締める。

 そして。


「ラファエル。積もる話は山ほどありますが、それは全てが終わってからにしましょう。では皆さん。チート転生者との戦いの確認をしましょうか」


 ケーコは全員を見回した。


「もちろん戦いの主力はカズトさんです。問題は、そのカズトさんを、どう支援するかです。が、チート転生者が、どう動くか分かりません。そこでまずは、カズトさん1人にチート転生者と戦ってもらいます。イイでしょうか」

「わかった」


 頷く和斗に微笑んでから、ケーコは全員を見回す。


「そして皆さんには、ワタシが状況を判断して指示したいと想いますが、宜しいでしょうか」


 この言葉に、全員が頷く。

 なにしろケーコは最も偉大な天使であり、かつ天使軍の司令官だったのだ。

 それ以上の判断が出来る者などいる筈がない。

 と、全員が考える中。


「では、時獄の封印を解きますよ」


 ケーコの毅然とした声が響いた。







2022 オオネ サクヤⒸ

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