第百三十二話 明日から頑張るとするか
誤字報告、ホントに助かっています。ありがとうございます。
第百三十二話 明日から頑張るとするか
ゴッドヘッド視点
ゴッドヘッドはハッキリ言って、楽勝だと思っていた。
なにしろレッサーハンドを倒すのにも時間がかかる戦闘力しかないのだから。
それにレッサーハンドなら、数分で補充できる。
全てのレッサーセットとアークセットを投入した時点で、勝利は確定。
そう思っていた。
ところが。
妙な鎧を纏った男は、投入した戦力を壊滅させるほどの戦闘力を持っていた。
もちろん、壊滅させられる前に1兆トン隕石を出現させて防御したが。
しかし、この戦闘力は魅力的だ。
上手く懐柔して見方に出来たら、きっと役に立つ。
そう考えて、世界の半分を条件に、部下に加えようとしたのだが。
鎧男は拒否しやがった。
このオレ様を侮辱する言葉と共に。
ならば容赦しない。
この場に呼び出しているすべての戦力で、なぶり殺しにしてやる。
筈だったのに、どうしてこうなった?
恐竜を絶滅させるほどの隕石攻撃にもビクともしない。
まあ良い。
切り札を使おう。
すなわち、無敵の光速攻撃を。
光速で激突させた物体は1グラムで広島型勉学と同等に破壊力を発揮する。
まあ鎧男なら、この程度なら耐えるだろう。
が、攻撃はこの程度では終わらない。
打ち出す隕石の質量をドンドン増やしてやる。
さて、どこまで耐えられるか楽しみだ。
オレに逆らった事を後悔しながら死んで行け。
そう。
仲間と共に、後悔しながら苦しみぬいて死ぬはずだったのに。
鎧男はわずかな隙をついて仲間に駆け寄ると、全員を装甲車に取り込みやがった。
しかも、その装甲車。
信じられない事に、1億トンの光速攻撃にもビクともしない。
そんなはずがあるか!
オレの光速攻撃は、星すら消滅させる威力なんだぞ!
が、そう叫びながら光速攻撃を繰り替えるゴッドハンドだったが。
装甲車に何かを向けられて、背筋が凍る。
(何をしようとしてるのか分からないが、アレはマズい!)
ゴッドハンドは、ここで初めて敵との戦闘力の差に気が付いた。
絶望的なほどの差に。
(チクショウ、どうしてこうなった!? 星系すら打ち砕く力を得て、破壊神すら簡単に倒せるほど強くなったってのに!)
が、後悔するには、あまりにも遅すぎた。
パニック状態のゴッドハンドにレーザーが発射されたのだから。
あらゆる物質を消滅させる超高温のレーザーが。
そして。
目がつぶれるほどの強烈な光を目にしたところで、ゴッドハンドの意識は消滅した。
「ふぃーーッ。まさかチート転生者の手首と頭が、ゼンブ揃って襲いかかってくるなんて思いもしなかったね」
リムリアの皮肉に、ラファエルが苦笑を浮かべる。
「いえ、まさか私も、こんな捨身に近い戦法を取って来るなんて思ってもいなかったもので……本当にチート転生者のヤツは、小心者なのですから」
「ラファエルって、チート転生者が大っ嫌いなんだね」
リムリアのツッコミにラファエルが声を荒げる。
「当然です! あんのヤロウは……」
と、そこでサポートシステムの声が。
――レッサーセット 20対
アークセット 17対
ロードセット 8対
カイザーセット 4対
ゴッドハンド 1対
を倒しました。
経験値 310兆5千億
スキルポイント 310兆5千億
オプションポイント 310兆5千億
を手に入れました。
累計経験値が460兆5千億になりました。
――パラパパッパッパパーー!
パラパパッパッパパ――!
累計経験値が360兆を超えました。
装甲車レベルが132になりました。
最高速度が秒速60万キロメートルになりました。
質量が3兆トンになりました。
装甲レベルが鋼鉄7兆キロメートル級になりました。
ⅯPが2000万になりました。
装鎧のⅯP消費効率がアップしました。
1ⅯPで16分間、装鎧状態を維持できます。
サポートシステムが操作できるバトルドローン数が4400になりました。
ドローンのレベルアップが第21段階まで可能となりました。
神霊力が恒星400億個級になりました。
耐熱温度 5該 ℃
耐雷性能 500該 ボルト
になりました。
武器強化が6000万倍まで可能になりました。
レーザー砲焦点温度が7000兆℃までアップが可能になりました。
サポートシステムが告げ終わったトコで。
「ちょっと待った」
和斗は声を上げた。
「最高速度秒速60万キロメートルって、どーゆーコトだ!?」
――レベル130を超えたので、ステータス上昇率がアップしました。
それの伴い、最高速度の表示が時速から秒速に変わりました。
「いや、それはイイんだけど、秒速60万キロメートルって光速を超えてるじゃないか! 物質は光速を超えられない、って聞いたコトあるんだけど!?」
――それは地球の未熟な科学の理論です。
様々な高次元エネルギーや神霊力を考慮していないから、そのような間違った結論に至ったのです
「そ、そうなのか? でもマローダー改が、地球の常識を超えるステータスを得たのは間違いなさそうだな」
――なに他人事みたいに言っているのです?
マローダー改が、もう少しレベルアップしたらマスターの速度も光速を超えるのですよ。
それまでに神霊力を完璧に操れるようになってください。
無意識レベルで神霊力を纏えるようにならないと、本気で動く度に空気分子と衝突して核爆発を起こ
してしまいますよ。
「うわ、それがあったか!」
頭を抱える和斗にサポートシステムが呆れた声を上げる。
――神霊力の修行は、かならず必要になる、と以前にも伝えた筈ですが。
「ああ、そうだったな。でも、こんな危険なコトとは思ってなかったぜ」
ここまで防御力が上がっている以上、核爆発など怖くない。
怖いのは、その核爆発に大事な人を巻き込んでしまう事だ。
いや大事でなくとも、善良な人を巻き込んだらシャレにならない。
「神霊力の使いをマスターするまでマローダー改のレベルアップはお預けか」
呟く和斗に、ラファエルが笑顔を向ける。
「こうなったら今まで以上に、林業師修行に励むしかありませんね。私も協力しますので、ビシバシ頑張りましょう」
「ビシバシって、いつの時代だよ」
溜め息をつく和斗だったが。
「カズト、なに落ち込んでんの? さっさと神霊力の使い方をマスターしたらイイだけじゃん」
リムリアにパシンと背中を叩かれて、気を取り直す。
「そうだな。稽古を頑張って、今以上の強さを目指す。これまでしてきたコトと同じだよな」
決意を新たにする和斗にリムリアがニコリと笑う。
「方針が決まったトコで、辺獄に戻ってご飯にしよ!」
言われて改めて気付く。
和斗も凄く腹が減っている事に。
と同時に、このまま倒れて眠り込みたいほど疲れている事にも気が付いた。
「ここまで疲れたのは、いつ以来かな」
早くベッドに潜り込みたいな。
いや、その前にメシだな。
いやいや、汗まみれだから風呂が先か。
などと考え込む和斗に向かって。
「ヒヨもお腹ペコペコですぅ!」
ヒヨが元気な声を上げた。
「そうか。じゃあ今から辺獄に戻ってユックリ風呂に入って、美味いメシを思いっ切り食べて、グッスリ寝て、神霊力の修行は明日から頑張るとするか」
というコトで。
「じゃあラファエル。辺獄に転移してくれないか?」
「分かりました」
和斗は仲間達と共に、辺獄へと戻ったのだった。
次の投稿は4月の予定です。
Ⓒオオネ サクヤ 2022