第百二十八話 戦闘準備
「もしかしてドローンも、急激に強化率がアップするのか?」
和斗の、この質問に。
――F15の場合なら、レベル15から急激にアップします。
サポートシステムが一覧表を表示する。
バトルドローン(F15タイプ)
重量 最高速度 強度 航続距離
(t) (キロメートル/時)(鋼鉄相当) (キロメートル)
ノーマル 2500 3971
『1』 30 3000 100m
『2』 60 4000 300m 10000
『3』 100 6000 600m 18000
『4』 160 9000 1km 27500
『5』 240 13000 3km 52000
『6』 340 18000 10km 81000
『7』 460 24000 30km 120000
『8』 500 31000 100km 170500
『9』 660 39000 300km 234000
『10』 840 48000 1000km 312000
『11』1040 6万 3000km 42万
『12』1260 9万 1万km 67・5万
『13』1400 13万 3万km 8時間
『14』1700 20万 10万km 8・5時間
『15』 1万 100万 100万km 10時間
『16』 2万 500万 1千万km 12時間
『17』 4万 700万 3千万km 14時間
『18』 8万 1000万 1億km 17時間
『19』 20万 1500万 3億km 20時間
『20』100万 3000万 100億km 24時間
「うん、たしかに15から速度も強度も一気に増えてるな。でも航続距離が途中から時間に変わってるんだ?」
――航続距離とは元々、最高速度で何時間飛行できるか、というものでした。しかし数値が大きくなり過ぎた為、分かり易く時間表示にしました。
「ああ、確かにそっちの方が分かり易いな。ありがとなサポートシステム」
――どういたしまして。
こういった受け答えが自然に出来るようになった。
ホントにもう、人間を相手にしているようだ。
いや、間違いなくサポートシステムは仲間だと思う。
だから和斗は。
「じゃあ、これからもヨロシクな」
サポートシステムに声をかけてから、もう1度ステータス表に目を向けた。
「マローダー改がレベル123になるのは累積経験値が15兆になったらか。ならもう1回パンデミック・ウィードを地拵えしたらレベル123になれるな。いや1回で12兆くらい経験値を稼げるんだから、レベル125になれるかも」
いや、別に1回で終わる必要はない。
納得するレベルになるまで、何回でも地拵えを行えばいい。
という事で和斗は。
「こぉおおおお!」
神霊力を高め、圧縮し、そして拳に宿らせると。
「せりゃぁあ!」
正拳突きの形で、一気に発射した。
その放たれた神霊力は。
ドパァ!!!
先程よりも少し大きな破壊力を発揮し、13兆を超える経験値をゲット。
「よし、ドンドンいくぞ!」
これを繰り返す事により、マローダー改はレベル129になったのだった。
ステータスを確認してみると、レベル122とは桁違いになっている。
これならもうアークハンドとアークヘッドのセットを恐れる必要はない筈。
でも。
「よし、せっかくだから区切りよく130までレベルをアップさせたいな」
そう。
ここまできたらレベルを130にアップさせたいと思うのは当然だろう。
が、そこでリムリアが声を上げる。
「ねえカズト。神の雫ってホントにレベルが1つ上がるのかな。もしそうならイザって時の切り札として使えるけど、確かめておいた方がイイんじゃない? ちょうどギリギリの累計経験値でレベル129になったトコなんだから」
リムリアの言うコトも確かだ。
使ったらレベルが1上がる。
ギリギリの戦いでは、起死回生の一手になりうるアイテムだ。
しかし本当にレベルがアップするのだろうか。
絶体絶命の状況で、使ってみたけど効果なし、じゃ話にならない。
それに今は、ギリギリの累積経験値でレベル129になった状態。
アイテムでレベルを上げるのなら、1番良いトコだろう。
なので。
「神の雫ならヒヒイロカネゴーレムからも手に入れてる事だし、効果を確認する為に1つだけ使ってみるか」
和斗は神の雫を使う事にした。
「あ、けど神の雫って、どうやって使うんだろ?」
その和斗の疑問に。
――握り締めてレベルアップと心の中で思うだけで発動します。
誰よりも速く、サポートシステムが答えた。
僅かだが、弾んだ響きが混じっている。
やっぱりサポートシステムもレベルアップするのは嬉しいのだろう。
「よし。じゃあ神の雫を使ってみるぞ」
和斗は言われた通り、神の雫を手に取ると。
(レベルアップ!)
心の中で叫んだ。
その直後。
――累計経験値が150兆になりました。
スキルポイントが150兆になりました。
オプションポイントが150兆になりました。
――パラパパッパッパパーー!
装甲車レベルが130になりました。
最高速度が3億キロになりました。
質量が8000億トンになりました。
装甲レベルが鋼鉄3000億キロメートル級になりました。
ⅯPが1400万になりました。
装鎧のⅯP消費効率がアップしました。
1ⅯPで13分間、装鎧状態を維持できます。
サポートシステムが操作できるバトルドローン数が3800になりました。
ドローンのレベルアップが第20段階まで可能となりました。
神霊力が恒星20億個級になりました。
耐熱温度 1・5該 ℃
耐雷性能 150該 ボルト
になりました。
武器強化が4000万倍まで可能になりました。
レーザー砲焦点温度が5000兆℃までアップが可能になりました。
というサポートシステムの声に、和斗はホッとする。
「よかった、神の雫でレベルアップできるみたいだな」
和斗の呟きに、リムリアが声を上げる。
「ねえサポートシステム。ボクも神の雫を使えるの?」
――はい。リムリアはマスターの眷属なので、リムリアが使ってもマローダー改はレベルアップします。
「やった! ならカズトが神の雫を使えない時でも、ボクがマローダー改をレベルアップさせてカズトを助けるコト出来るね!」
リムリアが満面の笑みを浮かべたトコで、ヒヨが声を上げる。
「ヒヨが使ったら、どうなるですぅ!?」
――ヒヨはマスターの眷属ではありません。
だからヒヨではマローダー改をレベルアップさせる事は出来ません。
サポートシステムの答えにガッカリすると思ったら。
「じゃあヒヨは、神の雫でレベルアップするですぅ!?」
ヒヨが目をキラキラさせて質問した。
う~~ん、それは考えたコトなかったな。
マローダー改と同じく、ヒヨもレベルアップするのだろうか?
ヒヨがレベルアップするなら、ひょっとしてキャスも?
と和斗も興味津々だったのだが。
――しません。
神の雫でレベルアップするのは、この世界でマローダー改だけです。
これがサポートシステムの答えだった。
その答えにヒヨはショボンとしてしまう。
「ガッカリですぅ。ヒヨもご主人様の役に立ちたかったですぅ」
その様子があまりにも可哀そうだったのだろう。
リムリアが慌てて励ます。
「ヒヨ、ナニ言ってるだよ! ヒヨだってもの凄く役に立ってるんだよ! ねえカズト!」
いきなり話をフラれてビックリするが、それでも和斗はヒヨに笑顔を向ける。
「そうだぞヒヨ。原爆の時、ホント助かったぞ。それにココでもヒヨは神霊力の使い方がドンドン上手になってる。だから今のヒヨでも、十分に頼りになると俺は思ってるぞ」
「でへへへへぇ」
和斗に励まされてヒヨがホニャラと笑うが、そこで。
「ワタシも頑張る」
キャスまでもが声を上げた。
「神霊力兵器の威力と能力をもっと強化して、カズト様の役に立ってみせる」
「ありがとなキャス。期待してるぞ」
「ん」
短いが嬉しそうなキャスの返事に和斗も笑みを浮かべる。
と、そこで。
――ところでマスター。武器、及びドローンを強化しますか?
サポートシステムが質問してきた。
「おっと忘れるトコだったぜ。もちろん強化するよ」
というコトで。
マローダー改の搭載武器
3連装戦車砲
100倍強化
100万倍強化
4000万倍強化
3連装チェーンガン
100倍強化
100万倍強化
4000万倍強化
3連装バルカン砲対空システム
100倍強化
100万倍強化
4000万倍強化
3連装M2重機関銃
ノーマル
5倍強化
20倍強化
レーザー砲 5000兆℃
バトルドローン=F15タイプ 5 機
レベル 20
質量 100万 トン
最高速度(時速) 3000万 キロメートル
強度(鋼鉄相当) 100億 キロメートル
航続距離=最高速度維持時間 24 時間
バトルドローン=アパッチタイプ 10 機
レベル 20
質量 1500 トン
最高速度(時速)
水平 2万2千 キロメートル
垂直降下 2万8千 キロメートル
横・後進 2200 キロメートル
垂直上昇 1200 キロメートル
強度(鋼鉄相当) 100 キロメートル
4000万倍強化ヘルファイア 8基
4000万倍強化ハイドラ 38基
4000万倍強化チェーンガン 1門(装弾数12万)
和斗は、このように強化したのだった。
この戦闘力を視て、リムリアが和斗に尋ねる。
「でもチート転生者って、100の手首と50の頭を操るヘカトンケイルなんだよね? 5機のF15と10機のアパッチで大丈夫かな? もう少し増やしておいた方がイイんじゃない?」
「そういやそうだな」
和斗はリムリアの指摘に考え込む。
ラファエルはこう言った。
『ゴッドハンド、カイザーハンド、ロードハンドを送り込んでくるコトはないと思います。なので考えうる最悪の状態は、アークハンドとアークヘッドのセット17組と、レッサーハンドとレッサーヘッドのセット20組が現れる事です。あ、カズトさんが1体倒したから、レッサーハンドとレッサーヘッドのセットは19組と半端が1組ですね』
つまり73の手首と37の頭だ。
しかしそれだけしか戦力を投入してこない、という保証はない。
チート転生者は、100の手首と50の頭を持っている。
その全てを相手に戦う事もあり得る、と覚悟しておいた方がいいだろう。
つまり。
チート転生者の150の手首と頭
vs
5機のF15 & 10機のアパッチ
普通に考えたらコッチが不利だ。
「よし! マローダー改が操れるドローンの数は3800に増えてるコトだし、思い切ってドローンの数を増やすか。スキルポイントもオプションポイントもタップリある事だし」
というコトで。
和斗はF15を50機、アパッチは100機に増やした。
しかし数だけ増やせばイイ、というもんではない。
使いこなせなければ、戦力を強化したとは言えないだろう。
だから。
「さてと。じゃあ50機のF15と100機のアパッチを、思い通りに使いこなす練習を始めるか」
和斗はドローンを自由自在に操れるまで、練習を繰り返したのだった。
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