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ペナルティ

「お嬢様!お待たせしました!」


必要な素材をすべて手に入れ終えた私は、洞窟の外へと勢いよく飛び出した。

外で待つお嬢様の前に、片膝を付くかの様なお辞儀っぽい形で華麗に着地。

その状態から顔を上げ、報告を元気よく行う。


とにかく元気に。

勢いよく。

全てを吹き飛ばすかの如く。


そう、私のミスを吹き飛ばすのだ!!


「30秒オーバーね」


駄目だった。


「さて、ペナルティーは何がいいかしら」


高々30秒オーバーくらい、大目に見て欲しいものだ。

しかし諦めるのは早い。

洞窟(ダンジョン)内では想定外の人助け(トラブル)に見舞われたのだ。

その辺りを是非とも考慮して頂くべく、陳情(つかまつ)ろう。


「ある程度のトラブルも考慮した上での制限時間だもの。お目こぼしは無しよ」


お嬢様は私の考えを先回りして駄目出ししてくる。

相変わらず超能力張りの勘の冴えだ。


「さて、ペナルティは決まったわ。小遣いカットよ」


「えええぇぇぇぇぇ!?それは後生です!お嬢様!」


私はお嬢様の従者として、相当な額の給与を与えられていた。

何せミャウハーゼン家はこの国の名門中の名門にあたる。

そこに使える者への報酬は、当然末端であってもウハウハレベルだ。


私はその半分を実家に仕送りしているのだが、残り半分だけでも生活には全く困らない。

それ所か、一般家庭より遥かに贅沢できる程のお金がある……のだが。


ここで第2の制限(しばり)が私を苦しめる。

それはこの旅の間、支払われた給与には一切手を付けてはいけないというものだ。まあ流石に家への仕送りは別だが。


とにかく、これが厄介だった。

基本の旅費はお嬢様が出してくれるので、取り敢えず生活には困らない。

だが折角の旅だ。

色々買い食いしたり、お土産等を買いたいと思うのが人情。


だがそれら個人的消費への支払いは、第2の縛りにより全て冒険者報酬(おこづかい)で賄わなければならなくなってしまっている。

その為、今の私は金欠状態だ。


はっきり言って、冒険者の報酬はしょぼかった。

セレブの私が満足できるような額には程遠い。

その現状でも不満たらたらなのに、そこから更にカットなど正に地獄。


私はその場に跪き、両手を合わせて涙目でお嬢様に懇願する。

贅沢したいと。


「お嬢様!私がお嬢様に使えるのは、ぶっちゃけお金の為なんです!この旅を少しでも楽しみたいんです!だから小遣いカットだけは勘弁して下さい!」


お嬢様に隠し事は出来ない。

ならば全てを曝け出し、己が魂の叫びをぶつけるのみ!


届け!

我が願い!


「駄目よ」


駄目だった。

神も仏も無いとは正にこの事だ。


だが諦めきるのはまだ早い。

此処からはカット率の勝負だ。

この交渉に私の生活(ぜいたく)が懸かっている。


いざ尋常に勝負!


「人助けをしたんだから5%ぐらいで勘弁して下さい」


私の言葉にお嬢様は黙って首を横に振る。

まあこれは想定の範囲内。

最初大股で踏み込み、後で譲歩する。

それは交渉の基本だ。


「ぬぅぅ……だ、だったら15%で……」


この程度なら、頑張って冒険者として働けば挽回できる率だ。

私は、私の予定(ライフスタイル)を貫きたい。

お願い!首を縦に振って!!


「駄目よ。小遣いは99%カットよ。でも人助けを考慮して、95%にしておいてあげるわ」


お嬢様の天使の様な悪魔な笑顔。

彼女の言葉を脳が拒否して、私はその場で気を失った。

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