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ほのかに甘い匂いがする
うわ、変態みたいな事思っちゃった
「やっぱり清美には壊れてて欲しくないな」
そう言って微笑まれた
年齢に似合わず 妖艶にいうものだから驚く
てか 近い
「なんで名前知って…」
「あぁ、まっくろさんが来た」
男の子が私の後ろを見ている
酷い異臭が漂った
振り向くと
真後ろに
あの
まっくろい かげ
「きゃぁぁぁ」
私は今日何回叫ぶんだろうか
男の子がアパートを指差す
あっちに逃げろって?
「君は?逃げなきゃ!」
叫んだが 男の子は指を指したまま動かない
ミツキさんが私の腕を掴み走り出す
「ミツキさん!私 あの子をなんとかします」
そう言ったあと後ろを振り向く
男の子が宙に浮かんでいる
「ええぇ、そんなのありィィ?」
というか、まっくろさんは男の子を見向きもしない
目はないけど、顔の方向でなんとなくわかる




