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ブランコに乗って居る男の子と、目があった。
「一人?」
ミツキさんが話しかける
「………」
え、無視してる?
怒っている?
私も話しかける
「あの?君お母さんとかは?」
男の子と目があった
綺麗な顔だ 女の子みたい
「お母さんは居ない」
「……」
しまった。
何て聞き方をしてしまったんだ
配慮が足りなかったぁぁぁあ
「あ、そうなんだ ごめんなさい
あ、でも一人でいたら危ないんじゃないかな?」
言いたくない事を言わせたかも
こういうのは謝って良いのかはわからない
すると男の子はこういった
「心臓をちょうだい」
「……」
えっと、心を込めて言えって事?
「バラバラに飛び散っちゃったんだ
酷い有様だ」
うわ、いきなりグロい事を言ってる
「今の私の言葉で傷付けたって事?
それなら本当にごめんなさい
考えが足りていなかったです」
子供相手と言っても敬語で謝る
「違うよ
これから生きるために必要なんだ」
会話のキャッチボールができてなくない?
てか…心臓がバラバラに飛び散った人って蘇生するんだろうか
男の子は私を見つめながらこう言った
「君の心臓が欲しいんだ」
心臓がドクリと脈打つ
その可愛らしい顔から 恐ろしい言葉が飛び出した
でも少し…ほんの少しだけ
艶やかだと思った
その声が、こっちを見るその瞳が、
愛しいものに向けるようなものをしていたから
ミツキさんは喋らない
その顔はうつむいて見えない
突然、男の子はグイッと私に近づいてきた




