19
「きゃぁあぁあ」
叫んで起きた
体を起こして、周りを見る。
あたりには誰もいない
黒い影はいない
悪夢をみて叫ぶとかやばいだろ
コンコン
ドアがノックされる
ガチャリ
ミツキさんが来た。
いや、ノックの意味なくないですか?
「あ、すいません
悪夢をみて叫んでしまって」
「夢を覚えてる?」
「えーっと、寝てる夢だったんですけど…
えーっと…」
「思い出せないならそのままで良いよ」
ミツキさんが私に近づく
「まぁそんなたいした夢じゃない気もするんですが」
「ううん、辛かったね」
そういってミツキさんは手を伸ばし、私の頰に触れる
「えぇえ?」
と言いながら気づいた
私、泣いてた
「え、なんで涙?」
いやいや、この年齢で夢で泣く?
「ここにいるよ、寝るまでいるよ」
ミツキさんがそう言う
「いやいや、そんなことさせられないですよ」
「寝て良いよ清美」
すごく優しい声
安心する
瞼が重くなる
私の半分起こしていた体がゆっくり倒された
「すいません、なんか急に眠たくなりました」
意識がぼんやりしてくる
ミツキさんはベットの脇に来る。
空いた扉からの光が、ミツキさんを照らす。
その影が私の体に落ちる。
「おやすみ清美」
私の頭を優しく撫でてくれる
気のせいだろうか
呼吸まで合わせてくれてる気がした
やっぱりこの人は優しい人だ
信じたい
そして私は完全に眠ってしまった




