9話 蛙、魔法使いになる。
『進化が完了しました。 隠密スキルがレベルMAXになったため上位スキル気配遮断を取得。統合しました。スキル影操作、闇魔法、毒纒を取得しました。腐食耐性、鑑定、暗視スキルがレベルアップしました。 称号闇使いを取得しました。』
目を覚ますと異常な腹の減りに気がつく。
俺は目の前に転がっている兎の死体を丸呑みにした。
少し腐っていたようで異臭がするがそんなことは考えていられない。
自分の体程もある兎を口に運ぶとなんとか満腹感を得ることができた。
やっぱり進化後は腹が空くな。
兎を取っておいてよかった。
早速ステータスを開く。
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名前:
種族名 イビルフロッグ
Lv.1
HP:50/50
MP:88/88
SP:42/42
スキルポイント:90
*スキル*
【マユの声】【痛み耐性Lv.9】【衝撃耐性Lv.6】【腐食耐性Lv.3】new【鑑定Lv.8】new【猛毒生成Lv.8】【成長Lv.7】【猛毒無効】【気配遮断Lv.1】new【気配察知Lv.3】【暗視Lv.MAX】new【根性Lv.5】【影操作Lv.1】new【闇魔法Lv.1】new【毒纏】new
*称号*
【愛に生きる者】【共喰い】【猛毒使い】【殺し屋】【下剋上】【闇使い】
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おぉ!
めちゃくちゃ強くなってる。
ただこの階層でこのHPは圧倒的に低い。
まだまだ気は抜けないな。
それより闇魔法だ。
異世界に来て数ヶ月、ようやく魔法を使えるようになった!
(あれ?どうやって使えばいいんだ?)
『闇魔法は共通魔法スキルです。 呪文ダークボールを頭の中で唱えると発動可能です。』
(共通魔法?)
『はい。闇魔法、光魔法、火魔法、土魔法、水魔法、雷魔法は共通魔法と呼ばれ、スキル属性の適性があれば使うことが可能になります。 全属性レベル毎に10種類存在することになります。 共通魔法以外の魔法を固有魔法と呼び共通魔法とは分離された属性魔法スキルです。 主様の影操作や毒生成がそれに該当します。 固有魔法は種族などによって受け継がれるもの、経験によって得るものなど取得条件は様々です。』
(なるほどね。 つまり、共通魔法は適性さえあれば誰でも使えるようになるけど、固有魔法は個体や、種族によって変わってくるわけか。結局スキルと魔法ってどう違うんだ?)
『魔法はスキルに含まれます。スキルの中で魔力を用いるものは魔法に分類されます。剣を用いるものは剣技、弓を用いるものは弓技など扱う武器によっても分類されます。』
(オーケー。 理解できた。 結局は魔法も技も全てスキルとして扱われるわけか。)
とりあえず闇魔法を使ってみるか。
(ダークボール)
体から何かが失われる感覚と共にそれが変化し球状となって眼前に姿をあらわす。
真っ黒な塊はおれの眼前から真っ直ぐに飛んで行き壁へとぶつかると球状に壁を削り取って消えてしまう。
ぶつかった部分はまるで消滅しているようだった。
初めてちゃんとした攻撃手段を手に入れた気がするな。
魔力の減りは一発で10くらいか。
今の体力なら8発打てる計算だな。
続いて影操作のスキルを試してみる。
(影操作!)と頭の中で叫ぶと自身の影が形を変えて二次元から三次元の存在となった。
変幻自在に動く影だったが、体から10メートル程
までしか伸ばすことができない。
恐らくスキルレベルを上げれば強度や距離が伸びるのだろう。
しかしこのスキル中々に使い勝手が良さそうだ。
今まで舌で物を運んだりしていたのを影で運ぶことができるし、鋭い形にして攻撃、体に纏って防御にも使える。
中々いいスキルを手に入れられたな。
とは言ってもこの階層の化け物たちにどれだけ通用するのかはわからない。
とりあえずは闇魔法と影操作のレベル上げが今後の課題だな。
俺はビダンカの花とメルゴンゾーラを採取しに行くことにした。
また拠点に篭って修行をしなくてはいけないからだ。
隠密スキルがMAXになり上位スキルの気配遮断のスキルまで得た俺は他の魔物に気付かれることなく進んでいく。
隠密スキルと気配遮断スキルについての違いは動いているときに発動できるかどうかだ。
隠密スキルは止まっているときに息を潜めて気がつかれないようにするもの。
上位スキルの気配遮断はいつでもその気配を薄めることができるのだ。
俺はビダンカの花とメルゴンゾーラを影操作で持ち運びながら拠点へと帰る。
随分楽になったものだ。
そしてまたまた修行を開始するのだった。