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転生蛙の異世界冒険譚  作者: メロン男爵
8/11

8話 蛙、修行する。

気がつくと拠点はかなり大きくなっていた。

毒で溶かされた壁はドロドロになっており、俺はついに毒生成スキルをカンストさせ猛毒生成スキルを取得。

根性、猛毒無効のスキルも取得していた。

現在は猛毒生成スキルのレベル上げに勤しんでいた。


ぐー。


あー、腹減った。

ここに来てもう1ヶ月は経つだろうか?

敵と戦わず永遠とも思える時間ずっと壁に毒を吐き続けてきた。

その間は草やゲロまずい花しか食べておらず、その食事で空腹が紛れることはなかった。

時間という概念ももうよくわからないので本当は数ヶ月経っているのかもしれないし数日しか経っていないのかもしれない。

ただ今できることは毒を吐き続けることだけだった。

しかし、今日で採ってきていた草花をすべて消費してしまったので仕方なく拠点から出ることにした。

拠点から外へ出るという死んでもおかしくないような感覚に襲われる。

実際魔物と敵対すれば一溜まりもないだろう。

数十メートル先の花を取りに行くので命がけだ。


俺は隠密スキルを最大限発揮し、花を収穫する。

そして拠点へと帰ろうと身を翻したその時、気配察知でなにかの反応を捉えた。

俺はすぐさま天井に張り付き身を潜める。


近づいてきたのは前回見た兎の魔物だった。

いつもは群れで行動している兎だったが、逸れてしまったらしい。

俺は鑑定スキルを使う。


==================================

種族名:リエールエンドデスラビット Lv.68

HP:448/548

MP:445/452

SP:422/423

*スキル*

【聴覚強化Lv.3】【逃げ足Lv.5】【群生Lv.2】【脚力強化Lv.5】【遠吠えLv.1】【気配察知Lv.4】

==================================


異常耐性を持っていない!

しかも今まで見た中で一番弱い個体だ。

俺は猛毒スキルを試すには今しかないと直感した。

もちろん一撃でも受けてしまえば俺の身体はバラバラになってしまう。


気がつかれないように注意しつつすぐさま睡眠属性の猛毒液を生成する。


兎は植物を食べるのに意識を奪われているようだ。

そして俺はゲコッと鳴き毒液を落とす。

不意に上から音がして驚いた兎は上を見上げる。

すると俺の垂らした毒液は兎の顔面へと降りかかった。

その液体は顔中に広がり口内に侵入する。

兎は体を震わすとそのまま倒れて眠った。


よし、第1段階クリアだ。


ここで兎を殺すのには時間がかかりすぎて他の魔物と遭遇するリスクが高いため舌で拠点まで引きずっていく。

運良く他の魔物と遭遇しなかった俺は無事拠点の中に兎を連れ込むことができた。


念のため、毒液でドロドロにした地面に兎の半身を埋めて固める。

今の俺はこのように多種多様な毒を作り出すことができるようになっていた。

そして、兎の口内に少しずつ毒を流し込んでいく。

ゆっくりではあるが確実に兎の体力が減っていた。


魔力が無くなれば花を食べ魔力を回復し、兎が目を覚ましそうになればまた睡眠毒を流し込む。

麻痺毒を混ぜてもしもの時に備えもした。


それから何時間が経っただろうか?


気の遠くなるような時間が経った。


最初は1分くらいでHPが5減っていたのだが、今は10分で1しか減らない。

俺は疑問に思い鑑定を使った。


==================================

種族名:リエールエンドデスラビット (睡眠)(猛毒)(麻痺)

Lv.68

HP:98/548

MP:445/452

SP:225/423

*スキル*

【聴覚強化Lv.3】【逃げ足Lv.5】【群生Lv.2】【脚力強化Lv.5】【遠吠えLv.1】【気配察知Lv.4】【異常耐性Lv.3】

==================================


異常耐性がついている!?

今の俺の猛毒スキルは4。

これでは効果が薄くなって当然だ。


俺は焦りつつも着実に体力を減らしていく。

それから数時間、だんだんと毒の効きが悪くなり睡眠毒の使用回数も徐々に増えていった。

そして体力が10をきったところで…………


兎がついに眼を覚ます。

睡眠毒はもうほとんどその効力を失っていたのだ。

半身を埋めた兎は俺を睨み付け暴れる。

自慢の足を埋めた地面は段々とひび割れていきいつその身を自由にしてもおかしくはない。

俺はその間も持ちうる力の全てを使って毒を吐き続ける。


そしてついに兎が地面から解放され気持ち悪いほど発達した後ろ足で俺へと飛びかかる。


俺は最後の力を振り絞り毒を浴びせる。


兎は少しぐらつき俺を擦りながら俺の後ろへと飛んで行った。

振り向くとそこにはHPが0になった兎が横たわっていた。


そして俺の体力は残り1。

これはおそらく根性スキルの効果だ。

10回に1回の確率でHPが0になる攻撃を受けた場合1だけ体力が残るという根性スキル。

俺はそのスキルに命を救われた。


よっしゃぁぁぁ!!!!!!!!!


全身が痛み意識が朦朧とする中、俺は歓喜の声を上げた。


『レベルが大幅に上がりました。 【根性】【猛毒生成】【痛み耐性】【成長】【衝撃耐性】のレベルが上がりました。称号【下剋上】を獲得しました。』



==================================


名前:

種族名 ドクドフロッグ

Lv.25

HP:1/48

MP:0/50

SP:5/48



スキルポイント:90


*スキル*

【マユの声】【痛み耐性Lv.9】new【衝撃耐性Lv.6】new【腐食耐性Lv.1】【鑑定Lv.7】【猛毒生成Lv.8】new【成長Lv.7】new【猛毒無効】【隠密Lv.8】【気配察知Lv.3】【暗視Lv.4】【根性Lv.5】new

*称号*

【愛に生きる者】【共喰い】【猛毒使い】【殺し屋】【下剋上】new


==================================



『進化可能レベルへ到達しました。』



==================================

進化先候補:ドクドクフロッグ

      ラビットフロッグ

      イビルフロッグ

==================================


あぁ、ようやく進化か……

とりあえず今は体力の回復が最優先だな。


俺は採っていた薬草、というか毒草のメルゴンゾーラを食べる。

毒無効の俺にとっては薬草となるのだ。

そして体力魔力共にある程度回復したところで進化について考える。


今のままだとこの階層で生きていくのはかなり厳しい。

だが俺の目指すキンググリエントガフロッグになるには進化先候補にないものに進化しなければならないのだ。


んー、どうしようか。


最終目標は人間に近いものなのでキンググリエントガフロッグに必ずしもなる必要はないのだが……

とりあえず鑑定使ってみるか。


ドクドクフロッグは今のドクドフロッグの上位互換。

低い戦闘力のかわりに強力な毒攻撃が武器。

扱える毒の種類は数千種に及ぶ。


ラビットフロッグは名前の通り後脚が発達しており、ジャンプ力は桁外れで一度のジャンプで数百メートル移動することも可能。

後脚をつかった攻撃は鉄をも貫く。


イビルフロッグは闇属性魔法と毒攻撃を得意としており、魔力量が多い。

そのかわり単純な戦闘力はあまり高くはない。



とまぁこんな感じの説明だった。

んー、正直ラビットフロッグは論外だな。

この洞窟の中でジャンプ力は必要ない。

それに鉄を貫く攻撃力だとしてもレベル差が圧倒的なこの階層の魔物たちに単純な戦闘力で勝てるとは思わない。

となるとドクドクフロッグとイビルフロッグだが……


今まで毒だけで生きてきた。

毒が俺の命を何度も救ってきたんだ。

毒にはこれ以上ない思い入れがある。

じゃあ迷う必要なんかない!


俺はーー




(イビルフロッグで!)





やっぱり魔法って憧れるじゃん?

それに毒もつかえるしな!


こうして俺は二度目の進化を開始した。



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