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1話

 ん…?


 あー、そうやね。

 やっぱり原因は信号無視の暴走トラックだった模様。


 しかし何と言うか、異世界にやって来たけど転移でも転生でもない様子?

 どちらかと言えば、身体の持ち主の意識が無くなったから自分が代打として現われたって感じ。

 いまいち状況が分からないが、自分が何とかするしかない感じというのは分かった。

(ほな、ちょっと身体借りるで?)


 立ち上がる。


 滅茶苦茶頭が痛かった。

 て言うか、頭が血まみれだった。

(でも我慢や、おっちゃんは泣かへんで)


 痛いのを我慢しつつ、怪我以外の現状を調べる。

 普通に思いだすようにすると、全部では無いがある程度は“見る”事が出来た。


(ふむふむ…)

 どうやらこの身体、5歳児のようである。

 名前は『クルツ・オプファン』という男の子。

 上に兄が二人、つまり三男坊で。

 リセト村とかいう農村の出身か。


 それ以外で見る事が出来たのは、両親や家や村の光景といった雑多な情報ばかり。

(まぁ5歳児やし、こんなもんやな)


 で、何故この身体の持ち主であるクルツ君がこんな現状に陥っているのかを思いだそう。

 ふむ、村の傍にある森で一人で遊んでたら?自分より少し大きいぐらいの怪物が一匹現れて棍棒で殴られたみたいで。

(って!襲われたんかーい!)


 思わず脳内でツッコミを入れたその瞬間、目の前の低木の茂みが揺れたかと思うとクルツを襲った怪物が再び現れたのだった。


「………」

「………」


 双方、目が合う。

 自分は初めて見る本物の怪物の姿に動けず、相手は仕留めたと思っていた獲物がまた動き出している事にビックリしている。


「うわあああああああああああああ!」

「グギャアアアアアア!」


 自分は思わずその場からダッシュ!

 怪物は手にした棍棒を振り回しながら追いかけてくる。


 そうやってしばらく追いかけっこをしていると、ある事に気が付いた。


(て言うかこの身体怪我人やん、普通やったら痛みとかでヘロヘロな筈やのに、何でかあの化け物に負ける気がせぇへんで?)

 おまけにこの身体、意外と体力はある模様。小柄ではあるが野生児寄りなやんちゃ坊主って感じがする。


(いっちょやってみるか?)

 走りながら周囲を見渡し、手ごろな石を発見。大きさ的に漬物石ぐらい。


「やってやる!やってやるぞー!」

 石を拾って持ち上げつつ、敵の振り下ろした棍棒を回避。

 大振りな攻撃だった為にバランスを崩し、その頭部が下がった瞬間を見逃さない。


「往生せいやー!」

 石の重さ+自身の体重+振り下ろす速度。それに加えて石の角部分を使う技術。

 完璧に相乗しあったそれを相手の頭頂部に叩き付ける。


『ドゴキャ!』


 鈍い音と共に、石が相手の頭頂にめり込んだ。

「グゲェ!」

 断末魔を上げ倒れる怪物。これが会心の一撃である!

「かーらーの!」

 念の為の追い撃ちを忘れない。所謂“やったかフラグ”を立たせない為だ。

 3回ほど全力で石を叩きつけておいた。


(ふぅ…)

 脅威は排除したと確認し、一息ついた所で全身が再び痛みはじめる。

 それに加え、この身体の本来の持ち主であるクルツ君の意識が目覚め始めている事が分かった。

 貧血状態になったのか立っていられなくなり、その場で倒れる。

 遠くからクルツの名を呼ぶ大人達の声が聞こえてきた。


(まぁ、ええか)

 後は大人に任せて自分は引っ込む事にしよう。

(クルツ、今日の事で存分に怒られて反省するんやぞ)

 そう思いながら、自分の意識はパソコンの画面がシャットダウンするように闇に閉ざされたのであった。





 その後。

(なんか、偶に目覚めてはクルツの尻ぬぐいとかアドバイスするようになったわ)

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