第8章『犯人』
あいつの答え。
<狭間がある以上、星への侵入が一分を超えることはありえない。今回の干渉時間で確定した>
通信に凄まじいノイズが走った。雑音の中、コユキの説明が続く。
<ブリーズや『コウキ』のデータを拾って、ペインのルートを通過している以上、干渉に時間がかかる。多少の遅れなら気に留めることもないが、この状況で干渉時間に一分以上かけたのは失敗だったな>
同じタイミングで干渉していないことを見抜かれた。
そしてコユキが言った。
<犯人は、キミしかありえない>
ブリーズが動かなくなり、広大な土地に『クレナイ』と『ケンパク』がたたずむ。
『クレナイ』がとっさに逃げようと動くが、先に行動を起こしたオレは、フウセツ六式でカノコの機体を斬り捨てた。
悲鳴もなく、『クレナイ』が崩れ落ちる。
<カノコ!>
「うるせえ、騒ぐな」
オレは上空の『セイバーン』を睨みつけた。
己の意識と直結していたブリーズの反応が、完全に消滅している。
「オレの機体にどんなイカサマしやがった」
<……イスケに造ってもらった。通信をジャミングする装置だ。もうブリーズに指示は出せない>
「テメェ……」
<ブリーズも兵器である以上、遠隔操作が必要だろう?>
とんでもねえイカサマしやがって……。
もはやブリーズは使えない。
――ならば。




