第7章『セイバーン・パイロット・コユキ視点』-2
十一月六日。
いつもの作戦で、巨大ブースターを牽引していく全部隊。俺のヘリ『セイバーン』にも大型ミサイルがセット完了。二人が使うあの大型ライフルも準備されている。
もうじきカノコとトウケンも来るだろう。
その時、背後に気配を感じた。
「コユキさん、幸運を祈ってます」
金髪の整備兵に声をかけられた。見覚えのある顔だった。
確かサヤとよく一緒にいる……。
「マリナです」
「ああ、いつもサヤが迷惑をかけてる。すまないね」
「それはこっちのセリフですよ。あのドジっ子の面倒見るのは大変でしょう?」
反射的にうなずきかけて、否定の答えを返した。
「いや……さすがに慣れたよ」
繰り返し第八世界に干渉して、サヤの扱いは覚えたつもりだ。むしろ得意かもしれない。
「信じてますから。あの子のこと、よろしくお願いします」
「ああ、全力を尽くす」
そこでイスケに造ってもらった物をマリナに手渡す。
完成したばかりの、手の平サイズの装置だ。
「これをあの機体に取り付けてくれ」
「あの……これは?」
「なぁに、ちょっとした保険だよ」
指示通り別の整備に向かうマリナの背中を見送り、すっかり使い慣れた『セイバーン』の操縦席に滑り込む。
こうして全部隊がフィールドに。
そして、世界は……。




