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第6章『ベース開発部・イスケ視点』-3

 十一月二日。

 ベース開発部にて。

「他に方法が思いつかねー……」

 四人で開発部のメンバーと意見をわす。

 ペインの干渉者は誰なのか、答えなど分かるはずもない。

 それでもこの世界に来てしまった以上、時間は過ぎ、いずれエンディングがおとずれる。このまま何もしなければ……最悪のエンディングが再び……。

「ちから技よね、この作戦って」

「オレにアイデアを求めた時点で予想できるだろーが」

「ま、とにかくここを出よう」

 コユキにうながされ開発部を出る。

 長いフロアを並んで歩きながら、トウケンが言いだした。

「いっそのことランスから破壊力のある新型兵器とか持ち込んで、ブリーズをかたぱしからブチのめすとか……」

「それは駄目だめ

「即答かよッ」

 不満そうな表情に、コユキが説明をはじめた。

「もしランスの兵器を持ち込んでブリーズを殲滅せんめつしたとする。この世界とは科学力のケタが違うからな、勝つのは簡単だろう。そのあとはどうするつもりだ? ここにあってはならない武器が、この世界では絶対に製造できない未知みちの武器が世界に持ち込まれたら?」

「そうよねえ。たとえブリーズが滅んだあとでも、あまりに強すぎる兵器は結果的に、世界の脅威きょういとなるわね。今度は人間同士の戦争の引きがねになりかねないし。たとえ回収したとしても武器のデータは残る。新たに改良とかされたら、ますます厄介やっかいね」

「……だからこの世界の開発部で毎回武器を造っているわけか……」

「トウケン……アンタ今さら気がついたの?」

「うるせッ」

 コユキがわずかに肩を落とす。

「俺たちはただあばれるために干渉しているんじゃない。ちゃんと世界との釣り合いを考えて戦闘しているんだ。結果として……苦戦していることも事実だが」

 カノコがコユキの頬をプニっとつまんだ。

「あんまり落ち込まないでよ。今回のトウケンの作戦だって、やってみなくちゃ分からないし。アタシたちの努力しだいでペインの干渉をくつがえせるかもしれない」

 どうなるか分からない。

 可能性の問題か……。

「それにしても、ここまでコユキが苦労してる姿なんて、はじめて見たぞオレは」

 意外そうにコユキは目を見開みひらく。

「そう……か? 俺はそれほど万能ばんのうではない……」

「そんなことないでしょ。これまで素晴すばらしい結果を出してきたのよ。コユキのおかげで、とても多くの人々が救われてきたもの。もっと自信を持ちなさい」

「だがそれは過去の話だ。実際この第八世界を救えずにこれほど苦しんでいる。それにペインがどれほどの人数、この世界に干渉しているのかも分からずじまいだ」

 落胆らくたんしかけた気持ちをぶっ飛ばすように、トウケンがコユキの胸にポンっとこぶしをあてた。

「落ち込んだって、どうにもならねえぞ」

 不安要素は確かにある。だが。

「救ってやろーや。この世界も、あの新人も。オレたちの力で!」


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