あとがき
風俗嬢は、世間に堂々と
胸を張れる仕事ではありません。
また、この業界はたしかに稼げるけど、
つまりはお金という魔物が住む世界で、
なかなかこの仕事を辞められません。
フウカ自身、魔物の刃が、
体に半分食い込み、
身動きできず、半殺しの、
もがいている状態なんだと思います。
「なぜこの仕事に飛び込んで
しまったんだろう、
あの時、踏みとどまっていれば」
と、ふと思うこともあります。
でも、この業界に足を踏み入れてしまった
ことは消せない出来事で、
そしてもし、魔法の消しゴムがあって、
「この過去の事実を、記憶からも、
世間からも全て決してあげましょう。」
と、親切な魔法使いがいても、
「ちょっと待ってください…」
躊躇う自分がいるのも、事実だと思います。
それだけ、沢山の濃い経験をしてきました。
良くも悪くも。
この仕事を辞めた後のこと、
ちゃんともっと準備しなきゃ、
と思いながらも、
この先、いつまでこの仕事に
留まり続けるのか、
自分自身がどうなっていくのか、
まだ分かりません。
夢を叶えるために、この仕事で稼ぎ
お金がたまったから、あとは夢に向けて…
と、短期で風俗を辞めれる女の子が
本当にうらやましいです。
フウカは、もうしばらくは
この仕事を続けていると思います。
せめてその間は、風俗嬢のマナーとして、
というより、一人の人間として、
真心を込めて、お客様一人一人と向き合って
いきたいです。