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hello goodbye  作者:
17/27

暇つぶしと化した二人

真冬はとても楽しんでいた。

幼馴染で、妹のように思いながら一緒に成長してきたアサに彼氏ができた。小さかったアサが、彼氏を作るなんて、思っても見なかった。

真冬にとってアサは、妹のようなものであり暇つぶしであり、かわいい女友達だった。だからこそ、アサに彼氏ができた時には、それこそかわいい娘を持つ両親がやるように、つれてきた彼氏をふるいにかけて落としてやろうと思っていた。必要とあらば邪魔でもしてやろう、そう思いながら。

そうして、そんな時期がやってきて。

わざわざ家まで、結婚の挨拶をしに来た男。結婚なんてまだ早い、アサは高校生なのだから。いきなり結婚を申し込むなんて、しかも自分が母親に間違われるなんて、どんな男がアサに惚れたのだろうか。そう思って男の顔を見てみたら…

「……」

ああ、なんて面白いんだろう。

運命なんて信じてないし、あれはまさに偶然。


昔々、休日に、家の花屋の手伝いが嫌で、家を抜け出してぶらぶらと散歩をしていた時に見つけた乱闘。否、一方的に高校生にボコボコにされていたガキ一人。

なんて卑怯で癇に障るのだろう。体格差もあるのに、小学生一人に高校生が五人。

ああ、助けるのもめんどうくさい。目障りだから、早く通り過ぎてしまおうか。

真冬は、他人には興味が薄かった。特に高校生時代は、仲間や家族のような親しい人以外には無関心で、無慈悲だった。

しかし家族に害のあるものは排除し、仲間を傷つけるものからは体を張って守り抜いた。

通り過ぎよう、無駄な労力だ。

胸糞悪いものを見てしまった、とため息をついた。真冬はふいっと目を逸らし、足の方向を変えた。

耳障りな喚き声、高校生集団が何か言っている。あの小学生も本当に災難だな。

完全に背中を向けていた、何も見ていなかった、興味もすでに別に向いていた…はずだったのに。


「………?」

なぜだかわからなかった。無意識に、もう一度その小学生を視界に入れた。それは、やはり運命と言うにはあまりに気まぐれで、偶然と言うにはあまりにできすぎた、今思うととても忘れられない一瞬であった。

「!」

目を、奪われた。

殴られていた小学生は、それでも凛としていた。殴られながら、顔中腫らしながら、痛みが激しいはずなのに恐怖に屈服せず、凛としていたのだった。

ぞわ、と鳥肌が立った。衝撃が、体に走る。

小学生の強い光を宿した瞳に惹きつけられるように……真冬は衝動的に地を蹴った。



自分が助けたあのときの小学生が、まさかアサの彼氏になるとは。

なんておもしろい縁なのだろうか、と真冬は昔のことを思い出して笑った。


邪魔なんてしない。

私を惹きつけたあのときのガキんちょがアサの彼氏ならば、文句なんてあるはずもない。むしろ、少しだけ…そういうやつがアサの男ならばと思った時もあった。だから純粋に、祝福してあげようと思っている。

アサも、満更ではなさそうな反応だし。


でも、今はまだ退屈だから。

次の面白いことがあるまでは、アサも涼ちゃんも、私の暇つぶしにしてしまおう。


真冬は小悪魔のような、悪戯っ子のような笑みを浮かべて、再びアサの頭を撫でた。

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