ひとり
人は皆、ひとりで生まれてきてひとりで死ぬ。
その間に、たくさんの人に支えられ、愛されたとしても、ひとつになどなれない。交わることなどない。
結局ひとりなんだ。
考えが同じ。好みが同じ。それでも、
ひとつにはなれない。
たぶん私は怖いんだ。
「私」という人間が、今ここに、ちゃんとひとりで生きていることが。
私の全てを知る人間が、ひとりもいないことが。これからもいないということが。
私を産んだお母さんも私の全てを知らない。
血を分けた妹も私の全てを知らない。
私はお母さんや妹にはなれなくて、
お母さんや妹は私にはなれない。
誰でもない私が、
ひとり