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自分の歯が急にボロボロと崩れだして、口の中にゴロっとした感触がいくつもひろがり、びっくりした拍子に夜のアスファルトの上にバラバラと白い歯がこぼれ落ちた。
こつんこつんという音。
歯が落ちたのだなとかわかるまで少し時間がかかった。
実際に舌で歯茎をさわってみる。
するとボコボコと穴の開いた歯茎を舌で感じた。
地面にへばりついて落ちた歯を探すけども黒いアスファルトの上なのにコンクリート片も散らばっておりなかなか自分の歯が見つからない。
これかと、つまみあげても、それは白っぽいグレーのコンクリート片。
クルマのヘッドライトが近づいてきたので、アスファルトにへばりついた体勢を辞めて道路脇に避けるとクルマも遠慮しながら探していた場所を避けるように塀ぎりぎりに寄せながら、ゆっくりと走り去っていった。
のだけど、タイヤに挟まった歯はクルクルと回転しながら僕から離れていく。
回転しながら僕の歯は遠く、遠く離れてく。