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アカシックレコード
美佐子が白衣を着ていて、自分のことをマッドサイエンティストと呼べと中2のようなことをいいながらラットに僕の脳を移植しようとしている。
何度も失敗して、そのたびに泣いている。
成功したら、言えなかった言葉を言おうと思う。
ネズミの体なら、言えなかった事も言えるような気がする。
【どうしたいの?】
という問いかけに答えられるような気がするけど、今回もまた失敗のようだ。
何度失敗してもいい。
何度でも君の前に同じ気持ちで現れようと思う。
時間は戻らないが、美佐子が連続しているのであれば僕だって連続する。
美佐子知っているか?
一番小さな単位はひもとか膜みたいな物で、それが振動することでなにもないところから可能性が生まれるんだ。
同時に混在する可能性の中で美佐子がひとつだけを選択し続けてくれるのなら、何回でも君の前に同じ気持ちで現れる。
それまでは、せめて夢の中で、夢の果てで
美佐子に自分の気持ちと、不確かな将来のことを話そうと思う。