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Musica Elaborate  作者: 柊
本編~学園編~
31/59

生徒会と執行部 1




特訓の間の、束の間の休息

カナリア先生から譲り受けたアイスティーに、紫ちゃん特製フルーツゼリー


癒される・・・・・・・・・・・・・・たとえ一緒にいるメンバーが鎌持った人とか新種異形生物作ってる人とか愉快主義最高権力者とか居眠り三昧オンリー紫ちゃんな人とかでも


なんかこう言ってると、朴念仁で空気読めないシェイドが普通に見えるから不思議だわ



ちなみにそのシェイドはとなりでぶっ潰れいる。さっきまでくぅ兄と組手+剣やってたらしいんだけど・・・

ここまで潰れたコイツは初めて見たわ


いや、なぜかいつも以上にやる気満々だったっていうのもあるけど・・・



―― 回想 ――



『紹介が遅くなってごめんなさいね。コレは剣士科7年の久我紅

私と六花ちゃんこれから特別特訓になるから、剣術とか組手は彼とやって』

『・・・・・・・・・半端は嫌いだ。殺す気でやるからそのつもりで来い』


うん、目がマジでしたくぅ兄


髪も目も真紅で、紫ちゃん曰く血の色みたいな容姿だから一部では悪魔といわれているとかなんとか

その上見た目は半端なく美形だしね。ただでさえ鋭い目が細くなったら、私でも一歩退く


・・・・・・なんだけど


くぅ兄に対峙したシェイドは初め驚いた様子で、それから

―――今まで見たことがないくらいキラキラした笑顔で、青春まっさかりスポーツ少年ばりに明朗快活爽やかに


『はい!!!』と頷いたのだ




―― 回想終了 ――



あれは本気でビックリしたわ。頬紅潮させてあんな爽やかスポーツ青年みたく答えるアイツなんて、初めて見たし


ちなみにそのことを話したら、ゆずりは「なんで記録とってきてくれなかったの!」と叫び、灰くんは「爽やかシェイド・・・・気持ち悪」と顔歪めて言い切った


まぁとにかく。なぜだかえらく張り切ってたのはいいんだけど・・・

ちらりと視線を横にやると


「・・・・・・・・・うぐ」


今はもう完全にヘタレてるシェイドが。あぁヘタレのヘタレじゃなくて、机ベッタリ状態の方ね


「シェイドー早く食べないとゼリーぬるくなるわよ」

「・・・・・・・・食べる」


手を伸ばす。あともうちょっとでゼリー

――――ちょっと遠ざけてみる


「おい」


いや、お約束だし?


「お前は灰か!」

「いいじゃない、起きられたんだから」


ぶつくさ呟きながらも、今度こそシェイドは起き上ってゼリーにがっついた

・・・・・・っていってもガツガツした感じがあんまりしないのは、お坊ちゃん育ちだからかな?


これいうと怒るだろうけど


なんて考えていると、ふとシェイドの視線が六花のスプーンに集まっていることに気づく


「なに?」

「お前の、味違うのか?」


言われて見れば、確かに。私のはスグリだけどシェイドのは木苺

見ればそれぞれ違ってる・・・・相変わらず自分の趣味だけは細かいなぁ、紫ちゃん

・・・・・・・はともかく、まだシェイドの目は私のゼリーから離れない


「・・・・・・・・ちょっと食べる?」


言った途端、目が輝いた。以外に食い意地張ってるの、コイツ?

ともあれ、シェイドの方も食べさせてもらうのを交換条件に、器を差し出すと


「一口で良い」


と言って私の手首をつかみ、なにすんのいきなりという間もなく


「ん、うまい」


食いつきました。私のスプーンに、私が現在進行形で使ってるスプーンに!


「なっ!」


驚く私


「・・・・・・・・・」


静かに刀を抜くくぅ兄、って怖い!目が怖いよくぅ兄!


「紅、紅、生徒会室で流血沙汰は困るよ?」


笑いながら言われても説得力皆無だよ紫ちゃーん!


しかし空気の読めない男の凶行(後で話を聞いたゆずり曰く)は止まらない

殺る気満々なくぅ兄に気づいていないのか、わざとなのか――まぁ確実に前者だけど――私の口元にスプーン突き出していうことには


「ん、お前の分だ」


食べろってこと?食べろって言いたいのアンタは!?

しかもそれ今さっきまでアンタ使ってたスプーンじゃないのそれ!?


取り乱して口もきけない私もよそに、そいつはやっと周囲が異常な雰囲気なのに気付いたらしい

一通り見まわして、首をかしげて言ったことには



「何かしましたか、俺?」


あほかあああああぁぁ!

・・・・・・・って叫ばなかった私を、誰か褒めて


っていやそれよりもどうするこの修羅場

桜さんと篁さんはほのぼの見守り態勢だし、紫ちゃんははなから期待何かできないし、シェイドなんて論外だし


・・・・・・なんとかできるの私だけじゃん

でも私には刀構えるくぅ兄を止めるなんて危険な真似、する気ないし


かといってこのまま流血修羅場突入は勘弁してほしいし

などと考えていた私の所へ来たのは幸運の女神







「邪魔するぜぇ生徒会!」


でした。見た目は


短めに切り揃えられた髪は眩い金色で、目は海よりも深い青色

すらりと背が高くてシンプルな白い天使科の制服と編上げブーツがよく似合ってる


どっちかっていうと格好いいお姉さん系美人


「どこに置けばいい?腕痛いからさっさと言ってくれ」


・・・・・・・・・なんだけどその口調、全部台無しですよ。名も知らぬお姉さん



「あはは、駄目だよルー。扉は蹴破るものじゃないんだから」

「そういうなら自分で書類持ちやがれ!つかお前の荷物だろうがこれ!」


おかもち抱えるみたく、お姉さんの両手には書類の束が乗っている

相当の重さだろうに、細腕のその人は平然と構えていた。脱いだら凄いとか?


「え~だって別に僕来る必要ないしー」


その名も知らぬお姉さんの背後からひょこりと顔を出したのは、私もよく知ってる人だった

ぱっとみ可愛らしいオトコノコなその人、スマルトさんは20歳とは思えない無邪気な笑みを浮かべて


「それに、何だかお取り込み中みたいだし?こっちも」

「あ?」


一瞬にしてこっちの状況を的確に表現してくださいました



「別に私は取り込んでいないわよ、スマルト。仕事ならかまわないわ」


ちょっとは取り込んでください紫ちゃん

っていうか仕事やる暇あるならとめてよ・・・!


「ん~紫くんの分もあるんだけどさぁ。紅くん担当の分もあるんだよねぇ

出来ればそのお取り込み、中断してほしいんだけどな~」


へらりと笑うその顔が神様に見えた。そのくらい必死だったのよ

くぅ兄は苛立たしげに舌打ちして、でも今だに全然まったく状況理解してないシェイドの顔を見て


―――――――何かを諦めたように、深いふかーいため息をついた


それが終了の合図だった

この時ばかりはこの超絶朴念仁にも感謝したい



「・・・なんなんだ?」

「あんたは気にしなくてもいいわよ。あとゼリーは自分で取るから」


すっと薄紅のそれを掬って口に含むと、甘酸っぱい味が広がる

あぁ、おいしい・・・


『じゃー後は任せたよルー』

『ざけんな仕事しやがれ昼行燈が』


とかバックで聞こえるけど、気にしない

一気に終息へ向かった事態に安堵しつつ、今度は自分のゼリーに匙を






「会長!あれほど勝手に動かないようにと言っただろう!何をしている!」


突き刺した瞬間、部屋の温度が軽く10度は下がった

しかも三方向から冷気が出てるよ


向かう先は、今現在扉を壊さんばかりの勢いで開いた、剣士科の人

発信源は一つは紫ちゃん、もう一つはシェイド、そして




「・・・・・・・・・今すぐこの場から消え失せろ。目障りだ」


絶対零度の眼差しを向けて、半端ない殺気をかます、くぅ兄


「ふん!授業には顔を出さないくせに、生徒会室には入り浸るのか

良い御身分だな!久我紅副会長!」


なんだかわからないけど、敵対心剥き出しな剣士科の人

隣でぼそりと呟いたシェイドによれば、前に喧嘩ふっかけてきたローシェンナの兄らしい


・・・・・・・・・・・・・・・・・カオスですか












生徒会室がカオス化する、ほんの数分前。廊下にて


「つーか珍しいな。あんたが仕事するなんて」


両の手を書類でいっぱいにし、ヒールを鳴らして歩くのは天使科5年生 ルイス・カメリア・X・(名字は秘密)

生徒会の下に位置する『執行部』の一員だ


スレンダーな体のため、タイトスカートさえはいていなければ、男と間違える者もいるだろう

その瞬間に腰に携えた二丁拳銃が火を噴くだろうが


「というか、僕の場合は会いたい人がいるだけ~」


その二丁拳銃の日常的被害者にして、ルイスことルーの上司・執行部会長のスマルト・G・バーガンディはやる気がみじんも感じられない、間のびした声で返した


それからへらへらとした笑みを浮かべて


「今ならちょーどあの噂の二人組が来てるし」

「どこ情報だよ、それ」

「なに~知りたいの?ルー」


ルイスは答えない。聞いたところで、スマルトは答えないからだ

自分より頭二つは小さい上級生を見下ろし、眉尻を上げた


「つーかなんでもいいけど、ちったぁ荷物持てよ!女にばっか持たせんな!」

「え~だってルーの方が絶対力あるし。適材適所でしょ」


とてもじゃないが、20歳の男には見えない幼い仕草で首を傾けるスマルトに、軽く殺意が湧いた

がしかし、両手がふさがっているためいつものように銃をとることが出来ない


「・・・・・・・・・・これ置いたら、覚えてやがれ」

「僕興味ないことはすぐ忘れるんだよね~」


あはははははは


汚れも模様もない真っ白なコートを揺らし、くるりと遊ぶようにまわる彼の背中へ

ルイスは迷いもなく蹴りを放った







「・・・・にしても珍しいよな。あんたが噂に興味持つなんて」

「だってさーあの紫くんと紅くんの秘蔵っ子だよ?ルーは興味でない?」


蹴られた拍子に打った額をさすりつつ、スマルトは眼を三日月に細めた


「僕は興味津津~

だからーウォルくんが交渉行くって張り切ってた仕事もらってきたの」

「ほーそーかい・・・って」


今なんつったテメェ


「だーかーら、ウォルくんが紫くんに会うためにとっておいた生徒会用の仕事、僕がもらってきたの

彼いなかったし、チャーンスと思って?」


悪びれもせず、どころか罪悪感など微塵も感じていない笑みを浮かべて


「だから帰ってきたら怒るだろうねぇ。ルーも一緒に怒られようね?」


今度こそ、ルイスは書類をかなぐり捨ててホルスターに手を伸ばした

愛用の銃が乱射されるまで、0コンマ3秒ほどであった






かくして不幸にも、学園内で最も行きたくない場所トップ3が一角

―――生徒会と執行部が同時に存在する空間、が出来上がってしまったのであった









とりあえずキャラ出しちまおうぜの章第二段

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