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Musica Elaborate  作者: 柊
本編~学園編~
28/59

最悪の邂逅、その名も友の紹介 1

思えばそれは、必然とか運命とかいうやつだったんだろう

わかってる


そんなことはわかってる。仕方なかった

私がどうあがいたって、避けようがなかったことだ


でも―――――今日この時が来たことを、私はこれからの人生、何度も後悔するだろう



そして一つだけ、無駄と思いつつも言いたい――――

――――神と名のつく野郎はドSか!鬼畜か!



とりあえず会ったら全力でぶっ飛ばすから覚悟しやがれ









それはありふれた出来事でしかなかった

手錠事件以来、それなりに前進した六花とシェイドは、喧嘩はするものの会えば挨拶を交わすなり一緒に昼食をとるくらいの仲にはなっていた


なので この日も


ゆずりやパティと一緒にいた六花が、偶然に灰とリーアンと昼食をとっていたシェイドに会って

狙った様に席が開いていたので昼食に同席した


それだけで終わるはず・・・・・・・・・・・・だった







「六花ー、一応初対面だからそちらのお二人さんに紹介してほしいんだけど」


席に着いた瞬間、キラリと目を光らせたゆずりの視線の先には灰くんと・・・・・この間審判してくれたリーアンくんが

派手さはないけど爽やか系(腹黒)の灰くん、たれ目気味で文句なしに美形のリーアンくんは思えば、いや改めて思わなくてもゆずりの趣味対象ど真ん中だった


・・・・・・・・まぁどうせ、紹介するまでもなく名前(+生年月日他基本個人情報)は知ってるんだろうけどね


「シェイドの超貴重種な友達で、獣人科の灰くんと剣士科のリーアン・フィン・アズーロくん

いつも思うけどコイツと付き合い長いなんて物凄く寛容な神経してるよね。尊敬するわ」

「全然尊敬してる風じゃないけど、とりあえずありがとね。六花嬢

それから俺のことはリーアンでいいよ」

「長く付き合うコツは腹が立つことがあればその場で仕返しすること

それから救いようのないボケをかましたときには鉄拳制裁を「おい!!!」

「あぁ、確かに殴らないと気が済まないよね。シェイドのボケって」


にこやかに言うと、シェイドはどいつもこいつも・・・と呟いて頭を抱えていた

前から思ってはいたけど、最近は輪をかけてヘタレ臭がしてるわコイツ



「で、こっちが「はいはーい!獣士科2年の桃山ゆずりです。ぶっちゃけ美少年美青年大好き何でぜひお近づきになりたいわ。仲良くしてくれたらイイ情報も流しちゃうわよ~」


ゆずり・・・あんた、ぶっちゃけるにもほどがあるわ


「・・・・・・・こっちは私と同じ魔女科のパティ・アッシュグレー」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・パティ、挨拶は?」

「・・・・・・・・・・人付き合いは面倒で嫌い。仲良くする気は微塵もない

だから挨拶は不要」



この二人足して二で割れたらいいのに。切実に



でもまぁ・・・・・


「あはは、流石は白峰さんの友人だね。とっても濃い」

「その言葉、否定はしないけどそっくりそのまま返すよ。灰くん」

「へぇ~どの程度情報網あるの?」

「とりあえず機密事項スレスレくらいまでなら余裕でゲットできるわよ~

なんなら提携しとかない?仲良くなっとけば使えるわよーアタシv」

「・・・・・・・・面倒くさい」


全然、気にしてないみたいだからいいけど

・・・・まぁこのくらい図太くなけりゃぁアイツの友達なんてやれないか


「・・・・・・で、アンタはいつまでその『苦悩』のポーズしてるの?」


スープ冷めるわよ


正面に腰を下ろし、ズズっと日本茶をすする六花に、厳しい視線が飛ぶ



「誰のせいだと思ってる」

「原因は常識外れのアンタのボケだから、巡り巡ってあんたのせい」

「ふざけるな!・・・・・お前、灰に影響されてさらに性格悪くなってるんじゃないか?」

「ちょっと待って。さらにって何よさらにって!私の性格が悪いっていいたいわけ!?」

「悪いだろ。短気だしえげつないし」

「いつ、誰が、えげつないことしたってのよ」

「合同授業の時に、教師やりこめただろうが。あの後あの教師自信なくして禿がひどくなったらしいぞ」


※師は弟子を~ ②参照


目は口ほどに物を言う。最悪だな、という視線を受けて六花の眉尻が跳ね上がった


「あれはあっちの自業自得でしょ!それに、そもそもあんたがわがままお嬢相手に妙なこと言ったのが原因じゃない!」

「俺が何を言った!」

「一回脳みそ洗ってきなさいこの朴念仁!」

「誰が!」

「アンタよ!」


ぶはっ



・・・・・ん?


噴き出した方に視線をやって見れば、若干一名除いた(誰かは察して)全員がこっちを見て笑ってる


しかもあれよ。微笑ましいとかじゃなくてニヤリ

紫ちゃんがよくする、獲物見つけた時みたいなあの笑顔


瞬間


私は直感を信じて立ち上がった。そのまま食器のプレートを持って逃走を・・・






「あ、そうだ。前に頼まれてた本、剣士科の図書館から借りてきたぞ」



いい加減誰かこいつに空気を読む術を教えてやって



一瞬以下の刹那迷って、私はシェイドが差し出した本を受け取るべく、プレートを置いた

置いてしまった


・・・・・・・・こういう時は自分の活字中毒が恨めしい



「へえぇ~いつの間に頼みごとし合う仲になったのよぉ、六花v」


わざとらしすぎる作り声。いや、実際わざとなんだろうけど

視線をやらなくてもニタニタしたゆずりの顔が目に浮かぶ


「コイツ以外に頼める人がいなかったから。たまたまよ、たまたま」


落ちつけ私。事実を淡々と話せばいいのよ、淡々と。遊ぶ隙を与えちゃいけないわ

・・・・・・・・まぁ実際、くぅ兄に頼むのは無理だしね


くぅ兄が図書館に現れた日には槍が降るわ



「たまたま、ねぇ?アンタ借り作るの嫌いなのに?」

「こっちだって宿題教えてるから借りにはならないの」


言って、しまった、と思ったけど時すでに遅し



「宿題?・・・・・・へぇ、それは初耳だな

噂になってないところを見ると、図書館ではやってないよね?」


小賢し・・・いやいや、その聡いところ、今は恨むよ。灰くん


「そうよね~、今注目度ナンバーワンなあんた達二人が一緒にいて噂にならないってこ、と、はv」


にんまり笑ってゆずりが視線をやると、初対面のはずの灰くんが受けて



「どこか人目の少ない所で、二人きりでやってるってことだよね?」


――――やられた


敗北を認めざるを得ない。タチの悪い二人を会わせちゃったわ

舌打ちをこらえて正面を見ると・・・・



いかにも『なんのことだかさっぱり』的な顔をしたシェイドが

・・・・・・・・・・・・・・なんか腹立った。殴っていいかな?



「へぇ、シェイドもやるなぁ。女の子と二人っきり

で、もう手は出したの?」



ぶへっ!


私が反論するより、シェイドが噴き出す方が早かった。というかお茶飛んできたんだけど、汚い



「ちょっと待て!いつからそういう話になっていた!」


さっきからずっとだよ。と多分、シェイド以外の全員が心の中でつっこんだと思う

で、そのみんなが認める朴念仁はリーアンくんを睨みつけて



「っ大体手を出すってどういう」

「具体的にいえば押し倒して男女の仲を深める行為に及んだかって「そういうことを聞いてるんじゃない!」


顔真っ赤にして叫んでも逆効果よー


と、心の中で教えてあげた。今はとてもじゃないけど、コイツに親切にしてやる気が起きない



――完全お遊びモードに入った今は、いかに私よりコイツにネタを振らせるを考えるべきよね



「まぁシェイドに限ってそんな甲斐性ないだろうけどな」


軽く落とす彼は、もしかしなくても腹黒要素入ってるに違いない

いじられヘタレのくせに、そういうのしか友達にいないのねシェイド


―――や、ヘタレだからこそ?



「・・・・・・・・・リーアン」

「ん?どうしたーシェイド、顔が怖いぞ」


計算か、それとも地か


無駄に爽やかに笑いながら茶をすするリーアンくんに、シェイドがキレた



「お前人で遊ぶのもいい加減にしろ!」

「あ、シェイド一応遊ばれてることには気づいてたんだ。進歩はしてるんだね、人並みに」

「お前も一々失礼だな灰!」

「いまさらだろ?」

「いまさらでしょ?」

「~っ!!!!」


15でも20でも30でも、大人びて見えたって、結局子供なのよ。男は

・・・・というのは紫ちゃんの言


今まったくそのとおり、キレたシェイドの攻撃を灰くんは華麗にかわし、リーアンくんは器用にいなしつつ

反対に仕掛けてシェイドがよけたり・・・・と、猫の如くじゃれついている


ちょっとあんた達、一応ここ食堂なんだけど

っていっても、こんなのコイツらに限らず日常茶飯事らしく


上級生や先生は生暖かく見守ったり迷惑そうな顔するだけで、誰も特に気にとめてはいない



「なに思考に浸ってんのよ六花。せっかく目の前で見目はイイ男達がじゃれてんのに」

「私の眼にはヘタレと腹黒と読めない男しか映りません」

「・・・・・・・同感」


いつも通りの返事なんだけど、ゆずりには私たちの発言は気に食わなかったらしく


「あーっもう!だからあんた達には好きな人出来ないのよ。趣味バカコンビ」

「百発百中で玉砕してる奴に言われたくはない」

「告白の時はいつも『顔が好きなんで付き合って下さい!』だもんね」


これは実話だ。情報収集の時は恐ろしいほど演技達者なのに、告白台詞はいっつも



『貴方の見た目、っていうか顔が好みなんで付き合って下さい!』


馬鹿正直にもほどがある。まぁそういうとこは好きだけども



「いいじゃない、ホントのことなんだし」


そりゃまぁ、いつも顔見ただけで告白しに行ってるしね


「なによ~文句あるわけ?」


あるわそりゃ



「普通は話したり、友達づきあいしていくうちに好きになるもんじゃない?」

「甘い」


何が甘いの、何が。もの凄く一般論だと思うんだけど



でもゆずりルールではそうじゃないらしく


「感じたら即行動!思ったら即発言!恋しちゃったら即特攻!

これがアタシの三大行動原理よ!様子見なんてして手遅れになったらどうするの!

逃がした魚はでかかった、なんて後悔したくないの!


だからキュピンと感じてイイと思って付き合いたくなったら即告白してるだけ!」


「そこまで開き直られると、逆に清々しいわ」

「・・・・・・・理解不能」



なんて、のんきにゆずりの恋愛談議してたのがいけなかった


後方不注意



「あ」


と思った時には天井が見えた


―――――もっと正確にいえば、海の色に似た碧の目と、茶の髪と、天井が


・・・・・・・・・・頭痛い、コブ出来たかなー



なんて、現実逃避したって現実は変わらない




一瞬の沈黙







「さ、さっさとどきなさいよこのバカアァァァァ!!!!」


「な、ななななななんでそんなところにいるんだ!お前は!」



そして六花と、六花の上に馬乗りになっているシェイドを上回るほどの、絶叫




「あらま」

「アハハ、公衆の面前で、なんて大胆だね。シェイド」

「・・・・・・・・・殺す」


「甲斐性なしって言われて腹立ったのはわかるけどな、もうちょっとムードある場所の方がいいぞ?」



呑気にほざく友人達に文句言ってやろうと、固まってるシェイドに手をかけた瞬間




「白峰六花―――!!!わ、私の前でシェイド様を襲うなんて!いったいどういうつもりですの!!!!」


「私が下にいるこの状況でなおそれをいうか!」





伯爵令嬢乱入


のち、食堂大混乱








え?そんなのいつものことだって?


まぁ、これで終わればよかったわね。これで終われば――――





不幸の女神とやらは、このくらいのトラブルじゃ満足しなかった


ふざけんな!







こっからキャラが増量します。

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