第一四章 確かな思い出
目が覚めると、そこは天井だった。柔らかい色合いで、電気が灯っている。近くからはピーと、電子音が鳴り響いている。周りに何人か人がいる。
窓から見える空模様は、まさしく快晴。よい天気だ。
しかし、空は最後に夢の世界で見た夕日景色。遠くではカラスと思われる声も、聞こえなくもない。
ようやくしっかり耳も目も使えるようになってきた。
「……ここは、病院か…?」
「…おい、永之助…?オレがわかるか…?」
「…おう、輝政。やっと起きれたぜ。」
どうやらオレは無事に帰ってきたらしい。
俺の意識がはっきりしていることを確認すると、みんな喜んではしゃいだ。…ちょっとうるさい。
「はいはい、はしゃがない。ここは病院なんだから。」
先生に怒られてやんのコイツら。
「永之助くん、特に不自由はない?」
「はい。体も難なく動かせそうです。」
「よかった。念のため、あと一日は入院してもらうわ。ほら、みんな、今日はもう遅いから帰りなさい。」
「ちょっと待ってくださいよ先生。まだ話足りないですよ!」
「明日になったらいくらでも話せるから。ほら、帰った帰った!」
四人が帰され、少し静かになった。オレはベッドから立ち上がり、窓の風景を眺めてみた。たぶん、まだ新潟なんだろう。周りには雪だらけだ。
「退院したら、まずはアイツらと雪合戦だな。」
やりたいことが次から次へと浮かんでくるが、やっぱり気になるのは、あの夢での出来事だ。
あそこは本当に夢だったわけだが、今だによくわからない箇所はたくさんある。
あの世界の正体から、そこでの出来事すべてが、理屈では説明できない。"夢"といってしまえばすべてその通りではあるのだが…。
「でもなあ…。なんか違うよな。それは。」
あの世界での旅を経験して、俺の価値観も何か変わった気がする。不思議な話だが…。
…いや、若造のオレが考えても無駄だな。少なくとももう七十年は向こうに行かないと決めてるんだ。
あの体験を理屈で説明するのは、あっちに行ったあとでいい。
そう考えると、とても身軽になった気がする。
翌日、オレは退院した。コレは、帰りの新幹線での出来事である。
「んんんん…、んんんん…!!コレだ!ドゥアー!負けたぁー!」
「危ねえ。負けるとこだったな。」
「けっこう接戦でしたね。こんな白熱したババ抜きもなかなかないですよ。」
「クソー!もう一回だ永之助!!」
「もー!二人だけでやりすぎだよ!私たちも混ぜて!」
「じゃあみんなでやろうか。ほら、栄人シャッフルしてくれよ。お前が一番うまいだろ?」
「なんだよ。オレにやらせるだけじゃなくてちったあ練習しろよ。」
「練習してできるようになってたらお前に頼んでねえよ。」
「そりゃそうだ。」
オレたちは、帰りの新幹線のなかで見ての通りババ抜きをしている。ま、もちろんオレが無双しているわけだが。今回、輝政と三回は戦ったのだが、全部オレが勝った。
ーーまもなく、終点、東京です。ーー
「お、もうすぐか。みんな、乗り換えするぞ。ババ抜きはあとだ。」
「クソー。」
「いいよいいよ。どーせ永之助の圧勝に終わるんだから。」
「…そういう事言うなよ…。」
新幹線は減速し、東京駅のホームに入る。向かい側には東海道新幹線が停まっていた。
あっちに乗り換える。
「あれ、帰りのきっぷ、どこやった…?」
「えー?ちょっとやめてよ栄人!」
「いや、さっきまではあったんだよ!」
「…なくしたんですか…?」
「いや、なくしてない!見つからないだけだ!」
「それを世間一般ではなくした、と言うんだ。」
相変わらず、オレの友人たちは騒がしい。が、そのうるささを感じれることが、今はたまらなく嬉しいのだ。
初めての後書きです。何を書けばいいかわからないからとりあえず適当に書きます。
日本と四季をテーマとした異世界物語はいかがでしたか?できる限り現代日本の原風景を想像して書いたのですが、正直伝わっているのか不安です。
あと、ぶつ切りエンドに見えるかもしれませんが、コレが元から考案していたストーリーです。安心してください。
では、今回はこのあたりで。今作が冬ということは、どういうことか分かりますよね。




