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ある勇者の出来事


「無能力の人間が! この街の面汚し!」

あぁー今日これで何回目だろうか、食べ物が勿体じゃないか

投げられ、地面にぐしゃぐしゃになっている果物を、広い集める

その様子を投げた本人は楽しそうに眺めていた

 別にこの街の人間でもないし・・・

「やーい!やーい! この街のクズにはゴミがお似合いなんだよ!」

子供の戯言だ、大丈夫、蹴られても何も抵抗するな

それが1番早くこの地獄を終えられる、自分にいい聞かせて時が過ぎるのをただ待った

 少し経ったら、納得してようで立ち去って行った

 「・・・はぁー・・・」

 服に付いた汚れを払ってぐちゃぐちゃになった、果物を袋に詰める

 少し腐っているが食べれらない事もないだろ・・・

 

 「お前さん、また街の者に蹴り飛ばされたのか」

 家に帰るとしわしわの木の枝みたいなじじぃが椅子に腰かけている

 「うるせぇ、殴られても食べ物が手に入るんだったら安いもんなんだよ

 ほら、じじぃこれ、果物食べるか?」

 「はは、わしは食べ物なんぞ、食べなくてもいいんじゃよ、ほぼ、亡霊みたいなもんじゃ

 若いお前さんが食べなさい」

  チッ、木の枝みたいに細い手足してんのに・・・

 じじぃは、俺が持ってきた食事は一切手を付けない、その分俺に食事をよこす

 俺の家は街の外れの森の中に住んでいる、魔物が来るとかで街の人間は近づくものは居ない

 その方が、俺も都合がいいから別にいいけどさ

  そんな森から降りてくる俺は街の者は嫌っている、汚い見た目にツギハギだらけ服街の人間が、魔物にでも見えるのだろう

 特に俺が抵抗もしない事がわかると殴る蹴ると好き放題してくる、街の人々の鬱憤を晴らすのにちょうどいい存在だったんだろう

 「・・・チッ・・・じじぃ、そこに置いておくからな」

 「・・・いいって言っておるのにありがとうな」

 じじぃの座っている椅子の近くにあるテーブルに潰れている果物を置いておく

 ジャリって、微かに鎖の擦れる音がした

 窓には、少し霜が付いてる、今日はよく冷える雪でも降りそうだ

 折角、雪が解けて歩きやすくなったのに・・・まだ、春には少し遠いし、冬を越せる分おの薪が足りないか、納屋に取りに行かないと・・・

 「じじぃ、薪持ってくるからそこで大人しくしていろよ」

 「・・・お前さんはもう少し優しい言葉を使った方がええぞ、女の子にモテないぞ」

 「・・・うるせ、じゃあ、行ってくる」

 俺には両親は居ない、死んでいるのか逃げたのかどこに居るのか何も知らない、気が付いたらじじぃと一緒に暮らしていた

 じじぃは、俺の事は何も教えてくれない、そのため俺は俺の事を何も知らない

 それでも生きるのには困らない・・・から、特に気にしたことはない

 「・・・薪・・・少ないな、明日また街に降りないと・・・」

 両手いっぱいに薪をかかえて家に戻る

 じじぃは暖炉の前でウトウトしている、最近起きている時間よりも寝ている時間の方が増えたな

 いい歳なんだし、仕方ないのか・・・じじぃが寒くないようにボロ布をかぶせる

 今日も街に降りたし、明日も街に降りないといけないし、俺ももう寝た方がいいな・・・

 布団なんてものもないから、暖炉の側で丸くなって寝る・・・蹴られた場所がまだ痛むが明日になればよくなっているだろう


 

 ー朝ー

 暖炉の火が消えた寒さで起きた、じじぃが冷える前に急いで暖炉に火をつけて部屋を暖める

 じじぃが起きる前に早く街へ行くか、また街に行くって言ったら喧嘩はするなとか言われるだろうし

 

 「さむっ」

 外は真っ暗だし、日も出ていないから昼間に比べて大分気温が下がっている

 「さすがに、このボロ服だけだと寒いな・・・マフラーは・・・

 金がないから買えない・・・か・・・」

 手をすり合わせて真っ白い息を吐きながら森を降りていく、冬の森は気を付けないと

 冬眠している魔物に出くわしたら、俺が魔物のエサになってしまう

 魔物のお腹の中は温かいのかな・・・いや、じじぃを残して俺が死ぬわけにいかないか・・・

  雪が裸足の足染みる、靴・・・ゴミの中にあったら、あとで探しておくか

 あと、着るもの少し探しておかないといけないな・・・

 そんな事を考えていると、日が昇ってきて少し暖かくなってきた、足を蝕む冷たい雪はジュっと音がして解けはじめてきた

 街に着く頃には完全に日が昇って街には賑わっていた

 街にも、雪が積もっているが森程多くはないし、道がしっかりしているからずっと歩きやすい

 今日は薪を買わないといけないから、この森で摘んだ薬草がどこまで売れるか・・・

 じじぃが寒い思いしない分用意できるといいんだけど

 「じいさん、これいくらになるかな?」

 この街で唯一、俺の話をまともに聞いてくれる店に辿り着いた

 「・・・チッ」

 あぁー今日は、ハズレだ、息子の方か、これなら薪たくさん買える分は売れないな

 「・・・これ」

 「いつもの薬草か、なら100でどうだ?」

 「じぃさんなら、もう少し高値で買ってくれたぞ」

 「不満があるなら、他所に行け、俺はこの値段以上は出せないぞ」

 「・・・チッ、じゃあ、頼む・・・」

 「ほらよ」

 テーブルの上に乱雑に投げられる硬貨を拾い集める

 ここで、意地張って薪が買えねー方が問題だ、とりあえず数日は過ごせるほどの薪は手に入るしそれでいいか

 また、薬草も探しに行けばいい・・・

 この店は、薬屋みたいでじじぃは、俺がとってくる薬草の状態がいいとかでよく高値で買い取ってくれていたんだが、息子は俺がここでしか買い取りしてもらえないのをわかっているから足元見てじいさんの払ってくれた額の半分以下・・・それでも、この街で俺はここでしか取引できないから仕方ない

 最近店で、じいさん見る事減ったな・・・じいさんも、もう長くないのかもしれないな

 「・・・ってか、今日人多いな、なんかの祭りか?」

 いつもよりも、街が賑わっているような気がする

 俺の気のせいってわけじゃないと思うんだけど・・・特に俺と同じくらいの子供が多い気がする

 それに珍しいくらいに音楽があちこち流れている・・・うるさいな・・・

 周りを見渡しながら歩いていると・・・ドン!っと弾き飛ばされた

 溜息を付きながら、立ち上がろうとすると手を差し出された

 「・・・何?新手の嫌がらせ?」

 「? 嫌がらせ? 何のことだい? ごめんね、僕、大丈夫?ケガとかしていない?」

 見慣れないカラフルな布を着ている・・・こんなやつ、この街では見たことないな

 それに、長い黒い髪なんてこの辺では見かける事はないし・・・

  いや、この街の人間じゃないのか、だからこんな俺に声かけるのか

 ありがと、っと言って差し出された手を取る

 「・・・観光ですか?」

 「んー、仕事で来てるんだけどまだ、時間じゃないから少し街を見て歩いてたんだー

 まぁ、観光みたいなもんか」

 あっけらかんとした態度で話をしている人は、仕事しているってことは20くらいか?

 いや、見た目はもっと若く見えるなー、剣とか持っていないし商人って所か

 それなら納得がいくな、そんな奇抜な服であるいてたら嫌でも目立つし商人にはうってつけか

 人の好さそうな顔しているし、甘い感じの顔付きが女受けがよさそうだ

 「君はこれから教会に行かなくていいのかい?」

 「あぁー、お祈りかなんかですか、行かないです 僕は別に神とか信じてないで」 

 それではと、告げて別れようとした時腕を掴まれた

 「待って待って!! 僕の見間違いだったら本当に申し訳ないんだけどさ、君6歳くらいに見えるんだけど、違うかな?」 

 「・・・正確な、日付までは知りませんが、大体それくらいで合っています」

 少しぶっきらぼうに答えると、男が嬉しそうに喜んでだよね! だよね!っと言葉をつなげる

 「なら! 今日はとっても大事な日じゃんってか、君はもう教会行かないといけない時間じゃない?

 場所わかる? わかんないなら、僕と一緒に行こうよ」

 「・・・いや、だから俺神様とか信じてないって・・・」

 「いいから!! 信じると関係なく、今日ですべてが変わる日になるかもしれないんだよ!

  まず行くよ!」

 手を思いっ切り引っ張って俺の言葉なんて聞いても居ない様子で男はどこかに向かっていく

 いや、多分教会って所なんだろうけど・・・俺なんて行ったら街の人どんな顔するんだろう

 はぁ・・・罵詈雑言は慣れてるけど、この人まで巻き込まれるのはさすがに・・・

 でも、この人力強すぎて振りほどけない、どうしよう、隙を見て逃げるしかないか

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