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勝者なき勝利
戦争が終わった。
十八日間の地獄を越えて、すべてが静かになった。
王座は、ゆうぢのものになった。
おれたちの兄弟の中で、いちばん穏やかで、いちばん深く考える男。
でも――あいつ、ぜんぜんうれしそうじゃなかった。
「こんな勝利に、意味があるのか?」
そう、ぽつりとつぶやいた。
かるなの真実を知っていた。
どらうぱでぃの涙を、忘れていなかった。
戦いの果てに残ったのは、王冠じゃなくて、重すぎる責任だった。
あいつは、王としての重さに押しつぶされそうだった。
勝ったはずなのに、心は沈んでいた。
そして――
くりしゅなも、静かに去っていった。
何も言わず、ただ、時の流れに身をまかせるように。
時代が、終わったんだ。
剣も、怒りも、誓いも、すべてが風に溶けていった。
残ったのは、静けさだけだった。
……勝者はいた。
でも、勝利はなかった。