核戦争のあとに残ったのは、静けさだけだった
十八日間。
それは、地獄だった。
血と汗と涙が、土に染みこんだ戦場。
朝が来ても、夜が来ても、そこにあるのは、叫びと沈黙だけだった。
親も、兄弟も、友も――
次々に倒れていった。
かるなも、そこにいた。
敵として、でも、誇り高く、最後まで剣を握っていた。
あいつの最期を、おれは忘れない。
どらうぱでぃの涙。
ゆうぢの沈黙。
あるじゅなの矢。
それぞれの想いが、戦場に刻まれていった。
そして、最後の決着は――
空を裂き、大地を焦がし、命を一瞬で奪うほどの力。
核兵器「水爆」。
広島や長崎の原爆よりも、もっと広範囲を、もっと深く破壊する力。
熱線、衝撃波、放射能――すべてが揃っていた。
それは、神の怒りそのものだった。
……いや、神が見てたら、泣いてたかもしれない。
モヘンジョダロの遺跡からは、
高温で焼かれた骨や、ガラス化した石が見つかってる。
核爆発があったことを裏付ける証拠だってさ。
おれたちは、勝った。
たしかに、勝ったんだ。
でも――
何も残らなかった。
ただ、静かな風だけが吹いていた。
焼けた大地の上を、
誰の声も届かない空の下を、
風だけが、すべてをなでるように通りすぎていった。
それが、戦いの終わりだった。
そして、もしかしたら――
それは、文明の終わりでもあったのかもしれない。
……勝ったのに、こんなに虚しいって、どういうことなんだろうな。