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まはーばーらた  作者: ゔぃやーさ
5/8

戦いたくないって言ったやつが、いちばん強かった

いよいよ、戦争がはじまる――

そんなときだった。


あるじゅなが、ぽつりと言ったんだ。


「戦いたくない」って。


……正直、おれはちょっと驚いた。

あいつ、弓の名手で、冷静で、いつも一歩引いたところから物事を見てるやつだったから。


でも、その言葉には、迷いがにじんでた。


相手は、親戚だった。

先生だった。

昔の友達だった。


そんな人たちに、矢を向けるなんて、できない――

そう言ったあるじゅなの目は、どこか遠くを見てた。


その気持ち、わかるよ。

おれたちだって、心のどこかで同じことを思ってた。


でも、くりしゅなが、静かに言ったんだ。


「これは、おまえの義務だ。逃げるな」って。

「戦うことは、ただの破壊じゃない。

それは、秩序を守るための行いなんだ」って。


その言葉が、あるじゅなの心を動かした。


迷いの中にいたあいつの目に、光が戻った。

まるで、夜明け前の星みたいに。


そして、おれたちは、戦場に立った。


それぞれの想いを胸に、

それぞれの正義を背負って――


もう、引き返すことはできなかった。


……でも、あのとき「戦いたくない」って言ったあるじゅなが、

いちばん遠くを見てた気がするんだよな。

おれたちが見ないふりしてたものを、ちゃんと見てた。


だからこそ、あいつの矢は、誰よりもまっすぐだった。

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