追放されたけど、まだ終わってなかった
森での誓いと、修行の日々。
……って言えば聞こえはいいけど、実際はただの追放生活だった。
しかも、十二年。ながい。
最初のころなんて、もうほんとに必死だった。
食べもの探して、雨風しのいで、寝る場所見つけて――
まるで、野に放たれた獣。
いや、獣のほうがまだマシだったかもしれない。
でも、時がたつにつれて、少しずつ変わっていった。
おれたちは、鍛えた。
心も、体も、剣もうでまえも。
弓を引く手はぶれなくなって、
剣を握る腕には、もう迷いなんてなかった。
神さまたちにも出会った。
試練を受けて、武器を授かって、力を蓄えていった。
……なんか、こう書くとRPGっぽいな。
でも、ほんとにそうだったんだ。
ただの追放じゃなかった。
それは、戦いに向けた準備の時間だった。
そして、最後の一年。
おれたちは身分を隠して、世の中にまぎれた。
誰にも気づかれないように、静かに、じっと息をひそめてた。
でもな、心の中では、ずっと燃えてたんだ。
あのときのくつじょく。
どらうぱでぃの涙。
ゆうぢの、あの沈黙。
誰ひとり、忘れてなんかいなかった。
胸の奥で、ずっと握りしめてた。
「帰ったら、戦争だ」
そう思ってた。
おれも、あいつらも、みんな、同じ気持ちだった。
……でも、できれば戦わずにすむ未来も、
ちょっとだけ、夢見てたんだよな。
ほんの、ちょっとだけ。