消えた王都 ④
彼らが探していたのは、洪水期でも水が上がってこないピラミッド周辺の砂漠地帯。
いうまでもなく、そこはナイル河西岸。
以前やった、「ナイルの西岸は死者の町、東岸は生者の町」に反し、東岸は見向きもされないが、もちろん東岸を探せと言いたいのではない。
西岸は西岸でも砂漠地帯を探しているのが問題なのだと言っているのだ。
もちろんこれは彼らなりの根拠はある。
第12王朝四代目の王センウセレト2世のピラミッドがあるラフーン近郊に大規模な都市遺構が発見された。
カフーンと呼ばれている場所である。
だが、どれだけ掘り返しても結局何も出てこない。
そして、今も「イチ・タウイ」の場所はわからずじまいなのだが、提案する。
探す場所は、砂漠地帯ではなく、洪水期には水に浸かる現在の耕作地帯、その下であると。
古王国時代だけではなく新王国時代になってもその都市は水辺に隣接していた。
乾燥した台地ではなく。
そして、ピラミッドが聳える乾燥した台地とナイル河の間には古代の都市が存在する要素を満たす場所があった。
そこにこそ謎の王都「イチ・タウイ」はある。
せっかくだ。
もう少し範囲を狭めよう。
ナイル河西岸の現在の耕作地帯。
南北の位置は、北はアメンエムハト1世のピラミッド、南はセンウセレト1世のピラミッド。
私が生きているうちに「イチ・タウイ」の全貌が明らかになるとは思わないが、せめて都市の痕跡だけでも発見されることを望む。