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めしエッセイまとめ

決してインスタ映えしない小さな喫茶店のお話

作者: よもぎ

昔、まだ四国の上半分の二つのどっちかに住んでいたころのお話です。

以前にもセルフうどん屋で言ったように、私は友人一家の紹介や自分の感性が促すままに個人経営のお店に飲み食いしにいっていました。


今回は、その中でも異色かもしれないとある喫茶店について語ってみようと思います。




と言っても、その店に行っていた年代では私はまだコーヒーについてそこまで拘りもなく、どちらかというと食べ物目当てで通っていました。

一階は麺類やどんぶりものの食堂が入っていて、その二階部分が喫茶店となっていました。

そう広くもないお店で、シート席が三つ四つのみのちんまりした店です。

今思えばあの店が混雑していた記憶がないので、もしかすると趣味でやっていたお店かもしれません。


内装としては家庭風の喫茶店です。

温かみはあるけど、オシャレかと言われると「違うなあ」と答える他ありません。

少なくとも今時の若い学生さんなんかは逆に落ち着かないんじゃないかな。

個人経営ならではの空気感というか、一定の時代から動いていない感がありました。



この店はサンドイッチではなくホットサンドを扱っていて、それをちょっと休憩ついでにつまむのが好きでした。

具はハムとチーズで、ハムの塩気は薄いもののチーズで十分補われていました。

海沿いにある店舗なので、ぼけーっと海を見ながらアツアツのホットサンドをかじり、店内に流れるUSENを聞くともなく聞いて過ごしました。

大体このお店に来るときはそこそこ疲れた状態で来ることが多かったので、厚かましくもコーヒーと食べ物一つで三十分は居座っていたように記憶しています。



で、私が特に好きだったのは「ピラフ」です。

少し厚いベーコンとみじん切りの玉ねぎと人参くらいしか具のないピラフは、今でも忘れられない美味です。

冷凍のピラフとは勿論違いますし、その後食べたどのピラフよりも程好い塩加減と味付けの濃さで、量とて少なすぎず多すぎず。ちょうど小腹が満たされて満足できるだけの量でした。


注文すると、先にコーヒーがやってきて、あちゅい…とゆっくりコーヒーをシバいている間にキッチンから調理している音が聞こえ、いい匂いがしてきます。

私としては調理の音も匂いも料理の価値に貢献すると思っています。

少なくともあの店で頼むピラフは、登場前から「おいしい」料理でした。




そのお店はもうありません。

一階の飯屋ともども廃業し、私が故郷をおん出る頃には建物ごとなくなっていました。


しかし私の記憶には、一階二階どちらも残っています。

一階の飯屋の話はまたいずれ。

ス〇バとかド〇ールとかにはない独特の雰囲気が個人の喫茶店にはあると思ってる。特に店主がご年配の人の店ほど「イイ」。

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