今日も来てくれたあなたへ
あなたが私を見ている。
向かい合う私は、少し緊張している。
覚悟を決めた私は、大きく深呼吸し、あなたの目を見る。
「今日も来てくれてありがとう。凄く嬉しい。えっと…じゃあ何を話そかな…かるがもを助けた話?それとも中学生に注意した話?…あ、石鹸作りの話をしようか?それ?それが聞きたい?」
私の拙い言葉選びで申し訳ないと思いつつ、一生懸命石鹸の作り方や、石鹸作りに対して思っている事を伝える。
何も言わないあなた。
私はあなたの気持ちを知りたくて、瞳を覗き込む。
「面白かった?」
あなたは何も言わないけれど、もう一つ話を聞いてくれると目で伝えてくれた。
私は嬉しくなって、最近作ったお菓子の話を写真を見せながら説明する。
私の話を聞き終わったあなたが、スッと私から離れて行く。
ああ…もう行ってしまうんだね…
私は知っている。あなたが旅の途中だと。
最強な勇者の旅を見守っている途中なんだよね。
今まで力を隠していて、仲間に馬鹿にされていたけれど、実は最強だった人。
その人を見守りながら、一緒に旅をしているんだよね。
「ねえ、物語に出てくるような馬鹿な王子なんている訳ないと思わない?」私がそう熱く語ったあの日、あなたが王城の舞踏会に出席して、婚約破棄の場面に遭遇した事も知っている。
優しいあなたはお嬢様が心配で、婚約破棄されるとわかっていてギャラリーに紛れる事にしたのよね。
婚約破棄され国外追放されたお嬢様が王子に仕返しするまでを、まるで自分の事のようにハラハラしながら見守っている事も、ハーレムでスローライフをしている人にちょっとジェラシーを感じながらも、その人の暮らしの報告を楽しみにしている事も、私は知っている。
頭に冠を乗せている凄い人達。
その人達の応援の途中に私を思い出してくれた事がどれだけ嬉しいか、あなたは知らないと思うけど。
ずいぶん前のお話しを今も聞いてくれるあなた。
深夜、私が寝ている時にも私のところに来てくれる、靴屋の妖精のようなあなた。(もしくは時計屋)
ふと思い出し過去作を見に行くと、毎日どこかの時間にPVがついていたりして「えっ?! あっ…喜んではいけない。メンテナンスでもPVってつくのかもしれない」と思っているのですが…もし、覗きに来てくれている人がいるなら…なんて幸せなんだろう…と。
さらりと誤字を教えてくれた時。
お礼を言う間もなく、あなたはドラゴンと戦う魔法使いを応援しに行ってしまったけれど、今もとても感謝しています。
私を見に来てくれて本当にありがとうございます。
拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございました。