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祓師  作者: zhen
1/1

名も無き怪異1



「先生ー、先生ー、もう朝ですよ」


いつものように俺は大声で二階に呼びかける。

ドタンっ

一回まで響く衝撃音…これもいつもの朝の音。また先生が寝ぼけてベットから落ちたのだろう…

気怠そうにペタペタと足音を立てながら先生が降りてくる。


「おはゃー」

ボサボサの白い髪をかき分け、あくびをして、もはや言う気もないおはようを俺に投げかける。これもいつもの光景だ。


「先生…また…なんでいっつも下着のまま来るんですか…」

呆れながら俺は先生に服を投げつける。この人には羞恥心という概念が無いのだろうか…いや、俺が舐められてるのか?

「硬い事言うなよ少年。それとも私でこう…」



チっ…


言葉を遮るように俺は舌打ちをする


本当にこの人はデリカシーが無い!

確かに先生は側から見れば顔立ちも整ってるし、高身長でスタイルだって良い女性だ…色白で華奢で…世の中から見れば美人と呼ばれる存在なんだろう。


だが…


このズボラな性格、寝起きの悪さ、そしてデリカシーが無い発言…


姉貴がいる人ならわかってくれるはずだ…コレを女性だと俺の頭が認識しないのだ




「お、今日はパンか?私、朝は米派なんだよねー、納豆食べたい」


そんな先生の言葉をガン無視して俺はパンを口に運ぶ。


「早く食って準備してくださいね!今日は遠出になるんですから」


先生を急かすように朝飯を食べ、俺は今日の仕事の準備をはじめる。


ここまでがほぼ毎日繰り返される俺の日々…いつもと違うのは今日は朝から先生が同伴してることだ




「さて、行くか!」


準備を終えた先生が俺に声をかける。

顔を全て覆う黒いマスク…目にはサングラスをかけ黒い帽子を被る。服さえ上下真っ黒。先生の昼間用の不審者スタイル。まぁ、俺にはこれも慣れた光景である。



「今日は日差し強そうですけど大丈夫ですか?無理せず俺だけでも下見くらいは出来ますよ?」


俺は優しい人間だ。こんな日は必ず先生を心配する。一応。


「超絶余裕!私が歩けば太陽すら道を開けるわ!」


片手でピースサインを作り誇らしげに俺に向けながら先生はおどけて見せる。

本当…子供かよ、この人は…

自分の身体の事理解してるのか?



アルビノ(白子症)

先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質


先生が先天的に抱えている体質だ。

白く透き通るような髪。透明感のある白い肌。そして神秘的な色合いに輝く目。

加えて整った容姿は神々しさすら感じ、まるで人間離れしているように見える。


しかしその代償として太陽にひたすら弱い。メラニン色素が作れないということは普通の人の日焼けが先生には火傷に匹敵してしまう。

だからいつも昼間の外出では先生は黒尽くめな格好をしている。俺はそれを不審者スタイルって呼んでる訳だが…



車に乗り込み、先生と軽い打ち合わせをする


「今日は何処だっけ?」


「はい。Y県のN村です。30年振りにまた現象が始まったという依頼で…」


「あー、先代の案件かぁ…まぁウチも代替わりしたし…あの野郎…とりあえず一発脅しておかないとな…じゃあ着いたら起こしてくれ。私はもうちょっと寝る」


そう言って先生はシートを後ろにめいいっぱい倒し、白いシーツを頭から被り寝息を立て始めた。全く…本当に自由人だ…どちらにせよ先生の出番は夜だ。今は存分に寝ててもらおう。


俺はカーラジオのボリュームを少し小さくして、N村へと車を走らせていく。

先生は…

きっともう夢の中だろうなと思いながら…












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