1章:出会い
12/20 AM.11:20... ―Side H
俺はいつものように学校をサボる。
母親には見捨てられたのか知らないが、何も言われなくなった。
別に不良でも引きこもりでもない。
ただ、学校に行くというのがつまらないだけ。
何が悲しくて、あんな集団生活を強いられなければならないのだろう?
ただ、俺は何を思っているのか、制服を着ていた。
別に未練もクソもない、後悔だってしてないはずだ。
ただきっと、なんとなく着ているだけだ。
そう言い聞かせて、いつものように土手に行き、空を眺める。
「あー、つまんね・・・」
「お、学生さん、こんな時間に何してるんだい?」
不意に声をかけられ、びくっとしてしまう。
澄んだ楽器のような声の持ち主が後ろに立っていた。
華奢な体、黒い長い髪の女性、そして一番目立つのが、パジャマを着ていることだった。
一応上からカーディガンを羽織っているが目立つものは目立つ。
「キミ、高校生だよね?だめだよー、青春を謳歌しなきゃ」
「何アンタ・・・命令すんな」
彼女を睨み付けるが、彼女はニヤニヤしながら近寄ってきた。
「おー、怖い、可愛い顔が台無しだぞ」
そう言いながら俺の頬をぺちぺちと叩き始めた。
(なんなんだこの人・・・)と調子が狂い脱力したまま言う
「・・・もーいいです・・・」
「おや?どうした、少年、どこいくの?」
「帰ります、ついてこんでください・・・」
ふらふらと俺はその場を去った。
―ぱさっ...
何かを落としたような気がしなくもないが、早くこの場を去りたいが為気にする事も無く、俺は歩き続けた。
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AM.11:35... ―Side M
「んんー、からかいすぎたかね」
去っていく彼の背中を見つめながら、引き続き散歩をしようと歩き出した時・・・
「あぁ、もう、七尾さん!こんなところにいたんですか・・・」
看護士が走り寄ってきた。
(あぁ、もう見つかった)
私に、外をゆっくり歩く事は許されないのだろうか・・・。
「天気がいいから、つい、ね」
「もう気をつけてくださいね、検温の時間ですよ、病院に戻りましょう」
「はいはーい・・・あら?」
彼の去った後に小さな手帳が落ちていた。
拾ってみると生徒手帳だった。
「んー、失礼して・・・っと」
中を見ると先ほど会話をした少年の物だった。
几帳面に住所やら生年月日やら記入されていた。
もちろん、名前だった書いてある。
「ふむふむ・・・これは悠って読むのかな・・・」
彼に興味を示した私の心。
明日、主治医に相談して外出許可を貰おう。
そして届けに行こう。
心の中で呟き、私は看護士の後を追った。
あんまり長い文打ってると誤字脱字があるので発見したら教えてください・・・(;´Д`)
次あたりにキャラの名前出るといいなー程度です・・・。