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18才のファンタジェンヌ  作者: はねとら
第五話 『港町ルドルフ』からいざ新大陸へ
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奪われた荒神の剣


「おっちゃん、ありがとねーー」

「二度と来るんじゃねーぞー!」


 別れを惜しみながらヒラヒラ手をふるルナに対して、泣きながら絶叫するマジックショップのおっちゃん。

 そう、わたしたちは掘り出し物のマジックグッズを破格の値段で購入できてしまったのだ。

 ルナの話術。恐るべし!

 これからは値切りのルナと呼ぼう。


「さて、次はどうしようか、修道着も飽きちゃったから服を買いに行く?」

 シレっというルナに、

「ちょっと、シスターなんだから修道着を脱いじゃダメでしょ」

「なんで?」

「……え? いや、シスターだからでしょ」

「みさは真面目だな~。

 ずっとこれ(修道着)を着てるわけ無いって。

 外に出たら私服に着替える子多いんだから、この姿だと目立つしね」

 ルナが視線を移す。そちらに目をやると、ご年配の夫婦がわたし達にお辞儀をしていた。

 わたしとルナもお辞儀を返す。

「この格好だと、ずっと監視されているみたいで息苦しいのよ」

 それも、そうか。実際に修道服を着ていると、人の目を引く。

 シスターは聖樹シスカに祈りを捧げる、いわば聖女。

 民衆の祈りをシスターが変わって聖樹に伝える代弁者と言われている。

 だから、シスターには感謝している人が多いのだ。

 便利な事も多いし、普通の服より防御力は高いんだけど、チラチラ視線を感じたり突然感謝されたりもするし、着替えた方が気楽ではある。

「洋服を買いに行こうか」

 わたしの言葉を聞いて、ルナはニカッと笑った。



これからは戦いがつきものになる。

そうなると、少しでも防御力が高い方が良いだろうと、ちょっと割高にはなるが『若者向けのマジックショップ』に行ってみることにした。

 店の前まで来てみると、カラフルで可愛い原宿なんかにお店を出していそうな外観。売っている品物もどれも可愛い物ばかり。

 さっきのマジックショップとは似ても似つかない、別物だった。

 お店のある場所が、街のメインストリート沿いなのもあるだろうが、それにしても若い女性のお客さんが多い。

 現世でいうとキャラクターグッズのお店のような雰囲気だ。

「なにもかもが可愛い」

 思わず漏れるわたしの言葉に、

「この手のマジックショップ初めて?

 この街に来たら若いシスターは必ず来るのよ。

 ここの商品は可愛いのはもちろんだけど便利だし、さっきのお店と違ってコスパもばっちり。

一階は雑貨とかアクセサリー、服や防具は二階よ」

 ルナの後をついていき階段を上がると、ほとんどが女性向けの洋服がたくさん飾られていた。

「ここにあるのは全部が魔力を纏った服、用途によって棚が分かれているんだけど、私達は戦闘が増えるでしょうし、防御力を上げておいた方がいいわね」

「うん」

 商品棚を見てみると、様々な服の上に値段と洋服の効果が書かれている。

『切れない布を使用』『汚れない効果あり』『燃えない耐熱使用』『濡れない糸使用』などの軽い物から『高所から落ちても風の魔法で安全』『暗闇でも発光する光魔法使用』など効力が大きい物は目立つ場所に飾られている。

「色々な効果があって面白いね」

「たまに『誰が使うの?』ってアイテムもあるけどね。

 この辺が防御力アップの防具よ」

「わぁ。沢山あるね」

 二階の売り場、三分の一が防御力アップの防具コーナーになっていた。

「防具で重要なのは防御力アップがメインだから当然よ」

 しかもどれも可愛い服ばかりだから、これは迷いそうだ。


 

 洋服選びはテンションがあがる。

 気に入った物を買い物カゴに入れて試着室に行き、試着してみる。

 わたしもルナも本気になって、デザインと防御力の表を見ながら選んでいた。

 そういえば本気すぎてルナと話してない。

 ルナのアドバイスも聞いてみようかな。

 修道服に戻してから、彼女を探して店内を歩くと見つけた。

 真剣に品物を見ている。

「ルナ、これどうかな」

 わたしの言葉に振り返り、ルナが目を丸くして何かを喋った。

 ただわたしには、その言葉は外国の言葉のように聞こえて理解できない。

 えっ………

 ちょっとなんで?

 ルナが何を言ってるのか分からない。

 ―――――はっ!

 荒神の剣!!!

 刀を差していた左腰に手を添えるが、荒神の剣が無い!

「うそ無い!」

 焦りながら辺りを見渡すが無い。

 急いで試着室に戻ってみるがそこにもない。

 なんでどこに行ったの?

 思い出せ、どこに刀をおいた。

 試着室、試着室しかない、この試着室に立てかけたんだ、間違いない。

 だけど、ここに無い!

 一気に血の気が引いてくる。

 ルナが追いかけてきてくれて、何かをわたしに訴えているが、やはり何を言ってるか分からない。

「刀がないの」

 言うが、こちらの言葉もルナには通じていないようだ。

 わたしはジェスチャーを混ぜながら、刀が無い事を伝えた。

 それを見て、理解してくれたようで、何かを言ってかけ出して行った。

 荒神の剣を盗んだとすれば、隠せるものじゃないから、よく見て観察すれば必ず犯人が見つかるはずだ。

 わたしが最初に試着室に入ってから二十分くらい。

 まだ犯人は店内にいる可能性が高い。

 観察するのは人の手、必ず手で持っているはずだ。

 見渡して客を観察する。

 あぁ~もう、人がたくさんいて分からない。

 それにしても、荒神の剣はなんで言ってくれなかったんだろう。

 一声掛けてくれれば、こっちだって早く気づけたのに、何も言わずに盗まれるって、どういう事よ!

 わたしが全部悪いのはわかってる。全部自分のミスだけど。

 荒神の剣にイライラしてきた~~。



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