表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18才のファンタジェンヌ  作者: はねとら
第一話 荒神の剣に導かれ
2/25

叩き折るわよ!!〈挿絵〉


 

 なに? 何が何だか……

 幾つもの疑問にパニックになりかけているが、不思議なことに心の底では落ちついている部分もあった。

 大きく息を吐いて混乱を押し消し、冷静を無理やり保つ努力をして、

 わたしは四つん這いの姿勢から立ち上がり、膝を払って刀を見下ろした。


「あんたが話しているんでしょ?

 自己紹介じゃないわよ、まず先に説明してちょうだい」

 多少動揺で声が震えているが、言葉を吐いた事によりさらに落ち着く、事態は一切飲み込めてはいないが、刀が何かを知っているのは間違いないだろう。

 わたしの怒りが滲んだ視線に、刀は少したじろぎつつ。

「目が恐ろしいな……。

 わかった、ワシから説明しよう。

 ワシの名は荒神(こうじん)(けん)、先ほどは突然声をかけて失礼した」

 


 ⁉



 突然声をかけたぁぁ‼

 って事はまさか、

「あなたもしかして、さっきの戦国武将⁉」

「せんごくぶしょう?

 それは分からぬが、街中で声をかけた男前はワシじゃ」

「おまえかあぁぁ、ってことは、アンタがわたしをここに連れてきた。違う⁉」

「そうじゃ、最近の若者は声が大きくてたまらん。

 もう少し小さい声で話はくれぬか、なおかつお淑やかにしてくれぬか」

 言葉に、わたしは刀の柄を握りぶんぶん振り回しながら、

「うるさぃ、なんでわたしをこんなところに連れてきたの!

 ここは何処なの!?

 全部説明したうえでわたしを元の場所に帰しなさい、じゃなければ叩き折るわよ!」

 刀を振り回しながら、大きな岩の前で足を止める。

 そして大きく振りかぶった。

「わかった、わかったから勘弁してくれえぇぇ」

 慌てふためき涙声になりながら、荒神の剣は話を始めた。



「まず、ワシがなぜあの街にいたのか説明しよう、それは探しておったのじゃワシが見える者を、つまりはお主を探しておった」

「へ?」

「目があったじゃろう、あの時ワシが見えると確信したのじゃ。

 他の者は見えていなかった。誰もワシに視線をむけてはくれなかった」

 確かにわたしには彼が見えた。目も合ったが……。

 いや、みんな無視していただけだと思うぞ。

 変な恰好したオッサンに関わりたくないだろうし……わたしも関わりたくなかったし……はぁぁぁぁ。

 大きく溜息を漏らし、振り上げた荒神の剣を大地に突き刺す。

「見えぬ者は、ワシを扱えない。

 だが見える者は扱える、証拠にお主はワシを振り回した。

 選ばれたお主にしかできないことじゃ」

「わたしにしか振り回せない? 

 嘘くさいけど、でもいいわ聞かせて、何で扱える人を探していたの」

「それは――――」

 荒神の剣が言葉を紡いだ、まさにその時。

 後方から唸り声が聞こえた。

 今まで聞いたことのない、禍々しい不気味な何かの唸り声。


 

 ズン ズン ズン




挿絵(By みてみん)



 足音が地響きになって響き。 

 草木を薙ぎ払いながら、それは近づいてくる。

「ワシを掴め‼」

 叫ぶ荒神の剣をあわてて柄を握り、音がするそちらに視線を注目した。

 逃げたいが足がすくんで動かない。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ